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投資信託の分配金を「儲け」と思ったら大間違い!

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「Getty Images」より

 ひと頃、とても流行った「毎月分配型投信」という投資信託があります。私自身はこういう商品を買うことはありませんが、高齢者にはまだ根強い人気があるようです。

 分配金の出る投資信託は本来、経済合理性からいえば、あまり有利な商品ではありません。分配金をもらうと、それに対しては税金がかかりますし、投資信託というのはみんながお金を出し合って共同で運用する仕組みなので、分配金が支払われるとお金が流出し、運用元本が減ってしまうからです。

 それでも、年金生活をしている高齢者は、決まった時期に一定の分配金をもらうのはありがたいと感じるでしょう。

 ただ、多くの人が勘違いしていることがあります。それは投資信託の分配金は銀行預金の利息のようなものだという勘違いです。

 実態はまったく違います。というよりも、むしろ正反対のものなのです。一体どういうことなのかをお話しましょう。

預金の利息と投信の分配金は出所が正反対

 銀行預金というのは名前こそ預金=お金を預ける、と表現されていますが、これはまぎれもなく貸金です。預金者は銀行に対して一定期間“お金を貸す”のです。銀行は、その期限が来れば約束した利息と元金を返済するわけで、これが「満期」です。 

 つまり、「預金」とはいうものの、銀行は別にお金を預かっているわけではなく、お金を借りていったん自分のものとし、それを元手に商売して儲けていると表現したほうが正しいでしょう。

 預金者から集めたお金はいったん、銀行のバランスシートの中に入るのです。したがって、預金の利息が高くなるということは、極端な言い方をすれば銀行が自分の儲けを減らして預金者に利益を提供するということなのです。したがって、預金者にとっては金利が高くなるのは大歓迎です。

 一方、投資信託は正真正銘、お金を預けています。もう少し正確にいえば、運用会社に自分のお金を預けて“運用”を委託しているのです。

 こちらの場合、お金はどこまでいっても自分(投資家)のお金であり、銀行預金とは違って決して運用会社のものになるわけではありません。したがって、運用によって儲けが出ても損失が出ても運用会社にはまったく関係なく、これらはすべて投資家の損得ということになります。

 この違いが実はとても重要なところです。銀行預金の利息は銀行の儲けの中から支払われ、投資信託の分配金は自分の儲けの中から支払われているということなのです。

 別な言い方をすれば預金の利息の原資は銀行のお金であるのに対して、投信の分配金は自分のお金と言っていいでしょう。

 つまり、預金の利息と投信の分配金はその出どころが正反対となるのです。その証拠に分配金が支払われると投資信託の値段は必ず下がります。これは当然です。仮に10万円で買った投資信託が値上がりして12万円になったとします。そこから1万円の分配金が支払われるとその分は減りますから価格は11万円となるからです。

 ところが、この事実を知っている人はあまり多くいません。

 「一般社団法人 投資信託協会」が平成30年の夏に調査したアンケートによると「分配金が支払われた分だけ基準価額が下がる」ことを知っている人はわずか32・8%にしか過ぎません。しかもこれは投資信託を保有している人に対する調査です。ということはつまり、投資信託を持っている人の内、約7割の人は「分配金が自分のお金から支払われている」という事実を知らないということになります。

「心の錯覚」による勘違いを避ける

 毎月分配型投信が良いか悪いかの議論は別として、投資信託の分配金が結局は自分のお金をキャッシュで受け取るか置いておくかだけの違いであるということを認識しておく必要があります。常識的に考えれば使わずに置いたほうが増え方も多くなると考えるべきですし、受け取ると税金もかかりますから受け取らないほうが有利です。

 しかしながら、高齢者が持っている「公的年金の支給は2カ月に一度だからその隙間を埋めてくれる商品が欲しい」というニーズは理解できないこともありません。そのためなら少しぐらい高い手数料を払っても定期的に取り崩して分配金が欲しいというニーズもわかります。しかし、若い人でこれから資産形成をしようと考えている人であれば、分配型投資信託というのは買わないほうが賢明だと思います。

 大事なことは、「心の錯覚」によって勘違いするのを避けることです。つまり分配金が銀行預金のように運用会社の利益の中からくれるというものではなく、自分のお金の中から支払われるのだということをちゃんと理解しておくことが大切です。そうでないと、「たくさん分配金をもらって良かった良かった」と思っていたら実は元本が大幅に減っていたということに気がついて愕然とする場面も出てくることになりかねないからです。

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