社会

オリパラ組織委には酷暑対策部署が存在しない? 質問状で明らかになった無責任体質

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「Getty Images」より

 9月14日、2020東京五輪のオリパラ組織委に送った質問と回答を提示した。

東京オリパラ組織委は「熱中症責任の所在」を明確にせず

 東京オリパラ組織委に対し、ボランティアと観客が熱中症にかかった場合の責任の所在について質問を送り、9月4日にその返答が届いた。まずはその質問と回答全文…

ウェジー 2019.09.14

 しかしながらその回答がはなはだ不誠実だったため、再度質問を送り、9月19日にその回答を得たのでご紹介する。2回目の質問も合わせて提示する。

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<2回目の質問>
1) 前回の回答でボランティアの熱中症責任は「ケースバイケースの判断とはなります」とありますが、具体的にどのようなケースが組織委の責任となり、逆にどのようなケースが組織委の責任とならないと考えているのか、明示ください。また、その判定はどこの誰が行うと考えているのか教えてください。
2)前回も尋ねましたが、オリパラ期間中のボランティアと観客を酷暑から守る部署、最終責任者は誰か。部署名と責任者の肩書き、名前を明示してください。
3)前回の回答で観客が熱中症にかかった場合「組織委員会の責めに帰すべきと判断される場合に組織委員会の責任となると考えております」とありますが、「組織委員会の責めに帰すべきと判断される場合」とはどのようなケースを想定しているのか、明示してください。また逆に、組織委の責任ではないと想定しているケースも明示してください。また、その場合、どこの誰がその判定を行うと考えているのかも、明示ください。
4)オリパラ期間中、熱中症被害を受けた人が苦情(訴訟等含む)を申し立てる事態が予想されます。その場合、それに対応する部署はどこになりますか。その部署名と責任者名を教えてください。
5)ボランティア保険の詳細内容が決定するのはいつでしょうか。発表予定を教えてください。

<回答>
ご質問1)及び3)について
前回ご回答申し上げましたとおり、東京2020組織委員会が募集・運営する大会ボランティアにつきましてはケースバイケースの判断とはなりますが、基本的に組織委員会が責任を負うものと考えております。
また、観客の皆さまにつきましても組織委員会の責めに帰すべきと判断される場合に組織委員会の責任となると考えております。この点もケースバイケースの判断となります。
熱中症となる原因は様々なものが考えられるところであり、その責任の所在は、具体的な状況下において個別に判断されるものであります。どのようなケースにおいて責任が生じるかを一概に示すことは難しく、かえって誤解を生じかねないものと考えております。

ご質問2)及び4)について
暑さ対策は、組織委員会の特定の部署や個人が実施するものではなく、組織委員会が組織として実施するものであり、組織委員会が法人として責任を負います。

ご質問5)について
ボランティア保険の詳細内容については調整中となります。追って、大会ボランティアとして活動いただく方々にお知らせする予定です。

組織委員会としては、皆様の様々なご意見も伺いながら暑さ対策を検討実施してまいります。ご理解とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
戦略広報課

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 一読してわかる通り、今回の回答も前回同様、無責任と欺瞞に満ちている。

 まず(1)と(3)だが、前回の回答で「ボランティアと観客の熱中症責任を組織委が負うかどうかはケースバイケース」と組織委側が書いてきたので、ではそのケースバイケースを明示せよと質問したのだが、「誤解を生じかねない」などと言って具体例を挙げることから逃げている。

 自らがケースバイケースだというのなら、どのような場合に責任が生じるか、その具体的なケースを提示しなければ、組織委の考えは伝わらない。想定しているケースを明示しないのは、実際には何も考えていないか、言質を取られることを恐れて逃げているとしか思えない。

 また、質問(1)と(4)では、その「ケースバイケース」が組織委の責任となるかどうかを判定するのはどこか、苦情の申し入れ先はどこかとも尋ねているが、その部分は完全に無視されている。なぜこの質問に返答しないのか、自分たちが答えたいことしか答えない体質がにじみ出ている。

東京五輪最大の懸案を担当すべき部署が「ない」

 他方で、 前回回答を無視した(2)については、今回は珍妙な回答をしてきている。ボランティア担当部署はどこか、そしてその責任者は誰かという至極簡単な質問に「暑さ対策は、組織委員会の特定の部署や個人が実施するものではなく、組織委員会が組織として実施するものであり、組織委員会が法人として責任を負います」などとごまかしてきた。

 会場内で熱中症により死者が出た場合、組織委が責任を負うのは当然である。しかし、どのような企業でもそうであるように、組織委の中にもボランティアと観客対応部署があるはずであり、そこには責任者がいるはずである。これだけ酷暑問題が叫ばれているのに、その対応責任者の名前を出さないのは、万一の場合の責任を不明確にしようとしているとしか考えられない。

 実は、報道陣に対しては、ボランティア関連の総責任者は副事務総長の坂上優介氏(UDトラックス会長)だと明らかにされている。だが、組織図にボランティア対応部署、または酷暑対策部署の記述はない。つまり、東京五輪最大の懸案を担当すべき部署が、組織図上は存在していないのだが、こんなバカなことがありえるだろうか。もしいまだに専任部署が存在しないのなら組織として無能だし、責任逃れのために分散させているか、または隠しているとしたら大罪である。

 坂上氏は大型トラック製造会社のトップであり、組織委においてはいわばお飾りである。もちろん酷暑対策の専門家ではないし、そもそも専任の担当部署がない状況で、有効な酷暑対策などできるのか。そして万一の際、その責任を取れるのか。

 無責任企業の代表格である東電や関電でさえ、原子力部門の責任者の名前は明示されている。そして、東電の責任者たちはいま、刑事告訴されている。責任者とは、いざという時に責任をかぶるための役職なのだ。それなのに組織委が担当部署と責任者を明示しないのは、万一の際の責任追及を曖昧にしようと画策しているとしか考えられない。

 今回の回答で、組織委のそうした姿勢がより一層鮮明になったと言えるだろう。今後もこの問題は徹底追及し、組織委がボランティアや観客に対する責任から逃れられないよう、弁護士や医師団体とも連携していきたい。

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