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残業代は払わせることが出来る! ブラック企業と闘う方法

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残業代を払ってもらうにはどうしたらよい? あまり知られていないブラック企業と闘う方法の画像1

「GettyImages」より

ブラック企業と“闘う”という選択肢

 前回までの連載で、ブラック企業に就職・転職しない方法について解説した。

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ウェジー 2019.11.19

 しかしながら、現在勤めている企業が優良企業であっても、ブラック化してしまう可能性もある。大企業であっても例外ではない。業績不振から余剰人員の整理を進めるために、パワハラを伴った退職勧奨がなされることは珍しくない。中小零細企業においては、賃金が支払われないまま一方的な解雇が通告されることもある。

 こういった場合、安心して働ける会社に転職できるならそれが一番だ。だが、いきなり会社を辞めて転職活動をする場合、雇用保険が支給されるまでの生活費の蓄え(3カ月間)がないと危険である。また、あなたが35歳以上の場合、自分が経験してきた職種以外は転職が難しくなるのも現実だ。未経験の仕事に就くことは不可能ではないが、転職期間が長くなるし、今より給与が下がる可能性が高い。

 安心して働ける企業に転職するのが難しいようなら、会社と闘ってみるという選択肢もある。特に、残業代未払いや、長時間残業が理由で悩んでいる場合は、紙一枚で解決するケースもある。やってみない手はないだろう。

会社と闘う方法は3種類ある

 連載第1回、第2回の「ブラック企業を紙一枚で辞める方法」で、会社とのトラブルで労働者の味方になってくれる存在は、3つあることを説明した。「弁護士」「労働基準監督暑」「労働組合」だ。これらは、会社を辞めずに闘う場合も味方になってくれる。ただし、法的な制限や経済的条件などで、選択枝が絞られてくる。以下にまとめる。

・弁護士

 原則としてどんなトラブルでも対応が可能。有料での対応となる。

・労働基準監督署

 労働問題に限定した警察(特別司法警察員)としても機能しているため、的確な使い方をすれば、速やかに対処してくれる。ただし、パワハラ、セクハラといった、労働関連法規での取締りが難しい違法行為や、退職手続きの問題などは、対応が難しい場合が多い。

・労働組合

 会社にまつわるトラブルなら、なんでも対応が可能。また、労働組合だけに与えられている団体交渉権(経営者側を話し合いの席に強制的に着かせる権利)団体行動権(ストライキ)などが、法的に認められている。ただし、必ずしも法律を学んだ者がいるとは限らないため、交渉力が弱い労働組合に加盟すると、トラブルが長引くリスクもある。一般的に、年で数千円程度の会費しかかからない団体が多く、経済的負担が少ないというメリットがある。

残業代未払い・長時間残業は労働基準監督署へ

 さて、ここからは実際に会社と闘っていく方法を説明したい。すでに説明したように、会社にまつわるトラブルを相談する窓口は、大きく分けて3つある。それぞれ、対応可能な分野があるので、窓口を分けて相談するのだ。

残業代未払い・長時間残業

 まずは労働トラブルでもっとも多い残業代の未払いや長時間残業についての対処について解説する。

 残業代未払いと長時間労働についてのトラブルについて助けてもらうのは、意外に簡単だ。タイムカードのコピー(もしくはそれに準ずるもの)と、給与明細のコピーを用意して、労働基準監督署に出向くだけでよい。

 是正申告という制度がある。これは、労働関連の法令違反が起きている場合、労働者が労働基準監督署に会社側に違法行為を行わせないよう労働基準監督書に指導を求める制度だ。是正申告は口頭でも申請できるが、申し立ての証拠が残るように、是正申告書を作って持参するとよい。文例を示すので参考にしてほしい。

―――

労働基準法違反申告書(労働基準法104条1項に基づく)
渋谷労働基準監督署長 殿(会社所在地管轄の労働基準監督書に書き換える)
【申告日】
令和 元年 11月30日
【申告者】
〒111-1111
住所:東京都渋谷区1-1
氏名:山田一郎
電話番号:090-****-****
【違反者】
〒111-2222
所在地:東京都渋谷区青山1-1
名称:●●株式会社
代表者:経営太郎(あなたが勤めている企業の代表者名)
電話番号:03-1111-1111
【労働基準法違反の事実】
 申請者は、違反者と雇用契約を締結して業務に従事している。添付資料のタイムカードと給与明細で示すとおり、申請者は、違反者が雇用する役職者に命じられて時間外労働に従事した。だが、違反者は時間外労働の事実を認めず、また時間外労働分の賃金を支払おうとしない。
【違反する労働基準法の条項】
労働基準法第  37条
【申告の趣旨】
上記違反者における労働基準法違反の事実調査およびその違反行為に対する速やかな是正措置を求める。
【添付書類】
・タイムカードならびに給与明細書の写し

―――

 この文例を雛形にして、是正申告書を作り、会社がある管轄の労働基準監督署に提出すればよい。なお、管轄の労働基準監督署は、厚生労働省のホームページで調べられる。

国が賃金の一部を立て替えてくれる

 「ブラック企業を紙一枚で辞める方法」で、労働基準監督官は圧倒的に数が少なく、ブラック企業を取り締まりきれない実態があることを説明した。それなのに、なぜ労働基準監督署に頼るのかと疑問に思った方もいるのではないだろうか。

 まず弁護士に依頼する場合とは違って、無料で対応してもらえるというメリットがある。それよりも大きなメリットとして、未払賃金立替払い制度を利用できることがあげられる。労働基準監督署が是正申告に入った結果、経営が著しく悪化していて、事実上倒産しているか賃金の支払いが困難な状態に陥っていると判断された場合、国が賃金の一部を立て替えてくれるのだ。

 会社が1年以上事業活動を行っていたことと、労働基準監督署が事実上の倒産ないし、賃金の支払い能力がないと判断するという条件があるものの、これは大きなメリットである。弁護士に賃金や残業代の回収を依頼する場合、金額によっては弁護士費用のほうが高くなる場合もある。

 また、会社側に現金や財産が残っていなければ、いくら弁護士であっても賃金を回収することはできない。賃金未払いや残業代未払いのファーストチョイスとして是正申告を利用するのは賢明である。

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