その副業は月15万円以上の利益になる? 副業を選ぶ基準と有効活用する方法

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「Getty Images」より

 前編では、副業を開始すると「雇用保険が受給できなくなること」「会社側があなたを解雇したいと考えている場合、解雇される可能性があること」について述べた。後編では、副業を選ぶ際の基準や、副業を始めた後の税金の管理について説明する。

選ぶ基準は月15万円の収入が得られるかどうか

 リスクを冒して副業をやる理由というのはなんだろうか。言うまでもなく、収入を増やすことだろうが、私には大多数の人が「副業をすること」自体が目標になっているように思えて仕方がない。

 私もサラリーマン時代はそうだったが、自分で仕事をするということは、結果(収益)が全てである。よほどの大義名分がなければ、儲からないことをやっても意味がない。赤字がかさむなら、副業としてはそれこそ本末転倒である。

 では、副業をするとしたらどのような基準を考えればいいのだろうか。私は、先に述べた「雇用保険が受給できなくなるリスク」を確実に越える収入が得られる仕事なら副業として行ってもいいと考えている。

 具体的には、月に15万円前後以上の収入を確実に得られる仕事がその条件に合致する。15万円という金額には論拠がある。家庭を持っている30代から40代くらいの人が会社から解雇された際に、すぐに受け取れる雇用保険の受給額がおおむねこの金額なのだ。

 もし、副業を行っていて会社から解雇されたとしたら、雇用保険が受給できないわけだから、貯金がなければ少なくともしばらくは副業の収入だけで生活しなければならない。したがって、雇用保険で受給できる収入以下の副業なら、生活を詰んでしまうリスクが高くなってしまう。

 そもそも、資本もなく、空いた時間で得る副業収入が本業の収入を越えることは、非常にまれだと言っていい。それ以下の収入しか得られない副業、たとえば、土日だけのパート・アルバイトや、古本屋などから本を仕入れて転売する副業などは、先の金額を超えないかぎり、時間の無駄になる上に、万が一失職した際に雇用保険を受給できなくなるので勧められない。現在働いている職場が一定以上の残業があって、きちんと残業代を払ってくれるなら率先して残業をこなして本業に専念したほうがいい。

 また、生活不可能なくらいの低賃金を設定している企業に勤めていて、パート・アルバイトを含めた副業をしなければならない必要に駆られているなら、転職を真剣に検討すべきだと思う。

 繰り返しになるが、空いた時間で本業以上の収入が得られるケースは極めてまれだからだ。これらの前提条件をよく考慮した上で前述の金額以上のお金を得られる勝算がある場合に、副業を検討するという姿勢で臨んだほうがよいのではないだろうか。

 ただし後述するが、給与から源泉徴収された所得税を取り戻して節税するために、あくまで書類上で赤字計上の副業をするという方法もある。先に述べた雇用保険が受給できなくなるというデメリット以外にもいくつか注意すべき点があるが、節税してお金を手元に残す意味では非常にメリットがある方法ではある。後述するメリット・デメリットを併せて検討してほしい。

詐欺被害や先行投資リスクをよく見極めるべき

 副業を始めるにあたって委託・請負などの個人自営業者として働く場合の法的リスクと同じく、よく認識しておくべきなのは「詐欺被害」だ。

 いわゆる儲かる方法をレクチャーするというセミナーや、情報商材、オンラインサロンは、まずメリットがないと思ったほうがいい。理由は簡単だ。本当にその方法を実践して儲かるなら、自分だけの秘密にしておくはずだからだ。

 苦労して利益を得られる方法を発見したのに、わざわざ他人に教えてあげようというおめでたい人はいない。他人にやらせてその利益を吸い上げ、大きく儲けるビジネスモデルを構築したいから、こういった方法を採るわけである。

 もっと悪質なケースになると、利益が得られる見込みがまったくないのに、高額な教材や機材を売りつけられる詐欺被害に遭うこともある。ビジネスで儲けることを考えている時は、経験豊富な人間でもガードが甘くなる。ましてや、ビジネス経験がほとんどないサラリーマン相手なら、騙す側からすれば、まさに「鴨がネギを背負ってきたような状態」だろう。だから、儲かるという情報を発信している人物には近づいてはならない。

 また、サラリーマンが陥りがちなのが、頑張れば利益が増えるという誤解である。自営業者として仕事をする場合、先行投資を増やしたり、労働時間を増やしても儲かるとは限らない。なんの利益も出ていない段階から、多大な先行投資をして副業などをしてはダメだ。ましてや借金をして副業など論外である。

 好きなことを副業にしたいと考える人が、このワナに陥りやすい。副業はあくまで収益を増やすものであって、趣味とは一線を画すことを意識したほうがいい。

副業で儲かったと思ったら脱税を指摘された?

 また、サラリーマンが副業を始める中で意外な盲点になるのが、脱税である。脱税というと、よほどの資産家にしか縁がない言葉のように思われるかもしれない。しかしながら、委託・請負をはじめとした個人自営業者の形態で仕事をする人は、会社から給料をもらう場合とちがって、手元に入るお金から税金が引かれていない。

 そのため、委託・請負などの労働形態で得た報酬は原則として、自分で確定申告をして納税しなければならない。個人自営業者への対価の支払いはマイナンバーの提出を求められるので、手元に入ったお金は税務署に筒抜けである。確定申告をせずに放置していたら税務署から指摘され、追徴課税の納付を求められることになるので、くれぐれも注意していただきたい。

 会社を辞めて独立できるほどの利益が上がるようなら、税理士に経理を委託してもいいだろう。だが、大多数の人は、副業といってもせいぜい年間で200万円前後の収益が限界だ。

 今は、商業高校などで高校生が学ぶ日商簿記3級の仕訳(お金のやり取りを簿記という経理専門の記録ルールにしたがって記録する方法)の知識があれば、専用のパソコンソフトを使って、確定申告書は簡単に作れる。副業を行うなら、併せて確定申告書を作成できるまでの税務処理を勉強しておいたほうがいい。

 おっくうかもしれないが、慣れてしまえばやることは決まっている。それに確定申告書を作れる程度の経理知識が身に付けば、合法的な節税も可能になるのでお勧めだ。

日常のお金が必要経費として計上できるケースも

 確定申告書を作れる知識が身につくと、いままで意識せず使っていた日常のお金が、副業を行う上での必要経費とみなされるケースが出てくる。たとえば、日常的に使っている携帯電話も、副業で専用に使っているとなれば、全て必要経費として計上できる。車のガソリン代などもそうだし、賃貸住宅の一部のスペースを副業専用のスペースに使っている場合は、家賃の一部、水道光熱費の一部を必要経費として計上できる。

 たとえば、副業の利益が年間で100万円あったとしよう。経理の知識がなければ、税務署に所得税が課せられる利益を100万円として確定申告するしかない。税率が10パーセントの場合、副業の所得税は10万円となる。

 だが、家賃8万円の賃貸マンションに住んでいて、家のスペースの半分を副業専用のスペースに使っていた場合、単純に考えて年間で家賃の48万円分は経費として計上できるから、実際に所得税が課せられるのは52万円のみとなる。さらに携帯電話代が月に1万円、電気代水道代の50パーセントが月当たり3000円とした場合、さらに年間15万6000円が経費として計上できるので、所得税が課税されるのは36万4000円のみとなる。つまり、所得税だけで6万3600円も安くなる。

 また住民税は、所得税を基準にして計算されるので、さらに節税ができることになる。おそらく所得税と住民税併せて10万円前後の開きが出てくるはずだ。当然、収益が大きくなるほど所得税の金額の開きは大きくなる。たった紙一枚出すだけで税金の支払いが出てくるのだから知識として身につけておくにこしたことはない。

赤字計上にするメリット・デメリット

 また、経理知識を身に付けるもう一つのメリットとして、副業を赤字計上して会社からの給料を受け取るときに自動的に引かれている所得税(源泉徴収)を取り戻せるということがある。

 たとえば、あなたが会社から年間にもらっている給料が400万円とする。所得税の税率は20パーセントで控除額は42万7500円だか

4,000,000×0.2-427500=372,500

 つまり、自動的に37万2500円の所得税が給料から差し引かれて納税されている。

 ところが、副業で赤字が出た場合、確定申告をすれば赤字が出た分だけ給料から源泉徴収された所得税が払い戻されるのだ。もっと極端なことをいえば、まったく売上が出ておらず赤字しか出ていない副業であっても、合法かつ適切な経理処理を行えば、所得税の還付と住民税の軽減は可能ということだ。

 たとえばあなたが趣味でバンド活動をやっていたとする。CDを作ったり、ライブ会場を借りたり、チケットやポスターを作ったりといったお金がかかるはずだ。多くの場合、売上はほとんどないだろう。そういった活動を「副業」だとして税務署に開業届を出して確定申告すれば、給料から源泉徴収された所得税が払い戻されて、住民税まで安くなる。

 ただし、この方法はデメリットもある。帳簿上の収入が少なくなるため、金融機関などで新たにローンを組もうとする場合などに審査が通らなくなる可能性もある。このデメリットを見据えた上で、収益が出た場合、赤字が出た場合についてそれぞれ確定申告の手続きをきちんとすれば、会社員と副業の「二足のわらじ」を有効活用できるはずだ。

(監修/山岸純)
(執筆/松沢直樹)

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