男性にとって生理は「怖い」「神聖」? 「妻の生理を気遣う」男性の夫婦コミュニケーション

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「Getty Images」より

 11月下旬、大阪の百貨店・大丸梅田店が「女性の性と生理をオープンに」とのスローガンを掲げ、女性の生理へのタブー視をなくす意図で導入した「生理バッジ」を問題視する大きな声が市民から上がり大炎上した。以降も、テレビやネットメディア、SNSでは「生理」をめぐる議論が盛んに繰り広げられている。

 これまでデリケートなものとされ、タブー視されてもきた女性の月経をどう扱うか、オープンにするか、あるいはしないのかについて、さまざまな意見がある。

 そんな中で、12月3日に「生理中の妻を気遣っている」と綴った男性のツイートが反響を呼んだ。

 料理研究家・ジョーさん。のこのツイートは話題となり、「パートナーが体調を気遣ってくれるのは素直に嬉しい」などと共感や賞賛のリプライが多くついた。12日時点で、4.5万件のRT、21.4万件の「いいね!」がついている。

 一方で、女性側から「夫婦間でも生理をオープンにしたくない」「男性に知られるのは嫌」というネガティブな意見もある。男性側からも、「自分も妻の体調を気遣いたい」という声もあれば、「知りたくもない」と否定的な声もあった。

 なぜ生理の話題はこうも議論を呼ぶのだろうか。ジョー。さんに、「とても素敵な心遣いだと思いましたが、賛否両論があることが気になりました」と感想を伝えるとともに取材を申し込んだところ、次のような返事が送られてきた。

<私自身、女性の生理について、妻と出会わなければ知らずに生きていただろうなと思っていて。学校で男子だけ別室に分けられたり、あまりにひた隠しにすることで、男性側が気遣いたいと思っても何もできない土壌ができてしまっているのではないか? という考えがあります>

 「妻の生理を気遣う」ために、ジョーさん。はどのように生理を知り、アクションを起こすに至ったのだろうか。話を聞いてみた。

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ジョーさん。/料理研究家
“バズる”企画を得意とし、Twitterフォロワー数は約18万。
レシピ開発、ライター、調理、撮影を一人で行える他、レシピ動画の撮影編集も行う。
Twitter:@syokojiro
Instagram:syokojiro1206

お腹の調子が悪い時は消化にいいものを食べるのは、当たり前のことですよね

――どういうきっかけで、奥さまの生理を把握するようになったんですか?

ジョーさん。「なにか特別なきっかけがあったわけではなくて、僕の場合は半同棲をして生活を一緒にするようになってから、妻の異変に気づいたんです。
 たとえば、ぼんやりしていて忘れ物やミスが多くなったり、会話がワンテンポ遅れたり、「おや?」と思うことが増える時期があって、調べてみるとそれは月経前症候群(PMS)の症状であることが分かりました。
 それからは、そうした異変を感じ取ると「そうか、生理前か」と思うようになりました。まだ結婚する前で、付き合い始めてから1年くらい経った頃でした」

――ご結婚して家族になった現在、奥さまの生理前や生理中の時にはどんな気遣いをしているのですか。

ジョーさん。「僕は料理研究家という仕事柄、毎日のようにスーパーに行くので、鉄分入りのドリンクが安売りしていたら買って帰るのが習慣になっています。帰ってきたら冷蔵庫に入れておいて、妻には『もうあるから買わなくてもいいよ』と一声かけておきます。
 あとは、妻の方が生理の時期を忘れていることもあるので『そろそろ体を冷やすカフェインは控えた方がいいんじゃない?』と伝えたり、洗濯物をしまうついでに下半身を温めるためのインナーを出しておいたりと、特別なことではなく些細なことばかりですね」

――ツイートにもありましたが、生理中の体を労わって料理にも工夫を。とても参考になる内容でしたので、詳しく教えてください。

ジョーさん。「生理前や生理中は鉄分を多く含む食材がおすすめなので、レバーやほうれん草を使った料理をよく作っています。鉄分が添加された牛乳でシチューやカルボナーラを作ったり、ミネラルを補うためにミックスナッツをおやつにしたり。
 お腹の調子が悪い時は消化にいいものを食べるのは、当たり前のことですよね。
 とくに栄養学についてきちんと学んだわけではないのですが、専門の本やネットで調べて知識をつけて実行しています。ただし、これは僕が料理好きだから出来ていることだと思うので、そうでない人はコンビニで売ってる鉄分入りのドリンクや食べ物などを買って帰るみたいなところから始めるといいのではないでしょうか」

生理について話すことは、何かを暴き立てるようなことじゃない

――生理をオープンにすることで、夫婦にどんなメリットがありますか。

ジョーさん。「相手の体調を把握していると、一緒に生活をする上でちょうどよい距離感がつかみやすいです。生理中はホルモンバランスが崩れることを知っていれば、『今はそっとしておいた方がいいな』と考えることができたりと、些細ですがお互いのためになっていると思います。あとは、旅行などの計画も立てやすいですよね」

――生活のなかで自然に生理を含めお互いの体の調子について共有していることが伝わってくるのですが、どうやって今のような状態になったのでしょうか。

ジョーさん。「僕が、生理用品がなくなる度に慌てて買い出しに走っている妻を見て、『生活用品なんだから常備しておいた方が楽になるんじゃないのかな』と思ったことがきっかけでした。その後、まとめ買いするとどれくらい安くなるのかAmazonで調べて、妻にプレゼンして。
 ただし、妻のプライベートなことにどこまで踏み込んでよいのかは分からなかったので、まずは『僕はこう思ってるんだけど、もし不快な思いをすようなら止めるから言ってね』と伝えました。あんまり僕がこわごわとしているとその緊張感が伝わってしまうので、できるだけフラットに言うように心がけつつ、まずは生理用品について話す機会を設けたんです」

――奥さまの気持ちを尊重したんですね。

ジョーさん。「そうしたら、妻は『あ、全然大丈夫だよ』と、何の抵抗もなく話し合うことができました。僕たちの場合は結婚した後で、生活必需品の買い出しについてのことだったので、お付き合い中のカップルであればまた別の歩み寄り方があると思います」

――素敵なコミュニケーションだなと思います。ただ、たとえカップルや夫婦でも、生理について話すことをなんとなく遠慮している場合もあると思いますし、例のツイートに対してはネガティブな意見もありました。

ジョーさん。「たくさん共感のリプライをいただきましたが、女性からも『私は生理についてあんまり知られるのはちょっと……』という意見もありました。あのツイートは、『僕はこうしています』という個人の意見を示したのであって、それぞれの意見があるし、僕が必ずしも正しい行動をしているとは思っていません。
 ただ、批判的なリプライの中でひとつだけどうしても納得できなかったのは『(生理中の奥さまと)“一緒にカフェインを控える”って、意味が分からない』という意見です。自分の体調が悪い時に、もしパートナーが目の前で豚骨らーめんを食べていたら、誰だってしんどいしムカつきますよね。ただそれだけのことなんですが……」

――パートナーが体調不良の時は、男女関係なく誰であっても相手を気遣ったほうがいいですよね。風邪の時はそれが自然に出来ても、なぜか生理のことになると「気持ち悪い」という拒否反応が出てしまう。あのツイートも、ジョー。さんが知人の男性たちから「気持ち悪い」と言われたことがきっかけでしたよね。

ジョーさん。「女性はリプライで声を上げてくれる方が多かったのですが、男性はたとえポジティブな意見であっても引用RTやDM(ダイレクトメッセージ)で送ってくる方が多くて、リプライでの反応が少なかったことはとても印象的でした。その違いは顕著でしたね。
 おそらく男性は、生理について真正面から意見を言ったり、反応したりすることに対して躊躇いがあるんだろうなと感じましたし、その気持ちは僕も分かります」

――もしかしたら、男性の側に「パートナーの生理を気遣いたい」という気持ちがあったとしても、それを表に出して実行できない空気感があるのかも知れません。

ジョーさん。「男性からすれば、生理って自分が知らない、体験していないことだから、なんとなく『怖い』って気持ちはあると思います。あとは、子どもを生むための体の機能だから神聖視している側面もあるし、それがタブー視につながってしまうこともある。ただ、生理を『エッチなもの』と誤解している方には、決してそうじゃないと伝えたいですね」

――社会的にタブー視されてきたからか、女性側が「恥ずかしいこと」と考えて生理について口に出すことを避けている場合もあります。

ジョーさん。「個人的には、社会全体がもっと生理についてオープンになってもいいんじゃないかと思っているのですが、それについてはさまざまな意見がありますし、生理をどこまでオープンなものにするかは、個人が選べばいいと考えます。
 たとえば女性同士のカップルであればまた別の形があるだろうし、それぞれの夫婦やカップルによって、ちょうどいい距離感があると思います。信頼できるパートナーと生理について話すことは、何かを暴き立てるようなことではなくて、適切なコミュニケーションを取って、お互いがもっと生きやすくなるためのことではないでしょうか」

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