ジェンダー・ギャップ指数で過去最低になった日本の「男女格差」

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「Getty Images」より

 世界経済フォーラム(WEF)は今月17日、世界各国における男女格差を測った「ジェンダー・ギャップ指数」の2019年版の結果を公表した。

 報道によれば、日本は調査対象153カ国中121位で過去最低、G7の中でも最下位となっている。

 前年2018年の日本の順位は、149カ国中110位。

 2017年は144カ国中114位で、2016年が144カ国中111位、2015年は145カ国中101位だった。これまで毎年、下位を記録しているが、今回はさらに下がった。

 日本でも“女性が輝く社会”が叫ばれて久しいが、改革の取り組みがあまりに遅く、他国のペースに全く追いついていないと見られる。

 「ジェンダー・ギャップ指数」では、政治・経済・教育・健康の4分野のデータから「男女の格差」が分析される。

 今回公表された2019年版を分野別に見てみると、日本は政治が144位(2018年は125位)、経済が115位(同117位)。女性が議員や企業の管理職に就く割合が依然として少ないことは確かだ。

若者や女性が政治に携わる土壌がない日本

 政治は前年から19位もランクを落としている。日本が女性議員の少ない国であることは他の調査からも明らかだ。

 今年3月に「列国議会同盟」が報告した2018年の各国の女性国会議員比率によると、日本の衆議院における女性議員の割合は10.2%(47人)で、調査対象となった193カ国中165位(2017年は158位)。G7、G20ともに日本は最下位だった。

 2018年に日本は衆議院選挙を実施しておらず、前年の比率にほぼ変動はなかったが、一方で他国では女性議員比率が上がり、相対的に順位を下げた格好だ。

 ちなみに、世界全体の女性国会議員比率は、1995年は11.3%、今年1月時点では24.3%となっている。

 日本は、現在の世界平均はおろか、約四半世紀前の世界平均にも達していないのである。

 内閣改造が行われる度に、女性大臣の少なさが指摘されて久しいが、第4次安倍第2次改造内閣でも女性閣僚は3名のみだ。

 例年、「ジェンダー・ギャップ指数」の上位を占めているのは北欧の国々で、2019年版でも、1位がアイスランド、2位がノルウェー、3位がフィンランド、4位がスウェーデンと続く。

 上位の国々では、いずれも女性の政治家が活躍している。

 たとえばフィンランドでは、今月10日、34歳の女性であるサンナ・マリン氏が首相に選出された。

 マリン氏はフィンランドで3人目となる女性首相で、現役首相では世界最年少だ。だが、フィンランドではさほど驚かれることではないという。

 フィンランドは、1906年に世界で初めて女性の選挙権および被選挙権を認め、翌1907年には19人の女性が国会議員に当選している。

 2000年には、タルヤ・ハロネン氏がフィンランド初の女性大統領に就任し、現在は、国会議員の半数近くである46%が女性だ。

 また、1980年代生まれや1990年代生まれと若い世代の議員も少なくなく、若者や女性が政治に携わる土壌ができている。日本にその土壌はない。

女性首相が産休を取る

 「ジェンダー・ギャップ指数」2019年版で7位のニュージーランドでは、2017年10月に当時37歳だったジャシンダ・アーダーン氏が首相に就任している。

 ジャシンダ・アーダーン氏は就任から3カ月後の昨年1月に、事実婚関係にあるパートナーとの間に第一子を妊娠していることを発表し、昨年6月に出産。現職首相として世界で初めて、産休を取得した。

 昨年8月に復職してからは、パートナーと協力しながら公務と育児を両立しており、子ども同伴で公務に就くこともあるという。

女性管理職少なく、賃金格差も大きい日本

 翻って日本の政治家は、女性議員の産休・育休制度が整っていないばかりか、「任期中の妊娠はいかがなものか」と批判に晒される。

 2017年に第一子を出産した衆議院議員の鈴木貴子氏は、妊娠および切迫早産で安静療養中であることをブログで報告したところ、「これだから女性議員は」「職務放棄ではないか」というコメントが届いたことを明かしている。

 男性議員の育休取得も浸透しておらず、つい先日も、来年1月に第一子誕生を控える小泉進次郎環境相が育休取得を検討していると発言し、物議を醸したばかりだ。

 なお小泉氏は、先月29日のシンポジウムで、「環境省職員にとって育休を取りにくい環境を残したまま、自分が取るわけにはいかない」と表明しており、取得しない可能性が高そうだ。

 政治の世界だけではない。女性と男性の労働に関する格差の問題も日本は依然として抱えている。

 厚生労働省「平成30年版働く女性の実情」によると、雇用されて働く男性は<正規の職員・従業員:77.8%/非正規の職員・従業員:22.2%>。

 対して、雇用されて働く女性は<正規の職員・従業員:44%/非正規の職員・従業員:56%>となっている。

 役職者に占める女性の割合の推移(企業規模100人以上)は、部長級が6.6%、課長級が11.2%、係長級が18.3%だ。

 女性に非正規雇用が多い理由は、「正社員として働きたくないから」「子育てをしたいから」だろうか。

 いや、結婚や出産を機に正社員だった職場を辞めざるを得なくなったり、夫の転勤に伴う退職があったり、待機児童問題に直面していたりと、事情は様々だ。

 多くの女性が家庭内で育児を主に負担しており、男性の育休取得率は6.16%(2018年度の厚生労働省発表データ)と低い。

 また男女の収入格差も大きい。

 国税庁「平成29年分民間給与実態統計調査結果について」によると、正規/非正規および男女別に分けて年収を比較すると、男性は<正規:平均547.5万円/非正規:平均229.4万円>。女性は<正規:376.6万円/非正規:150.8万円>となっている。

 政治の世界から、会社の雇用形態、役職、収入においても、男女格差は歴然としている。日本の「ジェンダー・ギャップ指数」が低いのは、納得の結果だ。

 また、教育分野と健康分野においては日本の「ジェンダー・ギャップ指数」は満点に近い評価を得てきたが、教育分野における歴然とした男女格差についても畠山勝太氏がwezzy誌上で繰り返し言及してきた。

 私たちが男女平等に高い水準の教育を受けているというのは誤解であり、理系やエリート層に極端に女性が少ないのにはちゃんと理由があるのだ。

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