ナウシカ歌舞伎にスター・ウォーズ…新たな歌舞伎の楽しみ方

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 新作への挑戦の数がいちばん多いのではと思われるのは、松本幸四郎です。以前本欄でも取り上げた「男同士の恋を描く必然性。明治時代に同性愛は好ましくないとして上演されなくなり、21世紀に復活した“歌舞伎BL”」も、幸四郎が前名の染五郎時代に企画したもの。シェイクスピアのハムレットを歌舞伎化した「葉武列土倭錦絵」、三谷幸喜と組んだ2006年のパルコ歌舞伎「決闘!高田馬場」や同じく三谷の手による今年6月の「月光露針路日本 風雲児たち」など枚挙にいとまがなく、アメリカ・ラスベガスのホテルでは、歌舞伎とプロジェクションマッピングと融合した「ラスベガス歌舞伎」も行っています。

 出演数が多いゆえに、時々「これを歌舞伎にする意味あった?」とがっかりする作品も、ないとはいえません。しかし、広い意味で演劇ファンからもっとも信頼されている歌舞伎役者は、間違いなく幸四郎。平安時代の蝦夷の指導者アテルイについて自身で集めていた資料を人気劇団の劇団☆新感線に持ち込み、2002年、自身主演の「アテルイ」上演にこぎつけ、2015年にはそれを歌舞伎に逆輸入。歌舞伎作品としての完成度も高く、再演が待ち望まれるとともに、次にどんなものを見せてくれるのが心から楽しみです。

スーパー歌舞伎☓アニメ作品

 ナウシカ歌舞伎を企画したのは、尾上菊之助です。幸四郎とは対照的に、新作の企画数は少ないものの、必ず鮮烈な作品を披露してくれます。菊之助自身が制作に大きく名前を出したのは、故・蜷川幸雄の演出で2005年に上演された「NINAGAWA 十二夜」。「歌舞伎はやらない」と公言しつづけていた蜷川をうなずかせたのが菊之助で、男女役の入れ替わりが入り乱れるシェイクスピアの「十二夜」を、歌舞伎役者だからこそできる手法で魅せました。2017年の、インドの叙事詩をもとにした「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」も、壮大なスケールと美意識にあふれていました。

 完全な新作ではないですが、毎年国立劇場のお正月公演で、一門で復活狂言を上演。また、「40歳になったら新作をしっかり手掛けていきたい」と明かしており、今後は上演ペースの加速も期待されています。

 近年もっとも話題となった新作は市川猿之助主演の「ワンピース歌舞伎」ですが、一般ファンも楽しめる客席参加型の演出や、原作ファンに受け入れられるリスペクト、歌舞伎ファンにとっては主要キャストの「白ひげ」の着ている鎧が「義経千本桜」に出てくる平家の武将・平知盛のものであるなど、全方位に満足のいくものでした。

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