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結婚したら夫が家族を養うべき? 男性へのプレッシャーがエグい

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「Getty Images」より

 結婚後の生活は男性側が全面的に責任を負うべき? 共働きが当然となり、夫が稼いで妻が家事育児という性別役割分業もそろそろ廃れるかと思いきや、未だに幅を効かせている。今月5日に放送されたネット番組『さよならプロポーズ』(AbemaTV)で、「結婚とは男性が女性の人生を背負うこと」という価値観が提示され、EXITの兼近大樹が「相手の人生を背負って潰れてしまう人もいる」と否定する場面があった。

 『さよならプロポーズ』はいわゆる恋愛リアリティショー。この日の放送は、交際2年のカップルと、交際3年の2組のカップルが、イタリアでの7日間の旅行を通じ、最終的に結婚するか別れるかを選択するという内容だった。

 交際2年目のフミヤさんとカナミさんカップルは、カナミさんは結婚を希望しているものの、フミヤさんは今は仕事に集中したいとして、結婚を先延ばしにしている。そんなVTRをスタジオで見ていたのが、MCの小籔千豊、ゲストの辻希美、兼近だった。

 フミヤさんの煮え切らない態度に、辻希美は「はっきりしてほしい」と厳しい姿勢であったが、兼近大樹はフミヤさんの気持ちを代弁し「一人の人生を背負うことに対してしっかりした考えがあるからこそ」だと説明。

辻「背負った方が頑張りにつながる。もっと気合いが入りそうじゃないですか?」
兼近「背負ったせいで潰れちゃう可能性も……」

 これに対し小藪千豊は、「背負って潰れてまうって言ってるやつ、だいたい甘えたなんですよ」「あなた(=兼近)は一生結婚せんといてください!」と一蹴。兼近は「はい!」と答えていた。

「夫が家族を養う」という価値観は男性にとってプレッシャーとなる

 辻希美や小藪千豊のように、「結婚で男性が女性の人生を背負うこと」を当前視する価値観は未だ根強いのかもしれない。結婚後は夫が家族を養うべきで、それが“男の甲斐性”。妻の方が多くお金を稼いでいるであろう芸能人夫婦に向かって、「ヒモ」「甲斐性なし」などと冗談めいた批判が飛ぶこともその一例だ。

 今年9月、タレントの上沼恵美子がテレビ番組で「男は甲斐性がないとダメ。お金がないとダメ」と断言し、ネットでその発言を称賛する声が大きかったことも記憶に新しい。

 「夫が家族を養うべき」という結婚観は、そう稼ぎが多くなく将来的に昇給していく見込みもない男性にとって相当なプレッシャーだろう。「家族のために仕事は辞められない」と思い込み、会社での不当な扱いに耐えながら働く男性も少なくないかもしれない。「家族のため」という男性社員の思いを利用し、本人が望まない地方転勤を言い渡すような会社もあり、我慢を積み重ねた挙句、中には兼近大樹の言うように、心身を崩してしまう人もいるのだ。

 また、「夫が家族を養う」ことは、女性に家事育児責任が重くのしかかることとつながっている。夫婦共働きであっても未だに家事・育児の負担は妻に偏っている。Rinnaiが昨年発表した「世界5カ国の共働きに関する意識調査」によると、日本、韓国、アメリカ、ドイツ、デンマークの中で、日本は最も夫婦で家事を分担していないことがわかった。

 上記の結果は、現実は共働きに変化しているものの、「男は仕事で女は家事」というイメージが消えないことが一因ではなかろうか。また、夫の方が労働時間が長いということも関係しているだろう。

 女性のほうが男性より平均賃金が低いことも無関係ではない。「男の仕事は家族の生活がかかっているが、女の仕事は家計補助でしかない」というバイアスがある。男も女も、生活がかかっているか否かではなく、職務に応じた賃金が支払われるべきだ。

 男が女に「一生かけて妻子を幸せにする」と誓うようなプロポーズをロマンチックだとして好む人は確かにいるが、それがスタンダードである必要はまったくない。男も女も、無理をして潰れてしまえば結局は不幸だろう。

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