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差別発言繰り返した東大特任准教授の「大学教員と個人は別」という主張は正しいか

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 東京大学大学院情報学環・学際情報学府の大澤昇平特任准教授による人種差別的な発言が批判され、大学が謝罪したにもかかわらず、准教授が自説を曲げず反論を続けていた問題で、とうとう本人も謝罪に追い込まれた。准教授は、一連の発言は企業経営者としてのものであり、大学とは無関係と主張していたが、その論理は通らなかった。

 組織に属する人が問題発言を行い、組織と個人は無関係であると主張するケースがしばしば見られるが、こうした論理は果たして通用するものなのだろうか。

発言を批判されてさらにヒートアップ

 大澤昇平氏は非常にユニークな経歴を持っており、通常の大学進学コースではなく、工業高等専門学校から筑波大学に編入。19歳の時に経済産業省から極めて優れた能力を持つとされるスーパークリエータの認定を受けるなど、早くからその才能を発揮してきた。その後、東大大学院に進学し、今年4月には31歳の若さで東大の特任准教授に就任している。

 大澤氏は自身が設立した企業でAIやブロックチェーンに関する研究開発も行っているが、今年の11月にツイッターで「弊社では中国人は採用しません」「中国人のパフォーマンス低いので営利企業じゃ使えないっすね」などと投稿し、人種差別発言ではないかと批判された。

 批判を受けると大澤氏はヒートアップし、「資本主義の文脈において、パフォーマンスの低い労働者は差別されてしかるべき」「風が吹けば桶屋が儲かるくらい論理的な飛躍が大きい」などと反論。さらには、「醜いアヒルの子の定理」(純粋に客観的な立場から見ると、何を比較しても同程度に似ているとしかいえないという定理)まで引き合いに出し、自身は間違っていないとの主張を繰り返した。

 一連の発言を受けて大澤氏の講座に寄付を行っていたマネックスグループなど各社が一斉に寄付を停止、大学も謝罪に追い込まれ、大澤氏に対して発言をやめるよう勧告していたが、肝心の大澤氏は反論を継続。ようやく12月になって大澤氏が謝罪するという状況になった。

 ここでは大澤氏の発言内容については深く立ち入らないが、非常に興味深いのは、大澤氏が企業経営者と大学教員としての発言は別であると繰り返し主張していたことである。

 ツイッターでも「大学とは無関係の案件ですからね」「私企業の思想の話が大学で問題になり、何らかの処分が下ると考えているならあなた相当頭イカれていますよ」と発言していたところを見ると、本当に、国立大学の教員と、自身の研究と関連する開発を行っているベンチャー企業経営者の立場は別と考えていたようである。

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