つみたてNISAは存続へ
NISAが恒久措置にならなかったのは、やはり税収減に対する懸念が大きかったということであり、貯蓄から投資へという政府の姿勢は中途半端であったことを如実に物語っている。政府・与党では、制度を見直した上で、時限措置として存続させる方法を模索するとしているが、先行きが不透明なままでは、利用者数の拡大には限度があるだろう。
一方、若年層向けのつみたてNISAについては、期限を延長する方向で調整するとしている。
つみたてNISAは、長期投資を念頭に置いていることから、投資期間はNISAより長く20年と定められているが、やはり暫定的な制度であることから、このままでは2037年に終了する。
2037年までは買い付けができるが、今年、つみたてNISAをスタートした場合、2037年から逆算して19年間しか投資できないことになる。つまり、2019年以降は、つみたてNISAの魅力のひとつである20年間という投資期間が徐々に有名無実化してしまうのだ。
商品を買うことはできなくても、20年間の非課税期間は確保されるが、積み立て投資の場合には、毎年、同じ金額だけ商品を購入することに意味があるため、投資期間が制限されてしまうと魅力も半減する。開始時期にかかわらず20年間の投資期間を確保できる方向性で議論を進めるとのことなので、投資家としてはこれに期待するしかないだろう。
つみたてNISAは商品選択がすべて
株式による資産形成については、NISAとつみたてNISAのどちらが有利かという議論があったが、恒久化が見送られたことで、NISAを選択する積極的な理由がなくなってしまった。株式投資による資産形成を考えている人は、基本的につみたてNISAの是非について検討する必要があるだろう。
つみたてNISAは20年間の投資が可能だが、商品が限定されており、指定されたもの中から選ぶ必要がある。中には手数料が高い商品もあるので、商品内容についてはよく吟味した方がよい。
どの金融機関で申し込んでも条件は同じなので、証券会社で買っても銀行で買っても大きな違いはない。ただ、金融機関によって取り揃えている商品数には差があるというのが実状であり、商品選択が重要という、つみたてNISAの特長を考えた場合、商品数で金融機関を選んだほうが無難だ。
現時点においては、大手証券会社が商品数という点では突出している。ただ、つみたてNISAはひとつの口座しか開くことができず、後で金融機関を変更する場合でも1年単位での手続きとなるので、最初の選択は慎重に行ったほうがよい。