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ハローワークの求人にはなぜブラック企業が多いのか

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「Getty Images」より

 日本の労働環境は無法地帯と化している。

退職を引き止める常套句「責任を取れ」は無視して構わない

なぜ過労死がなくならないのか 2019年10月末、レディースアパレルブランドで働く女性が過労死したと告発するTwitter投稿があった。投稿はまたた…

ウェジー 2019.11.09

 遵法意識が高い労働環境を提供してくれる企業で働くことは、単に収入の問題だけではなく、生命にすらかかわる問題となっている。では、ホワイト企業に就職するには、運に任せるしかないのだろうか。

 実は、ホワイト企業・ブラック企業は、求人票とホームページで8割が見抜ける。これから解説する「ブラック企業の見分け方」に沿ってチェックをし、あからさまにおかしな企業は応募を控えればいい。仮に応募してしまったとしても、面接時にほぼ100パーセントブラック企業は見抜くことができる。就職・転職を考えている人はぜひ参考にしていただきたい。

労働形態のワナ 「委託」・「請負」

 現在、就職・転職する際は、新卒者以外は、ハローワークに求人を紹介してもらうか、民間の転職サイトで求人を探していく人が大多数のはずだ。この二つの方法で気をつけるべき点について解説していきたい。

 その前に、必ず理解しておいてほしいのが労働形態のワナだ。正社員や派遣・契約社員については、どのような形で働くか聞いたことがあるだろう。では、「委託」や「請負」はどうだろうか。おそらくほとんどの人がご存知ないのではなかろうか。

 実は、この二つの労働形態は、会社に雇用されて働く形態ではない。いずれも個人事業主(自営業者)として自分がすべて責任を背負って働く形である。したがって「委託」「請負」とも、労働基準法で規制されている一日8時間以内、週40時間以内という労働時間の原則が適用されない。当然ながら残業代も発生しないし、原則として労災も適用されない。ただし、委託も請負も決まった時間に出勤する義務はないため、仕事を期日までに終わらせられるなら、自分のペースで働けるという点だけはメリットである。

 「請負」も「委託」も、基本的には個人事業主(自営業者)として会社から仕事を引き受けて働く労働形態だが、「請負」は「委託」よりも条件が過酷だ。会社側から引き受けた仕事の結果を出すまで業務を継続しなければならない。

 たとえば、営業のダイレクトメールを発送するという仕事を会社から引き受けたとしよう。「委託」で契約した場合、配送ミスなく会社側から指示された先にダイレクトメールを発送し終えれば、たとえ顧客から注文の問い合わせがなくても、業務は終了したとみなされる。
だが、「請負」は話が別だ。請負契約で営業のダイレクトメールを発送し、月に新規顧客を10件獲得するという契約をした場合、単に営業ダイレクトメールを発送しただけでなく、10件契約が取れなければ、報酬がもらえない可能性が出てくる。

 「請負」と「委託」の求人は、「正社員」「契約社員」「派遣・パート・アルバイト」の求人よりはるかにリスクが高いことは、理解していただけただろうか。求人票の支給金額などの情報だけで、安易に判断してとびつかないことが大事だ。

ハローワーク求人は「ブラック企業」「カラ求人」の温床

 さて、ハローワークと民間の転職サイトの求人票を見て、ブラック企業かホワイト企業かを判定する方法を紹介していきたい。結論から言うと、就職・転職活動時は、ハローワークの求人票にはあまり期待せず、複数の転職サイトに登録して活動を進めたほうがよい。

 その理由だが、ハローワークの求人票は、ブラック企業の求人票や、あまり積極的に雇用する意志がない「カラ求人」が大多数だからだ。

 ハローワークに企業が求人票の掲載を申し込む場合、職安法という法律によって、原則として過去に労働関連の法律で処罰された企業ではない限り、無料で求人を申し込むことができる。

 労働基準監督署の労働基準監督官は全国で3241名しおらず、ブラック企業を取り締まりきれていない。したがって、ハローワークの求人票には、大量のブラック企業の求人票がまぎれこんでいるのだ。また、ブラック企業でなくても、「無料だからとりあえず求人票を出してみるか」という俗にいう「カラ求人」も多い。

 加えて厄介なのが、男女雇用機会均等法などのミスマッチ案件である。

 ハローワークの求人票は、原則として男女雇用機会均等法などの規制で、採用したい応募者の性別、年齢制限を記載することができない。そのため、応募してみたら、求人票を出した募集企業の意向に沿わず、書類選考で知らないうちに落とされてしまうことも珍しくない。ちなみに就職・転職サイトは、一回求人を出すのに二週間程度の掲載で5万円前後から20万前後が相場となっている。これだけ投資するなら、絶対に誰かを採用するという意志が働く。つまり、基本的に「カラ求人」がない。ハローワーク求人をアテにせず、就職・転職サイトを中心に就職・転職活動を進めたほうがいいと述べたのはこういった理由である。

ハローワークにしか出回らない「プラチナ求人」がある?

 ただし、ブラック企業だらけのハローワーク求人票にも例外が存在する。ごくたまに超優良な求人がまぎれこむことがあるのだ。ホワイトな労働環境の上に、給与も文句なし。まさにプラチナ求人だが、なぜ民間の就職・転職サイトに求人を出さないのだろうか。それにはこういった理由がある。

  • ・官公庁関連の求人で、規則上、公共のハローワークを通さないと求人が出せない
  • ・歴史が古い経営や安定した地元の老舗企業などで、大量の採用を行っていない

 もし、あなたが知っている地元の老舗企業の求人票だったり、ネットで検索してみて商品やサービスの情報がしっかりと出てくる歴史が古い企業の求人票だったら、プラチナ求人の可能性が高いだろう。

 どうしても見分けがつかないときは、ハローワークの担当職員に応募紹介を申し込むとよい。ハローワークでは求人に応募すると、必ず求人票を出している企業の人事担当者に電話を入れて、あなたにつないでくれる。その際の応対を確認するのだ。もし、あからさまな悪態をついたり罵声を浴びせるような対応だったら、ブラック企業か、カラ求人か、年齢・性別で落とされる求人と見ていいだろう。

 長年ビジネスを続けてきた企業は、受付の電話は会社の窓口であり、落とした応募者が将来顧客になる可能性があることを厳しく教育されている。あまりにも不愉快な電話応対を受けた際は、応募を辞退するか、後編で解説する面接の際にブラック企業を見分ける方法を参照して、間違いのない選択をしていただきたい。

(監修/山岸純)
(執筆/松沢直樹)

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