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ヤマダ電機の大塚家具買収に懸念、激しく変貌する家電量販店業界

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ヤマダ電機(画像はWikipediaより)

 家電量販店の最大手ヤマダ電機が、あの大塚家具買収を決めた。かねて両社は提携関係にあったし、大塚家具はもう八方塞がりでほかに選択肢はなかったため、そこまでの驚きではないが、やはりインパクトはあった。

 電機・エレクトロニクス業界において変貌を遂げてきた企業を紹介する本シリーズ。今回はヤマダ電機を採り上げつつ、家電量販店の歴史も振り返る。

街の景色が変わった秋葉原 

 最初に家電量販店の推移を振り返る。かつては電機製品を買うなら家電量販店という時代があった。ネット全盛の今でも、まだやはり家電量販店には多くの人が集まるが、盛時の勢いはない。それは東京・秋葉原を歩くとよくわかる。

 家電量販店が立ち並んでいた秋葉原は、すっかり街の顔が変わった。以前は電化製品を買うためだけに多くの人が秋葉原に訪れた。電化製品を買うのなら秋葉原というのは定番だった。今も秋葉原は賑わっているが、街を訪れる人の目的の多くは家電ではない。

 家電量販店の街だった秋葉原。そのひとつの象徴は、「石丸電気」だった。

 誰もが目を引く赤い大きな「石」の字のネオンサインとともに、CMは今でも心に焼き付いている。その石丸電気はエディオンに統合され、今では石丸電気を屋号として残す店舗はない。

 また「ラオックス」も誰もが知る家電量販店大手で、秋葉原だけでも多くの店舗を構えていた。しかしラオックスは経営が悪化して、2009年に中国の大手家電量販店を運営する蘇寧雲商の傘下に入り、今でも秋葉原に店舗は残すが家電量販店とは言いにくい。家電も扱うが、ほぼ免税店である。

 現在のラオックスは家電よりも理美容品、化粧品、民芸品、服飾などの扱いのほうが多く、客も完全に中国人をターゲットとしたインバウンド需要を取り込んでいる。秋葉原の街の変化は、家電量販店市場の環境の変化そのものとも言える。

 無論、秋葉原だけではない。ビックカメラ、ヨドバシカメラと並び3強と言われた「さくらや」も今はもうない。「安さ爆発」というキャッチコピーのCMを一定の年齢以上の人は覚えているはずだし、新宿の東口を出たところにあった店舗には多くの人が一度は足を踏み入れたと思う。しかし今やさくらやは存在しておらず、新宿店もビックカメラになっている。

 ほかにも、閉鎖あるいは業態を変えた家電量販店を挙げたらキリがない。社長が有名だった城南電機はすでに廃業しているし、ワットマンは今でもあるもののリユースショップだ。

 店舗と屋号は残っているが、ベスト電器はヤマダ電機に買収されている。コジマも、パソコンのソフマップも、今ではビックカメラ傘下である。エディオンはデオデオとエイデンが合併してできた会社だし、そのままで残っている会社の方が圧倒的に少ない。

ヤマダ電機と大塚家具はウィンウィンになりうるか?  

 そんななかで家電量販店のトップとして今も君臨するのがヤマダ電機である。

 前述のようにヤマダ電機も九十九電機やベスト電器を買収、家電量販店としてのスケールメリット拡大を図ってきた。しかし、国内家電量販店市場が右肩上がりではなくなった今、ヤマダ電機の新たなターゲットは電機製品を含めたトータル的な住宅環境の提供にあるようだ。今回の大塚家具買収はその延長線上にある。

 しかし、家電売り場に家具を置いて抱き合わせで販売するという戦略については、家電を買いに来た人が一緒に家具も揃えるというニーズがどれほどあるか、疑問視する声も多い。

 むしろヤマダ電機が近年取り組んでいる建て売り住宅事業において、新築住宅とともに家電と家具をすべてトータルで提供するという戦略の方が、現実味があるのかもしれない。

 ヤマダ電機の住宅事業は、2011年に傘下に収めた住宅メーカー、エス・バイ・エルを中核とするヤマダホームズが主導している。エス・バイ・エルはもともと上場会社だったが、ヤマダ電機が買収して上場を廃止。今ではヤマダ電機の完全子会社であるヤマダホームズに取り込まれる形になっている。

 ヤマダホームズは太陽光発電やオール電化が売りであり、住宅を新築すると買い替える必要が出てくる家電を、ヤマダ電機ではグループですべて提供できるというのは確かにアドバンテージではある。

 しかし実際には、ヤマダホームズはその特徴をあまり生かせておらず、苦戦している。注文住宅の受注は、顧客側にとっても一生に一度のことであり、付随的な家電よりもむしろ家づくりそのもののノウハウが問われているのかもしれない。

 そんななかで、今度はヤマダホームズに大塚家具を加えて家具まで提供できるようにしたわけだが、ここでもやはり本来の家づくりで違いを示すべきではないかという指摘はある。

 結局のところ、シナジー効果があるようにも見えるが、ヤマダ電機の大塚家具買収の効果は未知数だ。

 一方、業績面を見ると、ヤマダ電機の前19年3月期の当期利益は146億円だが、大塚家具の過去3年間の最終赤字は45億円、72億円、32億円となっている。「黒字化までもう一歩」という大塚久美子社長の言葉を信じたとしても、今のヤマダ電機にとって大塚家具の赤字は重荷になる懸念もある。

 ちなみに、買収後も大塚久美子社長は続投するという。傘下に入って社長が続投するケースも無論なくはないが、ヤマダ電機は大塚家具を取り込んで活用したいのならば、社長を送り込むべきだった。

 ヤマダ電機と大塚家具の資本業務提携が、双方にとってウィンウィンの関係だったと数年後に言えるだろうか。家電量販店の未来を占う意味でも注目したい。

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