
「Getty Images」より
若い世代でも将来のお金の心配をする人が増えています。結論からいうと、その心配は正しい。このまま何もしなければ、間違いなく困ったことになります。
なぜなら、今の収入は現在の生活を支えるお金ですが、同時に将来の自分を支えるお金でもあるからです。お給料を全部使ってしまっては当然ながら将来困ったことになります。老後貧乏にならないように一定額を貯蓄していく必要があるのです。
今回は、若い方から高齢者まで世代別で役に立つツールをご紹介します。この考え方を身につけていただければ、人生のお金の問題は非常にシンプルに解決できます。
年収400万円の人の「人生設計の基本公式」
さて、私たちはいったいいくら貯蓄していけばよいのでしょう。それは、人それぞれ違います。自分の必要貯蓄率を求めることが大切なのです。
人生設計の基本公式は、老後生活費を今の生活費の何割くらいに下げられるかを考えて求めます。
使う数字は、「今後の平均の手取り年収」「老後生活費率」「年金額」「現在資産額」「現役年数」「老後年数」の6つです。難しそうに聞こえますが、計算ツールをつかっていただければ簡単に求められます。解説動画を見ながらぜひ、自分の必要貯蓄率を求めてみてください。
必要貯蓄率は、共働き夫婦は収入などを合算して求めてください。また、一度だけでなく、大きなお金の出入りがあったとき、ライフスタイルが変わったときなども計算し直してください。
必要貯蓄率が守れていれば大丈夫
食費はいくら、光熱費はいくら、と上限をきめて細かな節約をすると疲れます。手間がかかり大変なわりに、大した成果は得られません。
それならば、先に必要貯蓄額を取りわけておいて、あとは自由に使うとするほうが楽ですし、貯蓄も確実にできます。
仕事をしていれば、忙しくて外食が増えることもあるでしょう。お金は、便利さや安全、楽しみなどと交換するものですから、使途は必要にあわせて決めればよいのです。
お金の取り扱いはシンプルにするに限ります。なぜなら、お金のことよりも大切なことが人生にはたくさんあるからです。合理的に考えていきましょう。
年収1000万円、リタイアが見えてきた世代は?
「老後不安」をあおって外貨建て保険や毎月分配型の投資信託など金融商品を勧めるのはセールスの典型的な手法ですが、カモにならないために、ぜひ計算してほしいのが「老後設計の基本公式」です。
50歳以上の人は、毎年お誕生日月に送られてくる「ねんきん定期便」で、65歳以降に受け取れる年金の見込み額がわかります。それを使って求めます。
ざっくりいうと、積み上がった貯蓄額から残しておきたい金額、たとえば遺産やお葬式代などを差し引き、それを余命年数で割ると1年間にいくら取り崩せるかがわかるという式です。継続雇用で働いたり、年金を繰り下げたりすることも式に入れることができます。こちらに計算式がありますのでご利用ください。
実際にこんなことがありました。私のところにご相談にこられた自営業の53歳の女性は、お金のセミナーに行き、後日受けた個人相談で、FP(ファイナンシャルプランナー)に「今のままでは老後資金が3000万円足りない」と言われ、「外貨建て保険を1500万円で買い、10年で3000万円に増やす」という提案をされたというのです。保険設計書を見せてもらいましたが、もちろん10年間で倍になるというのは、為替の変動リスクを無視した何の根拠もないバーチャルな数字です。
「老後設計の基本公式」で計算したところ、公的年金とあわせて毎月28万円くらいの生活費が95歳くらいまで確保できることがわかりました。外貨建て保険など買う必要はまったくありません。このように、老後の生活費を具体的な数字で把握することで、まちがった商品を買ってしまうという失敗をしないですみます。
ぜひ、この計算式をつかって、お金の問題をシンプルに解決するスタートアップとしてください。