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武井壮の究極の選択「年収500万でタダ飯」が炎上するほどの「手取り15万以下」蔓延社会

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武井壮Instagramより

 タレントの武井壮が今月21日、Twitterに「究極の選択」と題したアンケートを投稿し、炎上状態となった。武井の考えた究極の選択は、以下のものだ。

(1)年収5000万だけど飯は一生塩おにぎり、昆布とふりかけは付けてもいい
(2)年収500万だけど飯はどの店も無料で食べ放題

 高所得でありながらも塩おにぎりしか食べられない生活か、低所得でありながらも様々な食事を無料で食べられる、のどちらが良いかという「究極の選択」ということのようだった。

 しかし年収500万円を低所得扱いしていることにツッコミが続出した。「年収500万円は低くない」「武井壮は庶民感覚がわかっていない」などの声が多数発生したのである。

<食事がどの店も、無料じゃなくても年収500万ってそこそこの暮らしができます>
<武井さん、今の日本の現状知ってほしい…>
<世間知らずにも程があるな>
<武井さんも一般人の金銭感覚知らないのね…。 年収500万は十分多い>
<年収500万でタダ飯なんでも食べ放題って天国じゃないですか 地方なら家も車も買えますよ>

 アンケートの結果は、90%が「(2)年収500万だけど飯はどの店も無料で食べ放題」をセレクト。これを受けて武井は、<へえー、みんな(2)なんだなぁ>と驚いたようだ。

<日本人の平均収入449万円より少し多い年収と、かなりリッチな5000万とだと、ご飯が自由に食べられるがあれば500万円でいいと思う人が多いんだねえ。年収の中央値が360万円らしいからアップしてご飯食べ放題で十分と思う人が大半なんだね。塩むすびだけだと遊びや家、仕事が充実しても喜べないのかなあ>

 現実には、年収5000万だが塩むすびしか食べられない生活も、年収500万だがタダでごはんが食べられる生活も実在しないだろう。塩むすびと、お金や遊びや仕事を天秤にかけることは空想に過ぎないわけだが、この二択が成立しないのは今の日本で年収500万円は本当に「お金持ち」レベルだからだ。

月30万円を低所得扱いして炎上した広告

 今年6月には、阪急電鉄の中吊り広告も武井壮と似たような炎上を起こしていた。

 物議を醸した広告は、企業ブランディングを手掛ける株式会社パラドックスと阪急電鉄のコラボ企画で、『はたらく言葉たち』(パラドックス・クリエイティブ)という書籍から抜粋したもの。もっとも話題となったのはこの文章だ。

<毎月50万円もらってまいにち生き甲斐のない生活を送るか、30万だけど仕事に行くのが楽しみで仕方ないという生活と、どっちがいいか。 研究機関 研究職/80代>

 こちらも、毎月30万円の給料をもらう人が低所得者かのような扱いになっている。この広告に対しても、<月20万円以下でやりがいのない仕事をしている自分はどうすればいい?><月30万は裕福です>などの批判が勃発、上級国民の戯れ的な広告は腹が立つとして炎上した。

「#手取り15万円」「#手取り14万円」

 上記の武井壮ツイートや阪急電鉄広告への反応からわかるように、現在の日本において年収500万も月30万の収入も、相対的に見て少ないとは言えなくなっている。今年9月にTwitter上で「#手取り15万円」がトレンド入りし、生活が苦しいと嘆く人が多発したことも記憶に新しい。

 手取り15万円問題の発端は今年7月。ニュース番組『news zero』(日本テレビ系)が、手取り23万円で「最低賃金の暮らし」をしているという男性を特集したことからだった。

 男性は「洗濯機が買えない」「食事は夜は食べない」「貯蓄はほぼない」と、生活の苦しさを語ったが、ネット上では「自分は手取り23万もない」「それだけもらっていれば十分でしょ」など、手取り23万円以下の人々が反応。いかに給料が少ないかのマウント合戦は、以降も長引いていく。

 9月になると、あるTwitterユーザーの「手取り15万という死なないギリギリのラインの雇用が日本中に蔓延しているとは思わなかった」といったツイートをきっかけに、ハッシュタグ「#手取り15万円」がTwitterのトレンド入り。

 「自分も同じ」だと共感する声もある一方、「15万円あれば貯金もできる」「自分の手取りはそれ以下だ」という声も多く、10月には、さらに1万円下がった「#手取り14万円」がトレンド入りしたのだった。

 総支給額から税金や社会保険料などを引かれた手取り15万円で、仮に賞与が年間2カ月ぶんあるとして、一年間の手取りは210万円程度になる(年収にして270万円ほどだろうか)。武井壮が示した「年収500万」の手取りは、およそ380万円ほどだ。

 この「手取り○○円」問題を、自己責任に転嫁する向きも根強く、「転職すればいい」「自分の努力不足だ」と切り捨てる声もネット上にはある。特に金や権力を持つ社会的強者が自己責任論を唱えれば、自分も低所得なのにそれに乗っかって貧困叩きをする人もいる。しかし、貧乏マウンティングも自己責任論も、誰も救わない。個人の努力や頑張りの問題ではなく、社会の構造問題なのだ。

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