産後、夫とのセックスを拒絶し続けた妻がセックスレスを解消するまで

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向き合います。更年期世代の生と性

 産後すぐからはじまって、更年期世代に至るまで長くセックスレス――そんな夫婦は日本において、決して珍しい存在ではないのではないか。相模ゴム工業株式会社の調査「ニッポンのセックス2018年版」によれば、<結婚相手または交際相手とセックスレスだと思う>という設問に、53.6%がYESと答えている(男性は57.9%、女性は50.0%)。

 今回お話を聞いた舞子さん(49歳・仮名)は、更年期に関する専門家・メノポーズカウンセラーの資格取得を目指して2019年度の認定試験を受けたばかり。彼女が更年期について学んでみようと思った理由のひとつに、夫と15年近くセックスレスだったことがあるという。しかし現在はセックスレスを解消し、週に2回は夫とのセックスをエンジョイしている。どのように関係を修復したのか、詳しくうかがった。

最初から「楽しい」と思えなかったセックス

――ご主人は同じ歳でいらっしゃるんですよね。舞子さんとご主人は結婚20年で、いま高校生と中学生のお子さんがいらっしゃる。セックスレスはいつ頃から?

「私、若い頃からセックスに関しては淡泊なほうで、それに加えて主人とのセックスは、サイズが合わないというか痛みが強かったんです。主人は身長が2メートルと大柄で、男性器も大きい。どのぐらい大きいかというと、日本はおろか海外で販売されているコンドームさえどれもサイズが合わないぐらい、と言えば想像してもらえるでしょうか」

――痛みを伴うセックスはつらいですよね。

「はい。主人と交際中や、結婚当初まだ子どもがいなかった頃は、私が濡れにくくてもジェルを使ったりしてなんとか頑張っていたんです。その頃は『絶対にしたくない』という気持ちにまではならず、『(夫のことが)大好きだし、頑張ろう』みたいな思いでしたね。自分が楽しむというより、セックスとは男の人が射精するためのもの、という考えがどこかにありました」

――なるほど。では変化が生じたのは出産後でしょうか。

「17年前に32歳で長女を妊娠し、出産しました。出産後は、性欲ゼロの状態になりましたね。難産で、女性器が大きく裂けてしまい、出産後にお医者さんがそれを縫合した際の痛みと恐怖が頭に残ってしまったんです。縫合の痛みのほうが、出産よりずっと痛かった。そんな記憶が脳に残っていたことと、なにより初めての子育てに必死だったので、彼からのセックスの誘いを断り続けるようになりました。育児の大変さを言い訳にして」

――出産後に性欲がゼロになる。舞子さんでなくとも、それはとてもよく聞く話です。ホルモンバランスの変化も関係していると思います。でも、なかなか性欲は回復せず?

「戻りませんでしたね。出産後、1年ぐらいで生理が再開したんですが、主人には『1カ月ぐらい生理の出血が止まらないんだ』と嘘をついたりして拒み続けて。私たちは同じ寝室、同じベッドで眠っているので、彼が寝静まるのを待ってから私はそっと寝室に入るようにして、セックスの機会を避けました。そのうちに、たとえば『いってらっしゃい』を言うときに、彼の体に手を触れることさえためらうようになり……。些細なスキンシップを、セックスOKのサインだと受け取られてしまったらどうしよう、と怖くなったんです」

――ボディタッチがセックスへの引き金になってしまうと?

「ええ。タッチがあったから今日の夜はOKってことかな、とか。もしもそんなふうに彼に受け取られたらどうしよう。そう思ったら、触れることさえできなくなったんです。だからスキンシップもしないように毎日気をつけて……とにかくなにがなんでもセックスをしたくなかったですね」

第二子の子作りで「俺は種馬か」

――ご主人はそんな舞子さんをどんな風に見ていたんでしょう?

「半年に1度は、セックスレスについての喧嘩がありました。彼は、『セックスレスは夫婦にとって深刻な問題だから、一緒にカウンセリングに行こう』『2人で受けることに抵抗があるなら、別々でもかまわないから』と提案してくれました。けれど私は『だって……子育てだって大変だし、仕方ないじゃない』とモゴモゴごまかしていました」

――でもお子さんは2人ですよね。その状況でどうやって次のお子さんの妊娠に結びついたのかが気になります。

「長女が生まれた当初から、2歳離してもうひとり子どもが欲しいよねと2人で話しあっていました。最初の出産から2年が経ち、予定通り2人目を作りましょうとなったんですね。でも私はなるべくセックスする回数を少なくしたいので、産婦人科に通い、排卵の時期を特定したんです。排卵チェックのキットを使い、ここから6時間以内に排卵するとわかったタイミングで、会社で働く夫に連絡しました。『今日だからね!』と。そのタイミングを逃さずにセックスするようにしたら、無事、次女を妊娠したんです。でも、主人はそんなやり方に抵抗があったようで、『俺は種馬か』と言われたこともありました」

――ともあれ次女を出産されて。

「いえ、実はそこから2回流産を経験し、不育症の治療に通いました。治療後に子作りを再開したんです。長女を出産して4年後に妊娠し、無事に次女を出産することができました。でも次女を出産した後はやっぱりまたセックスレスに。小さい子どもがふたりいるし、私自身もフルタイムで仕事をしていましたし『セックスなんてとても無理』というオーラを出しまくって、セックスを避けました」

夫を愛してる、でもセックスはできない

――舞子さんはただセックスが嫌なだけで、ご主人に愛情はお持ちだったんでしょうか。それとも、ご主人に対する嫌悪感などもあったのですか?

「セックスを含むスキンシップはなくても、お互いのことはずっと変わらず大好きでした。彼とは話が合い、一緒にいて楽しいし面白いし、娘たちにとっても素晴らしい父親なんです。嫌悪感は彼にではなく、彼とのセックスに対してだけ持っていたと思います」

――舞子さんはフルタイムで働き、2人の子育てもある。それこそ目がまわるほどの忙しさだったと思いますが、ご主人と家事育児について分担されていたんでしょうか。

「私は我慢するクセがあって。家事育児についてはここまでしてほしい、と思うラインがあるのに、でも『彼は仕事忙しいもんね、疲れてるもんね』と思うと、『これもやって』とは言えなかった。言う代わりに、私が動いてしまう。でも私だって疲れているから、あの頃は『こんなに疲れてるのに、夜にセックスなんてとても無理だよ』という思いが常にありました」

――そんな気持ちが、よりいっそう舞子さんをセックスから遠ざけてしまった。

「いま思えば、不満ややってほしいことはちゃんと口に出して言えばよかったんだと思います。彼は普段から育児や家事を一緒にやりたい、と考える人ですから。私が勝手に言えないと思い込み、そのせいでイライラが募っていったんですよね」

――でも、毎回「あれやって」「これはこういうふうにして」と説明するのって、面倒ですものね。それなら自分でやっちゃおう、となる気持ちはわかります。

「そうなんです! 彼のほうから『これ、やろうか』と声かけてくれればいいのになぁと待っていたんですね。結婚生活が長くなったいまでは、家事育児の面で彼が『察して動く』というのは難しいことなんだとわかりますけど。あの頃は、お互いがまだ夫婦としてどういうスタイルでやっていけばいいか、わからないことがたくさんあったんですよね」

――セックスレスの話に戻りますが、ご主人に「痛いから、セックスが辛い」ということは伝えていたんでしょうか。

「はい、定期的にセックスレスについて喧嘩が勃発していましたが、その際に。彼はジェルを買ってきてくれたりしたんですけど……。私の気持ちがどうしても、セックスをしよう、とならなくって。たとえばギュッと抱きしめ合ったり、腕枕してもらって寄り添って眠るというのはいいんです。ただ挿入が苦痛で……。彼は『僕は挿入しなくってもいい』『舞子が楽しんでくれたらそれでいいんだ』と熱く語るんですけど、当時の私はそんな話を信じられなかった。『そうはいっても結局、挿入して射精したいんでしょ』って。セックスとはそういうものだと思っていたからです。

それでいつまでたってもレスが解消せず、やがて彼と目を合わすことも避けるようになりました。目を合わすことが『セックスOK』のサインととられたら困る、という思いと、目を合わすとまたセックスレスについての話し合いが始まってしまうんじゃないかっていう煩わしさで……」

 セックスレスになって約15年。果たして舞子さん夫婦のセックスレス問題はどのような結末を迎えたのか――。後編に続きます。

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