社会

東大特任准教授が「中国人採用しない」、差別発言を止めず正当性を主張

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大澤昇平氏の著書『AI救国論』 (新潮新書)

 東京大学大学院情報学環・学際情報学府の特任准教授であり、AI事業会社「Daisy」の代表取締役・大澤昇平氏が、自身のTwitterアカウントで「中国人は採用しません」とツイートした問題。東京大学や大澤氏の担当する講座に寄付をしたマネックス証券は、「極めて遺憾」とのコメントを発表した。

 大澤氏は今月20日、<弊社 Daisy では中国人は採用しません><中国人のパフォーマンス低いので営利企業じゃ使えないっすね>とツイート。このツイートに批判的なリプライが届くと、<じゃーあんたの会社で採用すれば? 俺はいらないんで>と返信を引用する形で投稿を続けた。

 同じユーザーから今度は<してます。もしある人が面接に来て、その人が中国国籍だったらどうしますか?>と質問されると、大澤氏は<そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします>と返した。

 大澤氏のツイートには「人種差別は許されない」「ヘイトスピーチです」といった批判と抗議の声が殺到し、問題はいまだ収束していない。

東京大学と関連企業は「遺憾」

 この騒動を受け、大澤氏が特任准教授を務める東京大学大学院情報学環・学際情報学府は24日、「学環・学府特任准教授の不適切な書き込みに関する見解」を公表した。

 それによれば、<これらの書き込みは、当該教員個人または兼務先組織に関するものであり、学環・学府の活動とは一切関係がありません>とのことだが、<学環・学府構成員から、こうした書き込みがなされたことをたいへん遺憾に思い、またそれにより不快に感じられた皆様に深くお詫び申し上げます>としている。

 同日、大澤氏の担当する講座に寄付をしていたマネックス証券も、大澤氏のツイートに対する見解を発表。

<マネックスグループは、元来ダイバーシティを尊重する企業であり、また、持続可能な経営を進めて行くため、人権の尊重を事業活動における重要課題として認識し、人権の尊重の更なる実践に向けて「マネックスグループ人権方針」を制定しております。本日、東京大学大学院情報学環・学際情報学府より「学環・学府特任准教授の不適切な書き込みに関する見解」が発表されましたが、当社としては、本特任准教授の価値観は到底受け入れられるものではなく、書き込みの内容及び現在の状況に関して、極めて遺憾であります>

 マネックス証券は、大澤氏の口座への寄付は速やかに停止する方針だという。

 しかしいずれにも、当該教員である大澤氏の名前は書かれていない。

大澤氏は正当性を主張し続ける

 大澤氏は自身のツイートの正当性を、Twitter上で主張し続けている。

 大澤氏に対して「これは差別煽動・ヘイトスピーチであり、レイシズムやホロコーストを助長するものである」という意見があることについて、「理論的な飛躍が大きい」とし、以下のように述べている。

<たとえばある企業が「新卒採用では大卒しか採用しない」と発表したところで、それが高卒全体の集合がホロコーストに逢う危険を助長していると言えるでしょうか>

 また大澤氏は、人物属性を考慮に入れることが不当なのであれば、企業の書類選考はすべて不当と主張する。

<今回の採用方針が統計的差別にあたると認定されたところで、「では、私企業が業績を向上する目的で、統計的差別をすることは許されないのか」という点には大いに議論の余地があります。人物属性を考慮に入れることが不当なのであれば、企業の書類選考はすべて不当ということになります>

 上記のようなツイートにも批判が飛び交う一方で、「中国人は能力が低い」「国籍による差別は妥当なことだ」という大澤氏の意見を支持する声も残念ながら少なくない数、可視化されている。

 妥当な差別。合理的な差別。特定のカテゴリを排除したい側にとって、差別は常に「合理的」な手段だっただろう。排外主義者を煽動する大澤氏は、そのことに自覚的なのだろうか。いずれにしろ、<東京大学の特任准教授>であり、<AI事業会社の代表取締役>という肩書きを持つ大澤氏が、「中国人差別」にお墨付きを与えたことは確かだ。東京大学側はその権威をヘイトスピーチに利用されていることになる。

 前掲の東京大学大学院情報学環長・学際情報学府長による「見解」では、東京大学憲章の「東京大学は、構成員の多様性が本質的に重要な意味をもつことを認識し、すべての構成員が国籍、性別、年齢、言語、宗教、政治上その他の意見、出身、財産、門地その他の地位、婚姻上の地位、家庭における地位、障害、疾患、経歴等の事由によって差別されることのないことを保障し、広く大学の活動に参画する機会をもつことができるように努める」という理念を引用。「学環・学府は、この理念に則り、国籍はもとより、あらゆる形態の差別や不寛容を許さず、すべての人に開かれた組織であることを保障いたします」としている。

 しかし国籍差別を肯定して憚らない大澤氏の言動によって、その「保障」が脅かされていると不安に思う学生たちもいることだろう。<東京大学の特任准教授>による一連の言動の何をどう「不適切」だと判断するのか、大学側にはより突っ込んだ説明をしてほしい。

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