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未婚ひとり親の所得税軽減へ 自民党内では今も「伝統的な家族観が崩れる」の声

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「Getty Images」より

 来年度の税制改正で与党は、未婚のひとり親の税負担を軽減する方向で調整に入った。与党で協議し、年末にまとめる2020年度の税制改正大綱に盛り込むことを目指すという。

 夫と死別・離婚した女性や、妻と死別・離婚したひとり親の男性に対しては、住民税や所得税の軽減措置を受けられる「寡婦(夫)控除」というものがある。しかし、未婚のひとり親は寡婦(夫)控除の対象外となっており、同じひとり親であっても婚姻歴の有無によって受けることができなかった。

 ひとり親家庭の貧困は深刻だ。母子世帯の母自身の平均就労収入(母自身の平成27年の年間就労収入)は200万円と極めて低く、離婚のひとり親は205万円、未婚のひとり親は177万円、死別のひとり親は186万円となっている。

 ちなみに「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯になった理由は「離婚」79.5%、「未婚の母」8.7%、「死別」8.0%。この中で「未婚の母」は、貧困でありながら「寡婦(夫)控除」の対象外となってきたのだ。

 こういった状況から、昨年の税制改正で公明党は未婚のひとり親への寡婦控除適用を主張した。しかし「伝統的な家族観が崩れる」「未婚での出産を助長する」「事実婚との区別がつきにくい」などといった理由から自民党が抵抗、未婚のひとり親への寡婦控除適用は見送られていた。

未婚ひとり親へも所得税の軽減処置

 今回提案されているのは「児童扶養手当」を受給している未婚のひとり親を対象に、寡婦(夫)控除と同程度の所得税の軽減措置を受けられる制度だという。

 また、10月30日に開かれた社会保障審議会の年金部会では、厚労省は未婚のひとり親や寡夫で所得の低い人を国民年金保険料の申請全額免除基準の対象に加える案を示している。全額免除となる所得基準額は、個人住民税非課税基準に準拠する形で、135万円以下となる見込みだ。現行基準では、配偶者と死別または離婚した寡婦で所得125万以下の人は申請すれば国民年金保険料の全額免除が認められているが、未婚のひとり親や寡夫は対象外だった。

男女での寡婦(夫)控除の格差も見直し

 「寡婦」と「寡夫」の格差についても見直されるという。現行制度では、「寡婦」には「一般の寡婦」と「特別の寡婦」がある。

・一般の寡婦
夫と死別・離婚し、所得38万円以下の扶養親族がいる人や、夫と死別・離婚し所得500万円以下の人が対象となっておる。所得税控除は最大27万円。

・特別の寡婦
夫と死別・離婚後に婚姻していない人で、扶養親族である子がおり、合計所得金額500万円以下、という全ての要件を満たした人が対象。所得税控除は最大35万円。

 一方、「寡夫」は一般・特別のくくりがなく、すべてのケースにおいて所得制限が設けられている。また、子どもがいない場合は、所得が低くとも寡夫控除は受けられない。

・寡夫控除
妻と死別・離婚しており、所得38万円以下の扶養する子どもがいる。さらに所得が38万円を超えていないことに加えて、合計所得金額が500万円以下という全ての要件を満たした人。所得税控除は最大27万円。

 こうした格差を無くすため、与党は夫と離婚や死別をした女性のひとり親にも、所得500万円以下という所得制限を設けようという案が浮上しているという。

 ただ、未だに自民党の中では、未婚ひとり親への税控除を「慎重にすべき」という意見が残っている。しかし、「伝統的な家族観が崩れる」「未婚での出産を助長する」などといった理由で、ひとり親家庭の困窮を放置していてよいはずがないだろう。どのような家庭環境に生まれた子どもであっても、国は手を差し伸べなければならない。

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