社会

インフルエンサーの投稿は本当に信用できるのか?「不味いケーキや肌がカサカサになる化粧品もPRする」

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「Getty Images」より

 インフルエンサーは、今やひとつの職業だ。インフルエンサーとは、世の中に大きな影響を与える人々のことをいい、特に、SNSなどの投稿によって、消費者の購買意欲を高める役割を果たしている。

 インフルエンサーが企業から注目されている理由は、エンゲージメント率の高さだ。芸能人の場合、SNSのフォロワー数は多くても、フォロワーが「いいね」を押す割合はあまり高くない(エンゲージメント率が低い)。しかしインフルエンサーは、フォロワー数は芸能人より少ないものの、「いいね」を押すフォロワーの割合は高く(エンゲージメント率が高い)、フォロワーとの距離が近いということから、より「同じものが欲しい」「この人の言っていることは信じられる」と思わせる効果があるのだ。

 SNSを中心とするインフルエンサーの場合、企業から「この商品をPRしてほしい」といった依頼を受け、商品の写真やオススメポイントを投稿。その報酬として、1フォロワーあたり0.5円~1円、5万人のフォロワーがいる場合、2万5千円~5万円ほどを受け取ることができる。上手くいけば会社勤めをするよりも多くの報酬が手に入るため、インフルエンサーを本業とする人もいる。

 11月6日放送の『ねほりんぱほりん』(NHK)は、そんなインフルエンサー特集の前編。スタジオにTwitterのインフルエンサーが1名、Instagramのインフルエンサーが2名集結し、赤裸々に内実を明かした。なお、同番組は人形劇の形式で声も加工されているため、人物の特定はできないようになっている。

フォロワーは買うことも可能

 登場した3名とも、月の平均報酬は30万円以上。Twitter中心のインフルエンサーの最高月収は300万円だという。インフルエンサーはフォロワー数によって報酬額が変動するため、みなフォロワー数集めに必死であり、人気インフルエンサーの画像を参考にしながら様々な研究を重ねたそうだ。

 フォロワーは購入することもできるという。1000人のフォロワーがおよそ千円程度という比較的安価な値段で買えることから、購入してフォロワーを水増しするインフルエンサーもいる。しかし、仕事を依頼する企業側もフォロワーが購入できることは周知しており、フォロワー数の伸びを示したグラフなどを見ながら、不自然なインフルエンサーは避けているそうだ。

 一方、フォロワーが買えるということを利用したインフルエンサー同士の嫌がらせも発生しているという。相手のIDさえ知っていればフォロワーを「買ってあげる」ことができるため、ライバル視するインフルエンサーに勝手にフォロワーをプレゼントし、企業からの信頼度を落とそうと企む人もいるようだ。

不味い食べ物や使い心地の良くない化粧品をPRすることもある

 指を動かすだけでお金が入ってくると豪語する3人のインフルエンサー。だが、消費者はこうしたインフルエンサーの投稿を無邪気に信用していいのだろうか。

 「仕事で困ることは?」との質問に、Instagram中心のインフルエンサー2人は「不味い食べ物をPRするとき」「使い心地の良くない化粧品をPRするとき」だと明かした。

 たとえば、ある飲食店から「子どもでも食べられる辛さとPRして下さい」とお願いされたが、実際に食べてみたところ、大人でも辛いと感じる辛さだったという。しかし、お店から報酬が出ている以上、言われた通りにPRする必要があるため「子どもでもイケる子はイケるかも」と書いたそうだ。

 また、不味いケーキのPRの際は「盛り付けが斬新」「お店の内装がキレイ」などと書いて味には触れずに逃げる。使用して肌がカサカサになってしまった化粧品は「オイリー肌の方にオススメ」と記述し、カモフラージュしたという。

 これに対してTwitter中心のインフルエンサーから、「フォロワーを騙すことに抵抗はないの?」と問われると、二人は「これが私たちの仕事だから」と回答した。

 つまり、「騙している」という意識はあるようだ。

 フォロワーは「このインフルエンサーは信用できる」という思いから商品を買ったり、お店に足を運んだりしている。たとえカモフラージュをしたとしてもPRしていることに変わりはなく、「不味い」ものを「オススメ」だと宣伝することは、インフルエンサーの情報の信用度を毀損しているだろう。なお、Twitter中心のインフルエンサーは「そこまで必死にお金を稼ぐつもりはない」という姿勢のようだ。

 また、番組内では言及されなかったが、すべてのインフルエンサーが企業からの案件に「PR」と明記して投稿しているかも疑問である。報酬が発生しているにも関わらず「PR」を付けなかった場合は、“ステマ”(ステルスマーケティング)に該当する。

 要するに、フォロワーにとってそれが「宣伝」に映らなくとも、すべては「広告」に過ぎない。良くないものも四苦八苦しながら「オススメ」するインフルエンサーの投稿を、「彼女がすすめるなら使いたい」と鵜呑みにするのはバカバカしい話だ。

 スタジオに登場したインフルエンサーたちは、企業はフォロワーとの“信頼関係”を評価し、インフルエンサーに仕事を頼んでいると述べていた。しかし、不味い食べ物や使用感の良くない化粧品を「良いもの」としてPRしているとすれば、その信頼関係はどんどん崩れていくだろう。

 番組の後編は11月13日に放送される予定だ。

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