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グレタさんに食って掛かる大人たち 嘲笑で地球環境は改善するのか?

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「Getty Images」より

 スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが、アメリカのニュース雑誌「タイム」の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に選ばれた。

 9月に国連サミットでスピーチして以降、グレタさんの活動への支持・共感の声はもちろんあるが、“批判および中傷”は常に世界のホットトピックスだ。

トランプ「落ち着けグレタ。落ち着け!」

 グレタさんは2003年生まれの16歳で、「今年の人」の選出では史上最年少。「タイム」は、地球温暖化問題を訴えるグレタさんを「陰に隠れていた温暖化の危機が、今年、舞台の真ん中に動いた」と評している。

 グレタさんは今年9月23日、ニューヨークで開催された国連気候行動サミットに参加。約5分間のスピーチで、地球温暖化問題に対して一向に行動を起こさない世界各国のリーダーたちを批判した。

 今月11日にもグレタさんは国連気候変動枠組み条約締約国会議(以下、COP25)に参加し、地球温暖化問題の現状を指摘。やはり問題から目を背けている政治家や企業のトップたちに厳しい視線を向けた。

 地球温暖化問題に真正面から取り組むグレタさんに食ってかかる大人たちは少なくない。アメリカのトランプ大統領もそのひとりだ。

 グレタさんがスピーチを行った国連気候行動サミットの翌24日、トランプ大統領はTwitterで、グレタさんのスピーチ動画を引用したツイートに対して<彼女は明るく素晴らしい未来を夢見るとても幸福な少女のようだ>と皮肉を投稿。

 グレタさんが「タイム」の「今年の人」に選出されると、トランプ大統領は再びTwitterに彼女を揶揄するツイートをした。

<とても馬鹿げている。グレタは自分のアンガーマネジメントに取り組まなければならない>
<古き良き映画でも友達と観に行ったらどうだ。落ち着けグレタ。落ち着け!>

 トランプ陣営の公式アカウントは、タイム誌の表紙に登場するグレタさんの写真の顔部分をトランプ氏の写真に差し替えた画像を投稿している。

ブラジル大統領「あんなガキ」

 ロシアのプーチン大統領も、国連気候行動サミットでのグレタさんのスピーチを受け、Twitterで<現代の世界が複雑で多様であることを誰もグレタに教えていない>と投稿し、彼女を“無知”扱いした。

 ブラジルのボルソナロ大統領は今月10日、アマゾンの熱帯雨林で先住民2人が殺害された事件を非難したグレタさんに対して、Twitterで<マスコミがあんなPirralha(ガキ)に紙面を割くとは、驚きだ>とツイートした。

 グレタさんは、大統領らからの批判がなされる度に、Twitterのプロフィールを<明るく素晴らしい未来を夢見るとても幸福な少女><怒りのコントロールに取り組んでいる10代です><落ち着いていて友達と古き良き映画を観ています><優しいが知識の乏しい10代><Pirralha>などと書き換えて応戦している。

 こうしたやりとりについて18日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)はパネルを用いて紹介。しかし、16歳の少女vs各国のリーダーといったセンセーショナルな取り上げ方に、果たして意味はあるのだろうか。それでは単なる“ゴシップ”でしかないだろう。

日本のネットでもグレタ・バッシング

 日本のネット上でも一般ユーザーの“グレタ・バッシング”は喧しい。

 批判的な意見の多くは彼女の活動内容や主張内容を論じるものではなく、「大人の操り人形」「電気を使わないなんて無理」「グレタだって環境破壊しながら生きている」といった揶揄だ。

 時に怒りと涙を滲ませながら訴えるグレタさんを「ヒステリックな訴え方では伝わらない」「言葉が悪い」と非難する向きも強い。いわゆるトーンポリシングである。

 またライトノベル作家の賀東招二氏は、グレタさんを取り上げたニュース記事とともに、悪意を込めたツイートをし物議を醸した。

<俺もこの子きらい。もし自分が世界の影の支配者だったら、すべてを奪って絶望のどん底に叩き落として嘲笑してやりたい。その上であっつあつの超うまいステーキとか食わせてやって、悔し涙を流す姿が見たい。すごく見たい>

スピーチはグレタさんが考えたもの

 前出『とくダネ!』では、グレタさんを「周囲の大人の操り人形」とみる向きも強いことから、グレタさんが所属するマネジメント会社にグレタさんの発言は本当に本人が考えたものなのかを問い合わせていた。

 マネジメント会社からは、グレタさんのスピーチは全て彼女自身が書いたものであり、科学的に正しいかどうかを確認するために気候学者と相談している、移動手段に飛行機を使用せず大西洋をボートで横断することも彼女自身のアイデアである、との回答があったという。

 『とくダネ!』はグレタさんを批判的に取り上げてはおらず、かといって正義の環境少女として絶賛するでもなかった。

 メインMCの小倉智昭氏は、今後も風当たりが強くなるであろうグレタさんを「マネジメントや家族がどれだけ守れるか」と慮った。

 孤立無援で戦えるヒーローなどいない。また、グレタさんをヒーローに祭り上げてはならないだろう。

 必要なことは彼女個人の態度への批判や揚げ足取り、各国首脳陣のツイートなどではなく、地球温暖化を食い止める方法について誠実に議論することだ。ゴシップや嘲笑で地球環境は改善しないのだから。

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