「小児性愛障害は“性癖”ではない」男児への性暴力加害者がメディアに出演で物議

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『AbemaPrime』公式サイトより

 18日放送の『AbemaPrime』(AbemaTV)が「小児性愛障害(ペドフィリア)」をクローズアップし、加害歴のある男性が実名で顔を隠さないまま出演したことが物議を醸している。

 番組では子どもへの性犯罪の背景には「小児性愛障害」という精神疾患が関係していることに着目。精神保健福祉士で小児性愛障害の治療に携わる斉藤章佳さん、幼少期の性被害経験があるタレント・池澤あやかさん、フリーアナウンサーの小島慶子さんらが議論した。

 なお、番組冒頭には、過去に子どもに対する性犯罪を犯した当事者が出演するとして、<途中、具体的名話も出てくるため、過去に性被害を受けた方も含めて気分が悪くなる方もいらっしゃるかもしれません。どうぞ無理をなさらずにご覧いただければと思います>との注意書きが映された。

番組では加害者が当時と現在の心情を告白

 番組に顔を出して出演した加害当事者は、加藤孝さん・57歳だ。加藤さんは思春期前の男児を対象とした小児性愛者で、かつて約10人の子どもたちに性的加害を重ねた。

 被害を受けた子どもたちが「怯えながら自分に屈服する」という構図が、性的興奮のパターンの1つだったという。加藤さんは発達障害、双極性障害、アルコール依存症も併発しているそうで、自分にとって子どもへの性的な加害は生きづらさから逃れる手段だったとも明かした。

 当時、被害者の気持ちは軽くしか考えていなかったという。

<罪悪感はあったけれども、被害者がどれだけ深く傷つくかということを全然理解していなかった>
<自分自身の幼少時のマスターベーションの経験などと混同し、「別にいいんじゃないのか」と考えていた>
<それでも「言いつけられたらまずい」という認識はあったので、言いつけられにくいシチュエーションで被害者を選んでしまっていた>

 自身が中学生の頃から男児に対して加害行為を繰り返していたが、38歳の時に自首。商業施設でトイレに連れ込んだ男児の口をガムテープで塞ごうとしたが、抵抗されたため男児を解放した後、自分が怖くなって、警察に助けを求めるように駆け込んだ。このとき強制わいせつ未遂で起訴され、懲役2年・執行猶予4年の有罪判決を受ける。

 以後、子どもに性的加害はしていないというが、子どもへの性的欲求や感情はなくなったわけではなく、通院を続け、再犯防止プログラムに取り組んでいる。

<コンディション良く治療を続けていれば再犯しないで済むが、「もう絶対に再犯はしない」と考えることが逆に危ないと思うので、そうは考えないようにしている>
<衝動がコントロールできているなら、マスターベーションをしているだけならいいのかもしれないが、僕の場合はその一線を越えてしまった。だからそうなると、自分の持っている衝動をいかに再犯しないかが今の至上命題だ>

「小児性愛障害は“性癖”ではない」

 解説者として出演した精神保健福祉士で小児性愛障害の治療に携わる斉藤章佳さんは、「小児性愛障害」は“性癖”ではなく、精神疾患と位置付けられると説明する。いわゆる性癖である「ロリコン」とは、違うものだ。

 斉藤さんによると、小児性愛障害は、依存症の7つの特徴<反復性、強迫性、衝動性、有害性、貪欲性、自我親和性、行為のエスカレーション>を兼ね備えており、個々に応じた治療プログラムを組む必要があるという。

 現在の主な治療法は、薬物療法、グループセッション、再犯防止プログラムの3つだ。

 「小児性愛障害は逮捕されない以上ずっと行為を続ける」といい、早く治療につなげること、性犯罪を未然に防ぐために正しい性教育が必要だと斉藤さんは訴えた。以下、斉藤さんの提言だ。

<初診時にする質問「あなたは逮捕されなければずっと続けてましたか?」に、皆さん
はい」と答えます>
<彼らは逮捕されなければずっと続けていますから、早く逮捕されると言うのはひとつのポイント>
<一時予防として、性教育の中で性暴力の問題をしっかり伝えていくことや、小児性犯罪の問題は治療が可能で、多くの被害者を出さずに止め続けることが可能だというエビデンスをちゃんと出していくことで、少しでも早くプログラムにつながってくれる可能性はある>
<当事者(小児性愛障害)の方からヒアリングでは、95%の方が、児童ポルノが加害行為のトリガーになると言っており、無視できない現実。二次元、実写版を見るだけで止まっている人もいるだろうと思いますが、この問題は一人でも被害者が出ればそれは何か対策をしなければならない。この事実はしっかりと目を逸らさないで見たほうがいい>

「小さい時、変なおじさんいたよね」で済まされない

 加藤孝さんは、番組に顔を出し、本名で自分の加害行為を語ろうと思った理由について、次のように説明している。

<この問題に限らず、自分が視聴者として見ていた時に、当事者の方にモザイクが入ってることに対してイライラし、「ちゃんと伝えればいいのに」と思っていた>
<自分が出てしまうことで、セカンドレイプ的な状況を作り出してしまうことも考えたし、主治医にも相談したが、いかに未然に防ぐかということで、過去の自分に語りかけるように、自分と同様の問題を持つ人にメッセージを伝えたい>

 しかし性的加害の被害者がこの番組をみた場合、フラッシュバックなどが起きることも考えられる。

 同番組には、幼少期に大人から性的な嫌がらせを受けた経験のある池澤あやかさんも出演していたが、涙ながらに「被害者が出る前に治療をしてほしい」と切実な想いを語った。

 そんな彼女の様子を受け、小島慶子さんは「加害者にしか語れない事実はある」としながらも、「被害者が受ける精神的苦痛を“軽視”しているのではないか」と訴えた。

<なんとなくスタジオも「どうしよう」って感じでスルーしているけど、池澤さんは泣いているじゃないですか。小さい子どもがそういうことをされて、1カ月間つけ回されることがどれだけ怖かったか、それを沢山の人が見ているテレビ画面で、テレビカメラの前で言うことだってものすごい勇気がいる。それでもう1回傷つく>
<「よくあることだよね」「小さい時、変なおじさんいたよね」で済まされちゃうことがどれだけ人を傷つけ、乗り越えるのに辛い思いをしているのか。乗り越えられずに、ほんのちょっとした話で繰り返しその傷をもう一度味合わなければならない人がどれだけいるのか、やっぱり知ってほしいです>

加害者が登場することの是非

 番組放送直後から、ネット上でも加害者が顔を出して語ることの是非が議論され、紛糾している。前述したように、性犯罪の加害者を登場させることで、性被害当事者などにフラッシュバックを起こす可能性もある以上、どこまでも慎重を要する。

 だが真剣にこの問題を議論するユーザーがいる一方で、炎上に群がって叩いているだけのユーザーも少なくなかったことは残念だ。加藤さんのTwitterに多数の誹謗中傷が書き込まれた。

 あまりにデリケートな問題であり、その是非を問われることは当然だ。だが、炎上を楽しみたいだけのバッシングは冷静な議論を撹乱するだけであり、被害者に寄り添ってもいない。

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