ライフ

抗インフルエンザ薬、使う? 使わない? 小児科医のアドバイス

【この記事のキーワード】
MoritoYasumi201912

「Getty Images」より

 周囲でインフルエンザが流行っているとき、お子さんに急な高熱が出たら「インフルエンザかもしれない」と心配になりますね。どうしたらいいでしょうか。

 まずは検査をしてもらわなきゃ、と考える方は多いと思います。現在、多用されているインフルエンザの迅速診断キットは、2000年前後から使われています。患者さんの鼻の穴やのどに細い綿棒を入れて採取した粘液や、吸引した鼻水を、専用の小さな容器に入っている試薬と混ぜます。これを片手に乗るほどの大きさのテストデバイスにポタポタとたらすと、数分間でインフルエンザA型かB型、あるいはどちらでもないとわかるというものです。

検査せずに診断がつくことも

 これは、私が医師になったころにはなかった検査ですし、現在でも世界中で使われているわけではありません。日本でも使っていない医療機関はあります。きょうだい内にインフルエンザの人がいた、あるいはクラスで隣の席の子がインフルエンザになったなど「周囲で流行している」というエピソードや、急な高熱や頭痛といった症状をもってインフルエンザだと判断されることもあります。これを臨床診断と呼びます。

 私はこの臨床診断をすることがありますし、検査キットを使うこともあります。後者は、保護者からの「どのくらい感染予防に気をつけたらいいかの判断材料にしたいから検査してはっきりさせてほしい」という希望を受けてのことが多いです。特に学校に行っている子だと、出席停止になるかどうかが重要なので、たいていは検査を希望されます。「高熱なのに元気だからインフルエンザじゃないんじゃないかな」といって検査をしないことを勧めても、保護者が「はっきりさせたいのでやってください」と希望して検査をすることもあります。

 このインフルエンザ迅速診断キットは、いろいろな会社から発売されていますが、発熱してすぐには有用ではありません。「発症から12時間経ってからでないと、本当はインフルエンザなのに陰性に出てしまうことがある」と聞いたことがあるでしょう。一般的にはそのくらい経っていることが望ましいですが、医師は経験上、もっと短い時間でもインフルエンザの迅速診断で陽性になることを知っています。キットを使って検査するにしても、たいていの子どもは鼻に綿棒を入れられるのをとても嫌がるので、検査をするかどうか、どのタイミングで検査をするかは医師に相談してもいいですね。

 インフルエンザと診断されたら今度は「お薬を飲まなきゃ」となるでしょう。一方、 今は、インフルエンザは“特別なことをしなくても治る病気”だということが、医師にも一般の人にも浸透してきたように思います。

 熱や頭痛、関節痛、筋肉痛がつらかったら解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェン、咳がひどかったり、気持ちが悪いなどの消化器症状があったりしたら、それぞれ対症療法をします。けっきょく症状がなんであれ共通していえるのは、水分を十分に摂り安静にしているのが一番ということです。つらい症状があったらそれを医師に相談しましょう。インフルエンザとは、そういった対症療法で自然に治る感染症です。

1 2

あなたにオススメ

「抗インフルエンザ薬、使う? 使わない? 小児科医のアドバイス」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。