「外国人が話す訛った日本語」はジョークの対象か?

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『全力!脱力タイムズ』twitterアカウントより

オ~ウ 働き方カイカクゥ~?
心配デスネェ~
働き方改革にカンシテハ~
フランスの方がこれくらい?
いや!これぐらいススンデルと
言えるわね~
https://twitter.com/yeskiri/status/1205494225741025281

 この “フランス人記者” のコメントをツイッターで見掛けた時、 「十年一日の古臭いことをやってる」と思った。

 記者のセリフ音声に、女優・橋本環奈による日本語の吹き替えが被せてあるのだが、甲高い声、やたらと伸ばす語尾、大げさな身振り手振り。字幕は「カイカクゥ~」「デスネェ~」「ススンデル」とカタカナを多用。

 そもそも記者は出だしに「オ~ウ」なんて言っていないが、「オー!」は西洋人を表す記号として頻繁に使われる感嘆詞だ。これら全て、私が子供の頃からあった古いギャグなのだ。

 もっとも、初見時には外国語の妙な日本語吹き替えよりもジャーナリストという職業人に対する敬意の欠落であり、働き方改革という社会問題をこんなふざけたトーンで語っていいのかと、そちらが気になった。

 ところが、あれこれ周辺情報を読むと、これはフジテレビの『全力!脱力タイムズ』という番組のワンシーンで、フランス語を喋っている女性は「ヴィリティ・タイム記者のカミラ・セドゥ」という”設定”とあり、本物の記者ではないらしい。

 ツイッターでは「外国人の訛りを真似るのは失礼」「何が面白いのか分からない」という批判が多く、それに対して「この番組はそういう風刺がコンセプト」という反論もあった。

 同番組はフジテレビの公式サイトにアップされているが海外からはアクセスできず、観ることはできなかった。よって、私には番組の趣旨やスタイルは分からず終いだ。何れにせよ、「外国人の言葉の訛りを真似る行為」については思うことがあるので、書いてみたい。

英語の訛りはニューヨーカーの証?

 私はアメリカ在住につき、「外国語訛りの英語をアメリカ人が真似る行為」を見聞きする機会がある。便宜上「アメリカ人」と書いたが、正確には「アメリカに住む、アメリカ英語ネイティヴ話者」を指し、国籍や人種は関係ない。

 筆者が住むニューヨーク市は人口の3分の1以上を外国生まれの移民が占める。よって外国語訛りの英語を話すニューヨーカーだらけだ。

 イギリス、オーストラリア、ジャマイカなど英語圏からの移民は英語ネイティヴ話者だが、アメリカ人からすれば、それぞれ特有の訛りのある英語を話していることになる。もっとも、イギリス人にしてみれば「訛っているのはアメリカ英語のほうだ」になるのだが。

 いずれにせよ極度の多民族社会ゆえに言葉の訛りも、それぞれのグループのアイデンティティであったり、特徴であったりする。 つまり、アメリカ英語以外を話す人物の形態模写(モノマネ)をするには、言葉の模倣も必要になるのである。

メラニア・トランプ(スロベニア訛り)

 今、最も有名な「外国語訛りの英語を話す有名人」はメラニア・トランプではないだろうか。言わずと知れたファースト・レディである。

 メラニアはスロベニアで生まれ、1996年にモデルとして渡米している。アメリカ生活が20年以上となった今も、話す英語に母語由来の訛りがある。

 政治パロディ・コントで知られる米国のTV番組『サタデーナイトライブ』には、メラニアのキャラクターも時々登場する。

 アメリカ人コメディアンがメラニアに似せたヘア・メイク・衣装で演じるのだが、言葉に訛りを効かせなければ、視聴者にはメラニアだと判らないだろう。メラニアの訛りは、それほどまでに彼女の一部となっているのである。

 あるエピソードには、とある事情によってメラニアが訛りのない英語を話すシーンがあった。演じるコメディアンが素のアメリカ英語で話したところ、俳優のアレック・ボールドウィン演じるトランプが「訛りはどうした?」と驚くのだ。

 もし、本物のメラニアがある日突然に訛りをなくしたら、周囲はもちろん驚くに違いない。

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