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サブウェイの閉店ラッシュ、「高い」「注文が複雑」が理由じゃなかった!

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SUBWAYの店舗(画像はWikipediaより)

 世界中にマクドナルドを凌ぐ店舗数を有し、世界最大の飲食チェーンと呼ばれるサンドイッチ専門ファストフード店「サブウェイ」(SUBWAY)だが、日本では苦境に立たされている。

 官報に掲載された決算公告によれば、国内でサブウェイを運営している日本サブウェイは2015~17年度の3期連続で赤字を計上。さらに、2014年6月には480店を数えた店舗数も減少し続けており、公式サイトによると現在では半分以下の226店舗(2019年10月下旬現在)にまで減ってしまっている。

 「野菜のサブウェイ」をキャッチコピーに掲げて健康的なイメージを打ち出してきたチェーン店だけに、昨今の健康志向の高まりを考えれば、消費者のニーズにも合致しているはず。一体なぜ、閉店ラッシュとなってしまっているのか。

 ネット上では、サブウェイに対して「他のチェーン店に比べて値段が高い」「注文方法が分かりにくいし面倒」といった問題点を指摘する声が目立つが、一方で好業績を上げているスターバックスも、似たような特徴を持つといえる。

 サブウェイとスタバはどこが違うのか。経済評論家として外食業界の分析をしている鈴木貴博氏に、サブウェイが不振に陥った本当の原因について話を聞いた。

鈴木 貴博(すずき・たかひろ)/経済評論家、経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング代表。1986年に東京大学を卒業後、世界最高の経営コンサルティングファームであるボストン・コンサルティング・グループに入社。その後、ネットイヤーグループを経て、2003年に独立。企業のコンサルティングを手掛ける傍ら、経済評論家としても発信を続けている。著書に『10年後躍進する会社 潰れる会社』(KADOKAWA)、『格差と階級の未来 超富裕層と新下流層しかいなくなる世界の生き抜き方』(講談社)などがある。
百年コンサルティング

アメリカンなサンドイッチ文化に親しみのない日本

 まず、日本の飲食チェーンにおけるサブウェイの立ち位置はどこにあるのか。

「もともとアメリカで成功していたサブウェイが鳴り物入りで日本にやってきたのは、およそ30年前の1991年のことでした。サブウェイが新規参入した当時の日本にも健康ブームがあり、野菜を中心としたサブウェイのサンドイッチは、健康的なイメージから人気を集めていたのです。
 ジャンクなイメージのある他のファストフードとはしっかり差異化できており、健康に関心のある人たちはサブウェイに――といった独自の立ち位置を確立していたと言えるでしょう。
 アメリカ風のサンドイッチでボリュームもありつつ健康志向というサブウェイには、競争相手が少ないですし、業態もフランチャイズ展開がしやすいというメリットがありました。たとえばマクドナルドのように、ハンバーガーやポテトを調理するためにさまざまな設備が必要になることもないので、他ファストフード店と比べても初期投資を抑えられるという利点があります。サブウェイがフランチャイズとして世界最大の店舗数を持っているのには、そこに秘密があるのですが……」(鈴木氏)

 多くの強みを持つサブウェイが、なぜ日本ではこうも苦しんでいるのだろうか。

「いくつか理由は考えられますが、ランチ需要しかないというのが、一番の大きなポイントだと思います。一日のなかで繁忙期がかなりハッキリしていて、ランチでしか売り上げが出せていない。朝食から夕食まで利用されるマクドナルドと比較すれば、ビジネスチャンスが非常に少ないことが大きな弱点になっているのではないでしょうか」(鈴木氏)

 鈴木氏によれば、サブウェイにランチ需要が多い理由には、アメリカと日本の食文化の違いがあるという。

「サブウェイが日本で夕食に向かない原因のひとつがサイズです。大きな一本のパンを半分に切った15㎝ほどの『レギュラー』サイズが日本では主力商品ですが、これはランチならちょうどいい大きさではあるものの、夕食としては少し物足りない。
 また、アメリカではパン一本をまるまる使った30㎝の『フットロング』というサイズのサンドイッチをディナーとして食べるという文化があります。しかしもともと米食文化の日本には、大きなサンドイッチを夕食にするという文化はありません。アメリカのサンドイッチ文化のなかで大成功した商品をそのままに近い形で日本に輸入したものの、受け入れられなかったというのがサブウェイの苦戦の理由でしょう」(鈴木氏)

 では、サブウェイが日本で復活を遂げるためには、どうすればよいのか。

「ランチに需要が集中してしまっているという大きな課題を乗り越えるために、サブウェイもそれなりに手を打ってはいるのですが、日本の食文化からはズレた施策だと思わされることも少なくありません。たとえば、朝食メニューのひとつとして『チョコチャンク』や『ホワイトチョコ&マカダミア』といった甘いクッキーとドリンクのモーニングセットを打ち出しているのですが、日本人の多くは朝食にクッキーを食べませんよね。
 現状、サブウェイのメニューはかなりアメリカ的な発想で展開されているといえ、このままの状態でさらなる日本の需要を開拓するのは難しいと思います」(鈴木氏)

 ただし、裏を返せばそこに改善の余地があるとも言えるという。

「具体的に言えば『フットロング』(30㎝)と『レギュラー』(15㎝)の中間サイズ、つまりパン一本の3分の2程度の大きさで、二つの具材を選んで挟めるといった選べるメニューは、夕食としてもアリではないでしょうか。
 あるいは、サイドメニューを充実させるというのも手です。ファストフードによくあるフライドチキンではなく、低カロリーかつ高たんぱくなヘルシーさで流行している『サラダチキン』のようなものをサンドイッチと一緒に食べられるようにすれば、夕食の需要も増えていくのではないでしょうか。
 つまり、アメリカの文化やマーケットに合ったものから、日本人の嗜好や胃袋の大きさにあった商品へ変えていくことができれば、サブウェイは再び消費者に選んでもらえるようになる可能性があります」(鈴木氏)

 苦戦続きのサブウェイだが、他の飲食チェーンにはない魅力があるのも事実。アメリカンすぎるメニューから脱することが、サブウェイ復活への第一歩になるかも知れない。

(文・取材=後藤拓也[A4studio])

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