「桜を見る会」問題を弁護士のフレームワークで整理する

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「GettyImages」より

 この世界は複雑すぎる問題で溢れている。何が事実で、何が推論で、それぞれがどう絡み合っているのかが不明瞭なものが多すぎて思考停止してしまいたいくらいである。

 しかし、自らが有権者として当事者となっている民主主義社会において、そのような思考停止は危険な兆候だ。自分の理解を超えているから放置するという態度は、いつか自分自身の身を滅ぼすことにつながる。

 筆者も極めて怠惰な性格であり、煩わしい事象からは極力距離を取りたいと考えるが、その一方であえて問題の本質から目を背けようとさせる事態に対しては、もう一つの性格である負けず嫌いが働いて、本質を見通したいという欲にも駆られてしまう。

 今回は、法律家として日々の事件に向き合うフレームワークを用いて、「桜を見る会」問題をテーマに、複雑な問題とどのように向き合うかを提案してみたい。

論点を網羅的に列挙する

 論点が多岐にわたり、複雑に絡み合う問題に向き合うための第一歩は、論点をとにかく網羅的に列挙することである。このとき、それぞれの関係を気にする必要はない。ブレインストーミングのように、とにかくその問題に関係する論点を次々に書き出してみるのである。

 桜を見る会でいえば、誰が招待枠を持っていたのか、反社会的勢力が参加していたのか、前夜祭の費用はどうなっていたのか、そもそも税金で運用することが正しいのか、などである。

 このとき、ポイントは「一つの論点には一つのアイデア」としてシンプルに一つずつ問題を書き出すことである。

 たとえば、「反社会的勢力も参加していたし、功労者とは言えない人も参加していたし、マルチ商法の事業者も参加していた」と書き出してみると、ここには3つの問題が入ってしまっていることがわかる。

 これでは、それぞれの問題の相互関係を次に整理しにくくなるため、一つの論点には一つのアイデアだけに限定して、「反社会的勢力の参加」、「功労者以外の参加」、「マルチ商法の事業者の参加」と整理するのである。

論点を構造的に分析する

 論点を網羅的に列挙できたら、次に構造分析に移る。ブレインストーミングで出たアイデアをグルーピング化することに近い。具体的な論点ごとに抽象度を高めて大きな論点にまとめていく作業である。

 桜を見る会でいえば、税金でこの会を開くことの是非、前夜祭対応の問題、招待者管理の問題、国会審議の問題などに大きくグルーピング化できることがわかる。実際、日々報道で流れてくる事実の全てはこの4つのいずれかに収斂される。

賛否を並べる

 それぞれの論点の構造分析ができたら、最後に賛否を確認する。それぞれの論点に関する賛成意見と反対意見を整理する作業である。

 桜を見る会では、野党側の批判的意見・質問と、政府側の反論・答弁の両者で整理すればよいであろう。

結果、桜を見る会の問題はこのように整理される

 以上のような整理の方法で、桜を見る会の問題を論点ごとに整理したのが以下の表である。

 もちろん、端的な表現に留めており、これ以外にも多数の指摘は存在するが、そのいずれもが以下の論点のいずれかに関することであろう。

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自分の意見の作り方―事実と推論の境目を見つける

 自分なりに論点の整理ができたら、いよいよ自分自身の意見を形成する段階に入る。そこで、法律家が最も得意とする思考のフレームワークを最後にご紹介する。

 それは、①「事実」と「推論」の境目を確認し、②事実と説得力のある推論に基づいて意見を形成することである。

 「事実」には、対立する当事者の双方が認めている「争いのない事実」と、「証拠によって裏付けられる事実」の2種類がある。

 「推論」は、証拠から導くことも可能であるが、他方で反論も可能なものであり、どのような推論に説得力を認めるかは自分自身の判断である。

 桜を見る会問題では、政府と野党が争っていない事実もあれば、もはや確認できなくなってしまい推論の域を出ない意見もある。ここから先の意見の形成は読者の皆様におまかせしたい。複雑な問題に対する向き合い方のヒントになれば、これほど嬉しいことはない。

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