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「育休でボーナス減額」が物議 男性の育休取得をめぐる問題

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「Getty Images」より

 Twitterで「男性の育児休業」をめぐる投稿が物議を醸した。投稿主は今年7月に出産し育児休業中だという女性で、約2カ月間の育休を取得した夫のボーナス査定が<最低評価>になってしまったという内容だった。

 このような仕打ちがあるから男性の育休取得が進まないのではないか、という投稿主の憤りは、賛否両論を呼び大きな反響となっている。

 「あまりにもひどい」「日本の実情にはまだまだため息が出ます」「私も育休取ったらボーナス無くされました」「男の産休に対する懲罰的な意味も含んでいるわけでしょう」と同意・共感するコメントは多い。

 他方で、「ボーナスって業績に対する寄与で決まるもんでしょ」「2カ月休んでボーナス満額もらえるわけないし、当たり前では」「休んでる間も働いてた同僚と同じ額だったら同僚やる気なくすんじゃないかな」と、ボーナス(賞与)の性質上、休業した社員への減額はやむを得ないとする見方も強い。

 そもそもボーナス(賞与)とは何か。

 国税庁のHPによれば、<賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するもの>だ。

 多くの企業では月給額を基準とし、数カ月分をボーナスとする。たとえば月給25万円の社員で2カ月ぶんをボーナスとして支給する場合、ボーナス支払月は25万+50万=75万円を受け取れることになる(もちろんここから税金や社会保険料などが引かれる)。ボーナスの支払いは夏期(6月)と冬期(12月)の年2回が一般的だ。

 では次に、育児休業とは何かを見ていきたい。

 育児休業は育児・介護休業法で定められた、労働者のための休業制度だ。育児休業の取得期間(いわゆる「育休中」)は、休業中である勤務先からの給与は基本的に支給されない。代わりに雇用保険から「育児休業給付金」が支給される。育児休業給付金の金額は人によって異なるが、通常の給料の50%から67%ほどとなっている。育休中は社会保険料の支払いは免除される。

 休業中である以上、育休期間はボーナスの対象期間に該当しない。そのため2カ月間育休を取得した場合、その期間を含む査定対象期間(多くは半年)の賞与が通常よりも減額されるのは、たしかに一般的なことだろう。だが、「だから問題ない」と一蹴することも出来ない。投稿主のいう<最低評価>が具体的にどのような内容だったかにもよるだろう。

なぜ男性の育児休業取得率は低く、期間も短いのか

 今回の「育休ネット議論」においては、日本の育児休業制度は他国と比べて優れており、父親である男性が育休取得することによって下がる所得を補償するための仕組みも充実しているのだという指摘もあった。

 しかし日本の男性の育休取得率は未だ、非常に低い。厚労省の発表によれば、2018年度の育児休業を取得した男性の割合は6.16%。これでも前年度から1.02ポイント上昇し、過去最高だという。

 また、男性の育休期間は数日~数週間程度と極端に短い。マーケティングリサーチの株式会社インテージが行った調査によれば、男性の育休取得期間は「1週間未満」42.0%がもっとも多く、「1週間程度」も15.1%(民間企業/公社/公的機関に勤務し子どもと同居する20~59歳男性555人への調査)。

 背景には、「通常の給料の50%から67%ほどの育児休業給付金では生活が苦しい」「パタハラが怖い・昇進に響く懸念がある」などの事情もあると考えられる。

 どんなに優れた制度が存在していても、それを利用する風土がなければ絵に描いた餅だ。育休を取得することがその後の昇進や昇給にネガティブな影響を及ぼすようなハラスメントはあってはならないが、「そんな理不尽な仕打ちは決してしない」と断言できる職場がどれだけあるだろうか。

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