「ナウシカ歌舞伎」事故・役者のケガによる公演中断で、松竹の対応が残念すぎる

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 舞台上での戦闘場面では、菊之助を筆頭に、トリウマの上に乗った俳優たちには舞台上空からの命綱が張られているのが確認できた。戦い終わったナウシカは命綱を外し、トリウマに乗ったまま花道を駆け抜けて退場しようとしたが、終点直前でトリウマごと転倒した。劇場中に響き渡るような大きな音だったが、花道をかける勢いが非常に迫力があったため、一部の観客はそれも演出の一部だと思ったのだろうか、笑いが起きたほどだった。

 その後しばらくして、劇場内には「舞台機構の不具合により、一度中断する」というアナウンスが流れた。幕の内側からのスタッフのものと思しき怒声も漏れ聞こえ、数分が経過したあと、クシャナ役である中村七之助が、メークを落とし楽屋着であろう浴衣姿で幕前に登場。この後はナウシカがメーヴェで飛び立つ予定で「想像して」と笑いを交えつつも、公演が続行できないと説明、謝罪した。

払い戻しの対応に不満噴出

 公演が中止になった昼の部は、残り約20分だったと報道されている。話のあらすじ上は確かに、ただナウシカが飛び立つだけだっただろう。だが、宙乗りという新作歌舞伎らしい演出の目玉がカットされ、観劇後の感想は率直に言ってしまえば「非常に中途半端」だった。もともと歌舞伎が好きなファンは、通常目にすることのない隙だらけな装いの七之助が前面に出て謝罪したことで代替にしたようだが、それは舞台機構が原因ではないと簡単に推測できる緊急事態と、七之助の誠意を受け止めただけで、また別の話であうように思う。

 同日の夜の部は中止になり、チケットは払い戻しになったと報道されたが、公演がカットされた昼の部は、払い戻しなどの対応は一切なかった。生身の俳優が演じる舞台という芸術の特性上、ケガという不測の事態の発生は仕方のないことではあるが、一部観客からの不満の声も耳にした。俳優の事故による払い戻しの対応には、不備の「前科」があるからだ。

 2017年、同じくアニメをもとにしたスーパー歌舞伎「ワンピース歌舞伎」で主演の市川猿之助が公演中に左腕を骨折して休演し、若手の尾上右近が代役になった。同公演ではもともと猿之助が主演を務めるほかに、右近が主演し若手俳優を中心にした配役のバージョンも予定されており、あらかじめ稽古も済んでいたために可能だった異例の事態だった。

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