アメリカは11月28日のサンクスギヴィングを終え、ホリデー・シーズンに突入した。今や国中がクリスマスやハヌカ(ユダヤ教の祭日)のイルミネーションであふれている。
2020大統領選の民主党候補者たちもホリデー・スピリット(祝祭気分)を漂わせて有権者に朗らかな笑顔で手を振り、握手やハグを続けてはいるが、内心は必死だ。州別の予備選の第1弾、アイオワ州の党員集会が2月3日と、もう目の前に迫っているからだ。
予備選は以後、17州で一斉に行われる「スーパー・チューズデー」(3月3日)を挟み、6月まで延々と続く。全州での予備選の終了後、夏の党大会で大統領と副大統領の候補者が正式に発表される。そこから11月3日の大統領選の日まで、共和党の候補者(それまでに弾劾されなければ、おそらくトランプ)との激しい一騎打ちの選挙戦となる。
総勢29人もの立候補者がひしめき合い、6月から毎月1回のディベートを繰り返してきた民主党だが、ここにきて候補者の支持率に変化が見られる。
11月のディベートに参加できたのは10名。規定以上の支持率と献金者数をクリアしたメンバーだ。その中で最も高い支持率を維持しているのが、元副大統領のジョー・バイデンである。
続いて前回2016年も立候補し、ヒラリー・クリントンとの接戦の挙句に苦渋を飲んだバーニー・サンダース、前回は立候補を噂されながらもヒラリーに譲る形で出馬しなかった上院議員のエリザベス・ウォーレンの2人が競り合っている。第4位につけているのは、支持率が急上昇したピート・ブティジェッジだ。
上記の4人がそれぞれ2桁の支持率なのに対し、他の6人は全て1桁と大きく差が開いている。メディアや有権者を驚かせているのは、当初、大きな話題を集めたカマラ・ハリス(上院議員)の支持率の低迷だ(追記)。逆にアジア系のアンドリュー・ヤン(実業家)は、支持率1桁ながらこの時点まで生き残っていることが、やはり大きな驚きだ。

カマラ・ハリス

Andrew Yang by Marc Nozell
支持率はやはりそれほど高くないものの、エイミー・クロブシャー(下院議員ミネソタ州)は健闘している。対してタルシ・ギャバード(サモア系、下院議員ハワイ)は苦戦。

エイミー・クロブシャー

タルシ・ギャバード
選挙戦開始時、かつてない大量の人種民族マイノリティ、女性、ゲイの出馬により「白人男性候補は逆に不利」などと語られた。それも今では落ち着き、各候補の政策と、プログレッシブか中道かが重要項目として注視されている。
しかし、アメリカの選挙では人種、ジェンダー、そして性的指向は、やはり勝敗左右する大きな要素だ。