ナウシカ歌舞伎にスター・ウォーズ…新たな歌舞伎の楽しみ方

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 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンタテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、ときに舞台では、ドラマや映画などの映像では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

 歌舞伎は、日本の誇る伝統芸能。高尚な芸術の代表格であるとともに、時代の流行を反映し取り入れる柔軟性も持った演劇でもあります。12月には、同じく日本を代表するカルチャーである、アニメ映画版で名高い「風の谷のナウシカ」や、チャールズ・チャップリンの「街の灯」を原作にした「蝙蝠の安さん」が、歌舞伎として上演。また今月末には、映画「スター・ウォーズ」の完結編公開にあわせ、一夜限りの「スター・ウォーズ歌舞伎」が上演されることも話題になっています。

役者別の作品傾向

 いわゆる歌舞伎らしい古典的な演目とは違う、こういったチャレンジングな新作歌舞伎は確かに注目を集めますが、歌舞伎として、そして演劇作品として、実際のところどうなのか……?

 話題作が集中するこの機会に、新作に意欲的な演者ごとの傾向と本音の感想を記したいと思いますざっくり「新作歌舞伎」と呼んでいますが、その定義をどう定めるかは、実は興行元の松竹内部でも揺れています。ですのでここでは、めずしい上演形態の作品すべてを含むとして扱います。

  優れた演目がすでにやまほどある歌舞伎業界が、なぜ新作を上演するのかといえば、もちろん新規観客層の開拓です。しかし、先代の市川猿之助が上演する場所を自分で確保するために生まれた「スーパー歌舞伎」や、若年の自分たちの年代では演じられない大きな役を経験する場所を欲した故・中村勘三郎らが始めた、納涼歌舞伎やコクーン歌舞伎、平成中村座のように、歌舞伎役者はもともと新しい作品の発掘や企画に熱心です。

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