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お金を増やしたければ「コスト」に注意 資産運用の3つのポイント

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「Getty Images」より

  自分のお金を増やしたいというのは、多くの人に共通する願望だと思います。しかしどのようにして増やせば大きなメリットを得られるのでしょうか。AさんとBさんの例から考えてみましょう。

  資産額の比較的多いAさんは、預貯金の他に、外国株式ファンドと外国債券ファンドを持っています。時価で3000万円ほどです。これらの商品の信託報酬はどれも年率2%前後です。信託報酬とは、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用ですが、別途支払うのではなく、純資産総額から毎日差し引かれます。

 Aさんの信託報酬を計算してみると、年間60万円にも上りました。信託報酬以上の運用成績をあげていれば問題はないのですが、中には、そうでないものもあり心配です。

 そもそも、Aさん自身、保有している投資信託にどのようなリスクがあるのか正しく理解していないという状況でした。購入した経緯は、取引をしている銀行員に系列の証券会社を紹介され、担当者が頻繁にコンタクトをとってきて、その結果購入した……というよくあるパターンです。

 Aさんは、別室に通され、丁寧な応対で、気持ちよくご購入されたそうです。頻繁に買い替えをしているところを見ても、いいカモといったところでしょう。どのファンドも販売手数料は3%台です。当然ながら、今も、「特別にご案内したい商品があります」「ポートフォリオをぜひ、再考してみましょう」など、しょっちゅう連絡があるそうです。

 一方、貯蓄が100万円ほどのBさんは、銀行員や証券マンからコンタクトがあるわけでもなく、自分でネット証券で口座を開設して、つみたてNISAで資産運用を始めました。全世界の株式に投資をするファンドを一本持っています。販売手数料はゼロ(ノーロード)で、信託報酬は年率0.1144%です。

運用成果の差は100万円。たかがコスト、されどコスト

 コストの話をしたいと思います。単純化した話で、「ちりも積もれば」ということを理解していただければと思います。

 たとえば、年率3%の利回りを出し続けられるファンドがあるとしましょう。100万円を投資し、20年間、分配金等を引き出さないで運用を続けるとします。信託報酬が0.11%の場合、20年後は、約177万円になります。

 一方、信託報酬が2%の場合、実質利回りは1%になりますので、20年後は約122万です。運用成果を比較すると、その差は55万円。信託報酬の差は、わずか1.89%でも大きな差が生じます。

 また、同じ条件で期間を30年間に延ばすと、信託報酬が2%のファンドは約135万円にしかなりませんが、信託報酬が0.11%のファンドは、235万円になります。運用成果の差は100万円にものぼります。

 ずっとコンスタントに3%のリターンを上げ続けられるファンドなどなく、あくまでこれは単純化した話ですが、お伝えしたいのは、「コストが高いとせっかくの運用成果も水の泡になってしまう」ということなのです。

資産運用のポイントは「長期・分散・低コスト」

 投資をするには大なり小なり手数料がかかり、コストはもちろんあなたの資産から支払われるので、同じリターンならコストが低いほうが実質利回りは高くなるということです。

 資産運用のポイントは、低コストの投資信託を使って国内外の株式に適切に分散し、長く運用を続けることです。

 投資信託は、商品によって信託報酬が異なります。一般的に、特定の指数への連動を目指すインデックスファンドのほうが、ファンドマネージャーの運用の腕が問われるアクティブファンドより信託報酬は低い傾向にあります。

 ファンドを作る時、運用する時、売る時、それぞれ関わる人が多いほど、手数料は膨らみます。それらの手数料を払うのは、その商品を保有する投資家です。

 もちろん、運用は人それぞれ、さまざまな考え方があってよいと思いますが、大きく間違えない方法として「長期・分散・低コスト」を覚えておかれるとよいでしょう。

 運用益にかかる税金も同じくコストと考えると、運用益が非課税になるつみたてNISA、NISA、イデコなどを優先的に使うほうがよいわけです。どこで運用し、何を選ぶかで結果に大きな差がつくということです。

 「いいサービスにはコストがかかる。価値があるものは高いのだ」という先入観を持っている方が多いようですが、こと投資に関しては考え方を変えたほうが良いでしょう。コストに気をつけることで、資産はより大きく増やすことができます。

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