
「Getty Images」より
お正月恒例のお楽しみ、福袋。中身が見えないドキドキ感や、お値段以上の商品が入っているおトク感を楽しむのが福袋の醍醐味ではあるが、福袋ビギナーにはわからないことも多く、もし“ハズレ”だったら、損をしてしまったら……という不安もある。
そもそも食品、家電、雑貨、衣料などジャンルを問わず多くのショップが福袋を販売しており、どれを狙えばおトクなのかもわからない。なんとなくスルーしてしまっている方も多いのではないだろうか。
しかしスルーはもったいない。福袋情報を1年365日発信しているサイト『福袋カレンダー』の管理人で福袋の購入歴40年を誇るMOMOTA氏は「最近の福袋は進化しており、どれも“買い”です」と豪語する。
そこでMOMOTA氏に、2020年の福袋の最新事情や、注目の福袋について聞いた。

MOMOTA(ももた)
福袋の購入歴・約40年というサイト『福袋カレンダー』の管理人。福袋事情に詳しく、数多くのメディアに登場。百貨店やブランドの福袋企画に携わっている。 福袋カレンダー
近年の福袋にハズレはほぼ存在しない!
まず、福袋の購入にあたって何よりも懸念されるのが“ハズレ”の存在である。福袋でハズレを引かないようにするには、どうすればいいのか聞いてみると――?
「仮に、福袋の価格よりも中身の総額が下回ってしまうものを“ハズレ”と定義するならば、近年はどのお店の福袋もハズレはほとんどありません。ただし、ファッションの場合は好みが大きく影響します。
福袋が初めて世の中に出た時代は中身がほとんど告知されておらず、お店側も明確に“アタリ”と“ハズレ”の福袋を分けて用意していました。ですが、時代も移り変わり、ご存じの通り今はブログやSNSで個人が簡単に情報発信できる時代になり、口コミが大きな影響力を持つようになっていますよね。そのため粗悪な内容の福袋はネットで拡散されてしまい、ブランドイメージを落としてしまうケースが多々あるので、店側としてもハズレをなくすことを最重要視するようになっているのです。
ですから今はもう、ファッション福袋は中身の商品を見えるようにしたり、また、選べるようにしたりと工夫して、購入者が納得できるような福袋に変化してきています。それ以外の食品、コスメ、家電なども、小売価格がわかる場合が多いので損することはまずありません」(MOMOTA氏、以下同)
つまり、好きなブランドやほしいジャンルの福袋であれば、金額の面では損をすることはほぼないと考えてよさそうだ。
さらに、福袋市場への注目が高まったことで、現在は福袋の販売方法も大きく変わっているという。
「正月にそのお店に行って福袋を購入するというのが従来のスタイルでしたが、人気ブランドやメーカーの福袋は、現在は通販(ネット販売)が主流ですね。毎年、百貨店は10月半ばから、ファッションブランドは11月中旬~12月にかけて予約をスタートするケースが多いため、もうすでに福袋商戦は始まっていると言えます。
百貨店、ファッションモールなど、今でも当日朝の開店前から並んで購入するものもありますが、正月に店頭で販売される福袋にも変化が出ています。開店と同時にお客さんが売り場に殺到すると事故に繋がる危険性があるため、ブランド店などでは年内に予約を済ませて、正月は店頭に商品を取りに行くだけというスタイルが多くなっているのです」(同)
時代の移り変わりによって、福袋の中身や販売方法は進化してきた。
ではここからは、【食品】、【家電】、【雑貨】、【衣料】、【百貨店】のジャンルごとに、詳しくおトク情報を見ていきたい。
【食品福袋】商品引換券付きがお得度高し!
食品系の福袋では、カフェや菓子店などが販売する福袋が毎年話題になっている。しかも口コミ評価の高い店ばかりだ。
「食品系の福袋で損をすることはまずありません。例えば『ミスタードーナッツ』だと、雑貨などのノベルティグッズが入っていますが、それだけでなく2000円の福袋には2000円以上の価値がある商品引換券が必ず入っている、という具合です。
また、百貨店などで賑わいを見せる食品福袋ですが、なかでもオススメは、ココアで有名な『バンホーテン』や、洋菓子の『モロゾフ』。食品セレクトショップの『久世福商店』も、毎年おトク度が高くて人気です。特に『バンホーテン』はネット限定での販売ですが、高島屋のオンラインストアでは何度も売り切れているようで、入荷しては完売、入荷しては完売を繰り返すほどの人気となっています」(同)
【家電福袋】事前に福袋の中身がチェックできる!
高額な商品が含まれることもある家電量販店の福袋。ちょうど買い替えどきの家電が福袋の中身に入っていれば嬉しいが、値段も派手なものが多く福袋初心者には手が出しづらい……と思いきや?
「家電の福袋の多くは例年11月後半~1月にかけて受付が始まりますが、福袋の中身は事前に告知されることがほとんどなく、しかもネット予約開始時刻と同時にサーバーがパンクするような状態になります。なので、受付前に自分がどんな福袋を購入するかを決めておかないと、ぺんぺん草も生えない状態になります(笑)。
購入後に判明することですが、福袋の中身の合計金額と購入金額を比較すると、『ヨドバシカメラ』、『ビックカメラ』、『ノジマ』など多くの家電量販店が破格の値段で提供していることが一目瞭然です。目当ての商品があるなら即決断をオススメしたいほど、家電の福袋は絶対“買い”ですね」(同)
【雑貨福袋】ニッチなジャンルこそ狙い目
実用性の高い商品が入っていると嬉しい、雑貨の福袋。オールジャンルで扱う雑貨店もあれば、ニッチなジャンルに特化した雑貨店もある。
「今年の百貨店での売れ筋を見ていますと、キッチン雑貨では、耐熱ガラスにおいて世界に誇る日本メーカーとなっている『HARIO』がオススメです。『HARIO』の耐熱食器、コーヒー器具などの品質は言うことなしですからね。『HARIO』の福袋は西武そごう、東急百貨店、高島屋などの百貨店のオンラインストアで販売されています。
また、女性向けの小物などに使われる“レース”で有名なメーカー『近沢レース店』も、ハンカチやエコバックなどがラインナップされた福袋が激売れの予感。こちらも百貨店のオンラインストアでは即完売状態ですが、12月辺りに公式サイトでも販売します。
その他にも、キッチン用品からファブリックまで多岐に渡るジャンルの雑貨を扱っている『アフタヌーンティー・リビング』は、自社のオンラインサイトやその他通販で福袋の予約を受け付けています。ここの福袋は毎年、年齢層を問わず幅広く売れて評判もよいので、今年も狙い目でしょう」(同)
【衣料福袋】アウトドア系や子供服が◎
衣料品の福袋については、MOMOTA氏いわく「実は今年に限ってはあまり売れ行きがよくない」そうだが、そのなかで注目のブランド福袋は?
「さすがに毎年アウターの福袋を購入するわけにはいきませんが、アウトドア系、スポーツ系のブランドは変わらず売れていますね。また、子供の成長は早いので子供服ブランドの『OJICO』、『ミキハウス』、『PINK-latte』、『ナルミヤ』などの福袋も毎年とてもよく売れているようです。また、新年は新しい肌着を身につけたいのでしょうか、『GUNZE』や『フクスケ』、『ワコール』、『トリンプ』などのルームウェアは毎年よく売れています。ちなみに『GUNZE』は今年、12月6日から通販で新春福袋が開始されます。
ほかのジャンルに目を向けると、『RENOWN』、『オンワード』、『ITOKIN』、『ワールド』などのメーカー系は圧倒的に高い人気です。特にレディス、メンズともに多くのブランドを取り扱うアパレルメーカー『RENOWN』の福袋は注目ですね。2020年は、お客様への日頃の感謝を込めてひとりでも多くの方に行き渡るようにと、大人気ブランド『アーノルドパーマー』の福袋を多めに販売するそうですが、通販では即完売。ショップでの人気も相当ありそうです。
あとは、ここだけの話ですが、モノグラム柄のバッグや財布が人気の女性向けブランド『russet』も見逃せませんね。実は、百貨店の方から私のところに『russetに人が殺到しているからあまり情報を流さないでください』とお達しが入るほどの人気なんですよ(笑)」(同)
【百貨店福袋】体験型の“コト福袋”がアツい!
さて、2020年といえば、なんといっても東京オリンピック・パラリンピックの開催が目玉といえるだろう。五輪イヤーらしく、今年の百貨店の福袋も、スポーツなどの体験ができる“コト福袋”がトレンドだという。
「百貨店では、体験型福袋がアツいです。体験型のため、いずれも販売数が少なく限られているのがネックではありますが、例えば『阪急百貨店』では、リオデジャネイロ五輪で活躍した陸上の藤光謙司選手による“速く走るためのテクニックが学べる快速福袋”(2万円)を販売しますし、『西武百貨店』では西武ライオンズとコラボした“辻監督から西武魂ノックを受けられる夢の福袋”(2,020円)が発売されます。今回の初売り福袋では、多くの百貨店がオリンピックを意識した福袋を登場させそうです。
さらに、時代を反映したものとしては、『東武百貨店』で“未来のYoutuber育成福袋 Youtuberと一緒に動画を撮ろう!”と題し、Youtuber講師からネットリテラシーや動画の企画や撮影、編集方法を学べる福袋(1万円)が出ています。
『東急百貨店』では、再開発に伴い来年3月に閉館する東急東横店から特別に“ハッピープランという福袋が用意されるようなので、こちらも注目度が高いですね。発表はまだですが、12月中を予定しているそうです」(同)
多種多様な種類がある上、SNSなどで口コミ過多になっている福袋。MOMOTA氏のアドバイスを参考にして、福袋初心者の方も、ベテランの方も、素敵な2020年の幕開けを迎えていただきたい。
(文・取材=福永全体[A4studio])