下関いじめ女児自殺未遂、学校対応の遅れ 「いじめはどこでも起こる」前提の対策を

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「Getty Images」より

 山口県下関市の小学校の通っていた女児が、いじめが原因で自殺未遂をした問題で、女児の保護者は学校にいじめを訴えていたが学校側の対応が遅れていたことが発覚した。

 最初に女児の保護者が学校側にいじめ被害を伝えたのは今年10月半ば。女児は複数の男子児童に足をかけられ転倒し、ケガをさせられたと訴えた。

 加害したとされる男児が否定したため、学校側は「いじめレベル1」と判断。下関市ではいじめのレベルが3段階に分かれており、レベル1は「ごめんね」「いいよ」など教育的解決ができる程度だという。

 しかし、10月下旬になると女児が「学校に行くくらいなら死にたい」と訴えていると保護者が担任に報告。女児はスマートフォンで「きれいな死に方」と検索していたことも判明している。

 数日後に女児は一度登校したが、再び暴力被害に。学校はこの時点でもいじめがあると判断せず、保護者は警察に相談した。

 保護者が警察に相談したことを受けて学校側も対応を協議し、女児の登校時には校長らが授業中の様子を見守る対応をとると決めた。

 しかし12月5日、女児は自宅でナイフを首に押し当て、自殺未遂を図った。幸い、家族が発見し止めたためケガはなかったという。

 市教育委員会は16日に記者会見を開き、情報共有の不足などを釈明している。

生徒のいじめを報告されても隠蔽

 2011年に発生した滋賀県大津市での中2いじめ自殺事件でも、学校側は生徒が自殺をする1週間ほど前からいじめを把握していたというが、“喧嘩”と判断し対応をしなかった。

 2016年には青森県の中学校で中学1年生の男子生徒が、後ろの席の生徒に椅子を蹴られるなどのいじめを受け、自殺を図っている。母親は学校にいじめ被害を訴えていたというが、学校側の対応は「様子を見る」程度のものだったという。

 今月5日には、岐阜県岐阜市の中学校に通っていた3年生の男子生徒が、いじめを苦に自殺していたことを岐阜市の教育委員会は発表した。

 自殺した男子生徒の担任は、いじめを問題視した女子生徒から<心配です。私も戦いますから、先生も力を貸してください>とのメモを渡されていたが、給食の嫌がらせを確認しただけで校長などに解決したと報告し、女子生徒からのメモはシュレッダーにかけ隠蔽したという。

「いじめはどこでも起こる」

 文部科学省は「いじめは発見・早期対応」「いじめの認知件数が増えることは、いじめを発見・対応している証」との方針を強く打ち出しており、いじめの認知件数は2017年には41万件を超え、2018年は54万件以上で過去最多を更新した。

 しかし未だに「いじめゼロ」を謳う学校もある。なぜ生徒間のいじめに向き合えないのか。

 17日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)では、相次ぐ「いじめスルー問題」を特集。教育評論家の石川幸夫氏は、教師の評価に関わるため、「いじめをなかったことにしたい」という空気が、教育現場全体に漂っていると指摘した。

 また、スペシャルキャスターのメイプル超合金・カズレーザーは、<全国どの学校にも少なからずいじめが存在するのは、みんな分かってるじゃないですか?>と疑問を呈した。

 カズレーザーは、学校はいじめの存在をオープンにし、「いじめは起こる」という前提で対策を講じて欲しいと訴えた。

 カズレーザーの言うように、いじめはどの学校でも起こり得ることだ。

 国立教育政策研究所「いじめ追跡調査2013-2015」によると、小学校4年生から中学校3年生までの間に、いじめの被害者にあったことのある子どもの割合は9割にのぼる。

 なおこの調査は、子ども個人の主観でいじめかどうかの判断をさせないために、「いじめ」という言葉を使わず、「陰口を言われた」「軽く殴られた」「強く殴られた」といった行為にチェックを入れる形式で行われた。

 膨大な数の子どもが何かしらのいじめを経験しているということだが、教師がいじめに介入することで、いじめは改善する傾向にあるということもわかっている。

 「ストップいじめ! ナビ」の代表理事である荻上チキ氏の著書『いじめを生む教室 子どもを守るために知っていきたいデータと知識』(PHP新書)には、教師がいじめに介入した結果、「いじめは少なくなった」「いじめはなくなった」と答えた子どもは6割強というデータが提示されている。

 「教師にいじめを相談するといじめが悪化する」との懸念もあるが、教師が適切な対応をとれれば、悪化ではなく改善される。

 では学校・教師側の“適切な対応”とは何か。

 2013年に「いじめ防止対策推進法」が施行され、いじめが発生した際の対応方法が定められた。

 しかしこれが現場に浸透しているとは言えず、個々の教師によって対応がまちまちとの指摘もされている。

 「いじめはある」という前提で、適切な対処法の周知徹底が急がれる。

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