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インドのカレー文化をCoCo壱番屋はどう攻略するのか?インド進出の勝算

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カレーハウスCoCo壱番屋(画像はWikipediaより)

 2020年にインドに進出すると発表した「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する壱番屋。カレーの本場インドに出店するのは、浜島俊哉前社長(現会長)の長年の夢であったという。

 壱番屋4割、三井物産グループ6割の比率でインドに合弁会社を設立した。壱番屋は店舗のオペレーションに集中し、三井物産グループは、現地のマネージメント関係を担う。首都ニューデリーに1号店出店の後は、5年以内に10店舗オープンを目指すという。

 人口約13億人、平均年齢27歳の市場への期待感から、インドへ進出する日本企業は増えている。今月、ユニクロがニューデリーに1号店をオープンした。ユニクロの場合、オーソドックスなデザインでのファッション分野への進出であり、基本的にそのままの路線で勝負できる。

 しかし、壱番屋が進出するのは、食の分野だ。インドは、他国に比べてベジタリアンが多く、一般的に食に保守的な傾向の人が多い。壱番屋の葛原守社長は、現地に合うメニュー構成を考えると表明しているが、インド人の食文化への理解力が、成功の要因のひとつとなるであろう。

ヤクルトはインドの日常に溶け込んだ

 インドでは、すべての食品が「ベジタリアン」か「ノンベジタリアン」のどちらかに分類される。

 「ベジタリアン」とは、菜食主義者や菜食主義者に対応した食事を表し、短縮して「ベジ」と呼ばれる。それに対して、「ノンベジ」と呼ばれる「ノンベジタリアン」は、肉、魚、卵などを摂取する人や食事を指す。インドで飛行機や電車に乗ると、食事の際には「ベジ or ノンベジ?」と聞かれ、2択になるという具合である。

 また、インドではすべての食品にベジかノンベジかのマークの表示が義務づけられている。ベジは緑色の正方形の線の中に緑色の丸、ノンベジは赤の正方形の線の中に赤の丸だ。レストランのメニューにも、それぞれにベジかノンベジのマークが表示されている。

 ヤクルトもインドに進出しているが、ふたの部分にベジを表す緑色の丸が大きく表示されている。目立つ部分にベジのマークをつけることにより、ベジのインド人への訴求効果が高くなり、安心して手に取ってもらえる。

  今ではヤクルトは、大手スーパーマーケットだけでなく小さな商店でも取り扱われていて、現地に溶け込んだ。

 南インドのチェンナイにある日本人経営のラーメン屋「秋平(あきべい)」は、ベジとノンベジのラーメンの器の色を変えるなど工夫をしている。以前、筆者が店主にインタビューをした際、「器、別にしないと怒られちゃいますからね」と言っていたのが印象的だった。

インドのマクドナルドの独自メニュー

 マクドナルドは、1996年のインド初出店以来、インドの食文化を考慮し独自のメニューを展開していて、ベジ用のメニューも豊富だ。価格はインドの物価から考えると安くはないが、主に20代から30代の中間層のインド人に「マクディ」の愛称で親しまれる存在となっている。

 マクドナルドのノンベジメニューで扱う肉は、チキンのみだ。これは、インドでは宗教的な背景により、ノンベジでも牛肉、豚肉は食べない人が多いためである。独自のメニューでは、スパイシーチキン、サルサチキン、チキンケバブなどを具に使う。

 ベジメニューでは、インドのカッテージチーズであるパニール、アルティキと呼ばれるポテトコロッケ、サルサビーンズパテなどを具に使う。

 これらの具を、普通のハンバーガーバンズに入れたものもあるが、ラップと呼ばれる薄焼きパンに具を入れて巻いたもの、ナンに具を挟んだものもある。

 その他にも、ライスボールと呼ばれる炊き込みご飯にチキンナゲットをトッピングしたものなど、バラエティに富んでいる。また、メニュー名にスパイシーを冠して、パンチの効いた食べ物を好むインド人好みに仕上げているものも多い。

北インド地方の食習慣

 「カレーハウスCoCo壱番屋」1号店出店予定地である首都ニューデリーがある北インド地方の食習慣はどうか。

 北インドでの主食は、チャパティと呼ばれる薄焼きのパンだ。全粒粉を水で練ったものを丸く薄く伸ばして、各家庭で食事のたびに焼く。

 ご飯が出てくる頻度は、筆者が現地で食事をしていた何軒かの家庭では、1カ月に1、2回程度であった。また、カレーに白いご飯をあわせて食べることはあまりなく、ご飯は、プラウと呼ばれるスパイス入りの炊き込みご飯、クミンで香りをつけたジラライスなど、味のついたものが好まれる。また、お米は長粒米で香りの良いバスマティライスが人気だ。CoCo壱番屋で提供予定のジャポニカ米は、食べたことのない人が大半であろう。

 次にカレーの辛さについてだが、インドでは一般的にレストランのカレーよりも家庭のカレーのほうが辛い印象だ。もちろん、家庭により違いはあるが、筆者が訪れていた家庭では、CoCo壱番屋の2辛から3辛程度の辛さのカレーが多かった。

インド独自の選択やトッピングでファンを掴む

 インド人の食の好みから、CoCo壱番屋の現地に合うメニュー構成を考えると、まずご飯をジャポニカ米、バスマティライス、プラウ、ジラライスなどから選択できるようにした方がいい。

 ナンも提供する予定だそうだが、これはインド人のニーズに合っている。ナンを作るには特別な釜が必要なため、自宅では作れないナンをオーダーすることが多いからだ。

 カレーはベジタリアン用カレーを使用し、辛さは日本と同じように1辛から10辛まで対応する。フィリピンのセブ島にあるCoCo壱番屋の店舗では、辛さの変更は無料としているが、インドでもそのようにするといいだろう。辛さで値段が変わるのは、インド人にはなかなか理解しにくいからだ。

 その他、トッピングにはインド独自の味付けの揚げ物をメニューに加えてほしい。たとえば、スパイシーチキンカツ、スパイシーから揚げ、カッテージチーズであるパニールのカツ、アルティキと呼ばれるポテトコロッケなど。インドでは軽食やスナックは揚げ物が多く、インド人は揚げ物が大好きだ。スパイシーチキンカツカレーやアルティキカレーなどが出来たら、人気になりそうだ。

 もちろんCoCo壱番屋の開発チームは、現地のインド人からも意見を求めて、より進化したメニューを開発するに違いない。

 ただ、インドへの外資系企業の進出は、さまざまな制約や複雑な制度があり、なかなか簡単にいかないのが現状だ。現地のマネージメント関係に時間や労力を取られ、本来のビジネスのオペレーションがなかなか進まないことも多い。

 三井物産に現地のマネージメント関係を任せて、壱番屋が本来の業務に集中するという分業戦略を、新たなインドへの進出の形として注目していきたい。

 壱番屋の「Japanese Curry」の美味しさを味わってもらい、ファンを増やしていけば、日本企業のカレーがインドで成功するのも難しくはないだろう。

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