私の胸は誰のものでもない、私のもの 胸の大きな女性のためのアパレルブランド「HEART CLOSET」が必要な理由

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「HEART CLOSET」代表・黒澤美寿希さんは、大きな胸ゆえの悩みを抱えていた。

 日本赤十字社が献血を呼び掛けるポスターがネットで議論を呼んでいる。ポスターには漫画の女性キャラクター「宇崎ちゃん」が登場しているのだが、彼女はバストサイズ96センチのJカップという設定のため、胸が大きく誇張されて描かれている。

 この女性キャラがポスターに起用されたことについて、ネット上では「女性をものとして扱う価値観を補強してしまう」「公共の場にはふさわしくない」などと批判の声が噴出。他方で、「別に気にならない」「表現の自由の範囲内では?」と肯定する声もあり、賛否両論の炎上状態となっている。

 このポスター問題はSNSで議論が続いており、一部では“女性キャラの二次元イラストに見られる、乳房のラインを過度に強調した形状になっている服の形状”はリアルに存在するか否かという話題にまで発展。

 そんななか、女性向けアパレルブランド「HEART CLOSET」は11月4日、公式Twitterで次のようなコメントを発表した。

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「HEART CLOSET」公式Twitterより

 「HEART CLOSET」は、「二次元イラストに見られる、乳房のラインを過度に強調した形状になっている服の形状が実在するかしないのか」云々という話題のなかで名前を挙げられていたブランドだ。同社の公式アカウントのツイートは、この不毛な議論に一石を投じたといえるだろう。「HEART CLOSET」代表の黒澤美寿希さんに話を聞いた。

ピッタリの服を着れば露出と誤解され、オーバーサイズの服を着ればだらしなく見えてしまう

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立体裁断をほどこした「HEART CLOSET」のカットソー

――「HEART CLOSET」が今回、公式Twitterでコメントを出したのはなぜでしょうか。

黒澤:SNSで献血ポスターについての議論が起こっていることは私も認識していたのですが、10月中旬に入った頃から、弊ブランドの商品について言及されているツイートが目立つようになりました。たとえば、モデルさんが商品を着用している画像をつけて「二次元イラストに見られるような乳房のラインを過度に強調した形状になっている服の形状をコンセプトに掲げているアパレルブランドが存在する」「胸をアピールする服が公共の場で着られている例だ」という風に解釈されている方もいまして。

 弊社の問い合わせフォームにも、お客さまから「こういう声についてどう思っていますか」「容認しているんですか」「否定してくれませんか」との意見をたくさんいただいて。お客さまのためにも誤解を解かなきゃならないと思い、スタッフと話し合ったうえで、公式の見解をしっかりとツイートさせていただくことにしました。

 ただし、公式が言及することによって、弊ブランドの商品が「乳房のラインを過度に強調した形状になっている服の形状」と誤解されていることを逆に広めてしまうことにもなりかねません。ブランドとしてそういう姿を見せることは、せっかくオシャレを楽しんで下さっているお客さまに申し訳ないという葛藤もありました。そのため、ツイートでは<性的な意味合いの中で>と言葉を置き換えています。

――非常にセンシティブな問題ゆえ、慎重に言葉を選んでいることが伝わってきました。そのツイートにもありましたが、「HEART CLOSET」のブランドコンセプトについて教えてください。

黒澤:弊ブランドは、胸が大きいことで特有の悩みを抱えている女性たちが、その悩みや痛みを解決してポジティブになるための洋服をつくっています。いちばん大切にしていることは、胸の大きい女性たちがもっと自分を好きになったり、自信を持つための手助けをすることなんです。

――胸の大きな女性には、具体的にどのような悩みがあるのですか。

黒澤:洋服にはSMLなどサイズ展開がありますが、女性服のバストはBカップを基準にしてつくられています。とはいえ、身体は同じSサイズでも、バストはAカップの方がいらっしゃれば、Gカップの方もいらっしゃいますよね。Gカップの方がSサイズを着ると、もはや動けないくらい胸元がキツかったり、不自然なシワができてしまい、意図せずとも過度な露出をしているように見えてしまったりするんです。

 だからといって、Lサイズを着れば、今度は肩幅が大きすぎたり、袖が長くなってしまってしまいますし、また実際よりも太って見えてしまうことも悩みですね。

――黒澤さんもバストサイズが大きく、ご自身の悩みを元に「HEART CLOSET」を立ち上げた経緯があるとお聞きしました。

黒澤:個人的には、社会人になってから悩みが深刻なものになりました。仕事やオフィシャルな場でも着られる服がなかったんです。ピッタリの服を着れば露出しているように誤解されてしまうし、かといってオーバーサイズの服を着ればだらしなかったり、太って見えてしまうことがイヤでした。

――実生活上でさまざまな悩みがあることがよく分かりました。「HEART CLOSET」の洋服はそうした悩みを解決するために、商品に工夫を凝らしているのですね。

黒澤:幣ブランドの商品は、胸元のラインに合わせた立体裁断を用いて窮屈になってしまうバストラインをスッキリと見せていたり、胸元に隠しボタンをつけて意図せず下着が見えてしまうことを阻止したりと工夫をしています。

 シャツであれば胸のボリュームで吊り上がってしまいがちな前丈を少し長めに取り、ワンピースであれば太って見えてしまいがちなシルエットを改善するためにウエスト調整のアジャスターをつけたり。

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オフィスでも着られる(左)ボウタイブラウス/(右)テーラードジャケット

――今回の騒動では、外から「エッチだ」とレッテルを貼られたり、「胸をアピールするために着る服だ」と言われたり、ユーザーではない方々による誤解が浮き彫りになりました。

黒澤:やっぱり、嬉しくないですよね。自分の意志とはまったく違った偏見を外からぶつけられると、やっぱり傷つきます。ただもちろん、どのように商品を着ていただくかはお客さまご自身が選ばれることです。たとえば「胸をアピールしたい」と思って着ていただいているお客さまの意志を損なうことをするつもりもありません。だって、普通にオシャレを楽しみたいじゃないですか。

――自分が主体的に着る理由や意味を選ぶことと、そうした意志を無視した他者から勝手に決めつけられることは、全く違うと思います。

黒澤:そうですよね。もう私としては、リンゴを差しながら「ナシだ」「オレンジだ」って勝手に言われているような感覚です。「まったく違いますよ」って思っています。

 本当になんでなんだろうって思うのは、人の胸に対して「大きい」とか「小さい」だとかとやかく言う無神経な声が大き過ぎることです。胸の大きさは生まれ持ったものですし、変えられないじゃないですか。じゃあ、その胸は誰のものかっていったらその人のものであって、決して他人のものではないんですよね。

「HEART CLOSET」公式サイト/公式Twitter

「HEART CLOSET」代表 黒澤美寿希Twitter

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