セクハラの線引きで「それじゃ女性と仕事できない」と嘆く必要はない

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『とくダネ!』公式サイトより

 今月2日、就活セクハラの対策を訴える学生団体「SAY (Safe Campus Youth Network)」が厚生労働省で記者会見を開き、緊急声明を発表した。「SAY」は東京大学、早稲田大学、慶応義塾大学、上智大学、創価大学、国際基督教大学の6大学の学生からなる、有志の団体だ。

 就活セクハラとは、企業側の人間が採用面接やOB訪問で訪れた学生に、“採用する側”という優位な立場を利用してセクハラをすることだ。容姿批判や性的な質問、身体を不必要に触る、「ホテルに行くなら面接を通す」と脅すなど様々なパターンがある。

 OB訪問をめぐっては逮捕者も出ている。

 今年2月、大手ゼネコン・大林組の男性社員が、OB訪問マッチングアプリでマッチングした女子大学生を「パソコンを見ながら面接指導をする」と自宅に誘いこみ、わいせつな行為をしたとして逮捕された。逮捕された男は女子大学生に対して、「わいせつ事件が表に出ると就職には不利だ」といった内容の口止めをしていたという。

 3月にも、大手商社の住友商事社員だった男が、OB訪問を受けた女子大学生を泥酔させて宿泊先に侵入、性的暴行を加えたとして逮捕された。

 「SAY」は緊急声明の中で政府に対して、厚生労働省が取りまとめる「ハラスメントの指針」に就活セクハラの実態を反映させること、大学に対しては相談窓口を設置するほか、受け身の体制ではなく、ハラスメントに関するガイダンスを実施するなど、被害が出ないようにする対策を要求した。

 また同世代の就活生にも、当事者意識をもって声を挙げてほしいと訴えている。

<今、学生であるあなたたちが“就活セクハラ”について、深く悩まずに済んで生きていけるのは、あなたたちの性別や学歴が本当に偶然たまたま守ってくれているだけです>
<学生自身が当事者意識を持って学生自身が声を上げないと、この長年積み重なってきた伝統を崩すことは難しいです>

カズレーザー「ルールはあるけどモラルは上がっていない」

 「SAY」の会見は様々なメディアで取り上げられ、3日の『とくダネ!』(フジテレビ)でも特集が組まれた。

 まず番組では、学生たちがどのような就活セクハラの被害に遭っているのかを紹介。実際に会社側から言われたこととしては、「彼氏はいるの?」「すぐに結婚されると困る」「美人ではないけど、面接で通るくらいの可愛さはあるね」の他、執拗にデートや食事に誘われるパターンもあるという。

 火曜日スペシャルキャスターのメイプル超合金・カズレーザーは、就活で性暴力被害に遭った学生は戦うべきだと訴えた。

<(性暴力は)セクハラではなく犯罪行為なので、みんな一矢報いたほうがいい>
<嫌な思いをしたら戦ったほうがいい>
<そんなことまでして行く会社じゃない>

 しかし就活生は「内定が欲しい」という必死の思いで就活をしている。被害を訴えることは就活で不利になるという恐怖も、声を上げられない原因になっている。就活セクハラは、そういったパワーバランスを利用しているからこそ、より悪質なのだ。

 また、就活セクハラにあった学生の“落ち度”を指摘する意見も少なくない。先に紹介したOB訪問でのわいせつ事件が明るみになった際も、ネット上では「部屋に付いて行った女も女だ」などと、自己責任だと女子学生を責める声もあった。被害者に落ち度はないということを、政府や大学が率先して発信し、学生を守る環境を整えることが優先されるだろう。

 また、司会の小倉智昭氏から意見を求められた若狭勝弁護士は、大企業はハラスメントについて学習しているはずだが、悪い流れになっていると指摘する。

<大企業は、最近はパワハラ・セクハラについては学習してきている>
<雇用関係にまだないということだから、学生らに対して、本来は雇用関係にある労働の場ではしっかりしているんだけど、そういうところに全部いっちゃうという>
<ある意味悪いパターンになっている>

 カズレーザーからは、<ルールがあるだけでモラルが上がっているわけではないんですね>と、的確なツッコミが入った。

「ハラスメントの線引き」という議論に発展

 小倉氏から「同性としてどうですか?」と意見を求められた中江有里氏は、「SAY」の会見を勇気ある行動と讃えると共に、セクハラはした方とされた方の解釈の違いから、伝わりにくい問題だと述べる。その発言をきっかけに番組は、日常での「ハラスメントの線引き」という議論へと発展。

 梅澤富美男は日常会話の例を挙げながら、ハラスメントと冗談の線引きが難しいと語った。

<こないだ、うちの女優さんなんですけどね、「お前ずいぶんキレイになったな最近」って言ったら、「それ、セクハラです」>
<「お前ブスになったな」と言うと「それ、パワハラです」>

 するとカズレーザーは「言う必要ないですから」と一蹴。カズレーザーの言うように、人の容姿に関してとやかく言う必要はないだろう。

 だが梅澤はその後も以下のように続けた。

<そうなると、あんまり言うことがないから黙ってようかなってなると「無視された」>
<とっても、線引きは難しい。これ(就活セクハラ)は別ですよ。でも、何から何までパワハラ・セクハラと言われるのも、いかがなものかなと思いますけどね>

 容姿に関して言及することでしか、女性とコミュニケーションをとることができないのだろうか。女性部下に対してセクシャリティに関わる質問をすることはハラスメントだと言うと、「それではコミュニケーションが取れない」と嘆く男性上司……という構図は、イヤになるほどメディアで垂れ流されてきた。

 男性上司と女性部下が容姿やセクシャリティに関する話題を避けたとしても、コミュニケーションをとることは、十分に可能なはずだ。

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