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虐待を肯定する「胎内記憶」池川明医師が立教大シンポジウムに 大学側の見解は

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池川氏の著書『胎内記憶でわかった子どももママも幸せになる子育て:「もって生まれた才能」の伸ばし方』(誠文堂新光社)

 立教大学が来月8日に開催予定としている、同大ウエルネス研究所主催の公開シンポジウム「霊性(スピリチュアリティ)と現代社会」に、胎内記憶研究の第一人者・池川明氏が講師として登壇予定となっている。このシンポジウムは、しばしば負のイメージを持つ霊性(スピリチュアリティ)の意味を<色々な角度から再検討し、令和の時代を迎えた現代社会における霊性の意味、その重要性に関して議論を深め>ることを目的としているという。

 池川氏は産婦人科医だが、20年近く前から著書やメディア、講演会で「胎内記憶」を広める活動をしている。2014年には池川氏らの主張する胎内記憶を題材にしたドキュメンタリー映画『かみさまとのやくそく』が制作され、この映画は現在に至るまで全国の自治体公民館などで巡回上映を続けている。

 池川氏いわく、子どもは母親の胎内にいた頃だけでなく、精子だった記憶や、前世記憶、中間生記憶(受精する前の記憶)を語ることもあるという。「子どもは空の上からお母さんを選び、やってくる」のだそうである。先月18日発売の「女性セブン」(小学館)記事では、胎内記憶について次のように紹介していた。

<生まれる前の記憶はそれぞれですが、子供たちが語るのは『私はお母さんを選んで生まれてきた』ということです。しかも子供は母親の役に立つために生まれてきたと言うんです>

 こうした胎内記憶説に感動して涙を流す母親もいるという。共感を覚える女性は少なくないのだろう。昨年2月に東京都内のホテルで開かれた「日本創世女性シンポジウム」なる会にも池川氏は出席し、映画『かみさまとのやくそく』も上映。これは「ママ育協会」という団体が主催したもので、シンポジウムには木村拓哉の母、菅田将暉の両親、安倍昭恵夫人も登壇した。絵本作家ののぶみも、池川氏に共鳴し、胎内記憶を広める役割を果たしている。

 子育てに悩む母親にとって、「子どもは自分を選んで助けようとしてくれている」という言葉は強い味方になるのかもしれない。しかし虐待を受ける子どもや障がいを持って生まれた子どもも、「お母さんのたましいを成長させるため、自分の意思でそうなった」と明言する胎内記憶思想に取り込まれていいのだろうか?

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安倍昭恵
ウェジー 2018.03.13

大人に「癒し」を与える子どもたち

 池川氏の著書『胎内記憶でわかった子どももママも幸せになる子育て:「もって生まれた才能」の伸ばし方』(誠文堂新光社)の中には、“虐待を体験する”というプログラムを持った子どもがいると書いてある。

<虐待を体験するというプログラムをもっている子どももいる>
<虐待をするお母さんの多くが、自分自身が親に受け止めてもらえなかったという思いをもっています。そういう闇に光を灯すには、どんな状況でも受け入れてくれるような子どもが必要です。その子の姿を見て、お母さんの心は変化していくのです>

 しかし、虐待をする親に必要なのは「どんな状況でも受け入れてくれる子ども」ではなく、専門性を有する大人の適切なケアだ。虐待されても親を受け入れざるを得ない子どもがどれほどつらいか。

 また、池川氏の著書『生まれた意味を知れば、人は一瞬で変われる – 胎内記憶・前世記憶研究でわかった幸せへの近道』(中央公論新社)には、先天性の障害や病気を持って生まれてくる赤ちゃんたちに「どうしてだろう?」と尋ねると、「みんな、どんな体で生まれてくるか、自分で決めるんだよ」と教えてくれるとある。さらに乳児院や養護施設で暮らす子どもたちは、「僕たちがここに来たのは、人を愛することを、周りの人に知ってもらうため」と語るそうで、「勇気ある魂が、幸せの連鎖を運んでくれる」というのだ。

 大人に「癒し」や「生きる力」を与えるために、子どもたちを利用してはばからないのである。

立教大学は「検討中」

 このような「胎内記憶」を説く池川明氏。立教大学で開催を予定しているシンポジウムには池川氏と“魂の成長”についての共著がある医師・長堀優氏と、自称・スピリチュアル系国連職員の萩原孝一氏も登壇予定だ。

 立教大学側はこのシンポジウムについてどのような認識でいるのか。問い合わせたところ、<学内で話し合いをしている>との回答だった。

<そのような声を受け、池川氏をシンポジウムに呼ぶか呼ばないかも含めて、現在関係者を呼んで学内で話し合いをしています>

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