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転職のコツは「自分を承認し、自信を持つこと」。職業は「嫌いじゃないこと」から探してみる

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中川倫子さん

 新しい一年がはじまり、新年の抱負を考えている人も多いのではないだろうか。心機一転、転職を考えている人もいるかもしれないが、転職にあたっては今までの自分と向き合い、これからの自分について考える必要がある。

 エン・ジャパン株式会社は2018年9月26日~10月28日の期間、同社が運営する転職支援サービス「エン転職」のユーザー1万人に、転職の実態調査を行った。転職活動における悩みの調査では、「自分のアピールポイントがわからない」「自分の適性がわからない」「自分のやりたいことがわからない」がトップ3であった。

 即戦力になるスキルがないケースや、現職と異なる職種へ転職するときにアピールポイントがみつからないケース、自分の適性ややりたいことがわからないケースが多いようだ。

 転職活動を始めるには、自分の人生を振り返り、自分のキャリアやアピールポイント、適性を整理しておく必要がある。しかし、客観的に自分を見つめることは難しいようだ。今回はキャリアコンサルタントである中川倫子さんに、自分のキャリアを整理して転職に活かす方法や考え方などをうかがった。

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中川倫子
キャリアコンサルタント。キャリコンサロン所属。「誰しも素敵な所があり、それを承認し合える社会を創る」を信念にフリーで活動中。キャリアを考えるイベント『キャリアカフェ』企画主催。大手人材会社にてキャリアコンサルタント、企業研修講師、リカバリーカレッジのキャリア講座講師等。キャリア面談数約2,120名。Twitter: @rinnaka_carrer

自分の強みやアピールポイントは些細なことでもよい

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--キャリアコンサルタントの仕事内容について教えてください。

中川「キャリアコンサルタントは、仕事やキャリア、進路に関わる相談・カウンセリング・コンサルティングを行う仕事で、国家資格です。人材会社、転職エージェント、企業の人事部に常駐していたり、ハローワークやジョブセンターで就職相談をしている方や、フリーランスで活動している方もいます。

 キャリアコンサルタントによって一人の方に対する相談回数は異なりますが、手順としては相談者のキャリアや仕事における不安のヒアリング、強みの洗い出し、なりたい自分の整理、なりたい自分になるために必要なプロセスを考えます」

--転職活動における悩みとして、「自分のアピールポイントがわからない」がトップになっています。自分のアピールポイントや強みを客観的に分析する方法はありますか?

中川「単純に自分自身の強みを知りたい場合は、子ども時代から今までの経験を棚卸しする必要があります。転職でアピールポイントとなる強みの見つけ方は、仕事をしていた中で、どんなことを頑張ってきたかを棚卸しする必要があるんです。

 『私にはアピールできるような経験がない』とおっしゃる相談者の方もいますが、どんな些細なことでもいいんです。『頑張ったと思えることを書いてください』と伝えると、結構思い出されて書いてくださいます。

 たとえば、『配属された部署に業務マニュアルがなく大変な思いをしたので、自分なりに簡単なマニュアルを作成したことがあります』という方がいたとします。これは、業務を効率化・改善したいという気持ちがあり、次に業務を行う人の気持ちも考えられるといった強みなんですよね。このような感じで、強みやアピールポイントを一つひとつ整理していきます」

--それでもなかなかアピールポイントや強みが見つけられない方は、どうしたらよいと思いますか?

中川「まずは強みを見つける前に、自分を承認し、自信を持つことが大切です。人間には、自信を持つための心理的なポイントが3つあります。

    1. 1.自己評価的成果(満足感を得る、自己肯定感)
    2. 2.物理的な成果(報酬、受賞などの物理的な成果)
    3. 3.社会的成果(昇進、肩書、名誉や地位)

 3つの中で最も自信を持てるポイントは、「自己評価的成果」になります。結局人が自信を持つには物やお金ではなく、自分が自分をどう認めてあげられるかが大切なんですね。自分で自分を肯定してあげることが、自分の自信に繋がると思います。

 日々膨大な量の仕事こなしていると、完了しても自分を労わない方が多いと思うんです。完了するとすぐに次のやらなければならないことを考えてしまうものですが、まずは一つの仕事を終わらせた自分を、ぜひ褒めてあげてください」

--仕事をこなしていった自分を日頃から認めてあげられていれば、強みが見つかりやすいということですか?

中川「そうです。『この仕事を終わらせた自分はすごい!』と思うだけでもよいと思うんです。日々の営みを、投げ出さずに毎日こなしている。それ自体が、実はすごいことだとお伝えしたいです。成し遂げたまではいかなくても、ちょっと頑張ったことで十分なんですよ。自分ではすごいと思えないことでも、他人からは『すごいですね!』と言われることもきっとありますよね」

--なかなか自分を認められずに、「自分なんか大したことない」と思われている方は多いのでしょうか。

中川「多いですね。わかりやすい”ものさし”で、ついつい人と比べてしまうのではないかと思います。たとえば、「学歴がない」「誰もが知っている有名な企業で働いたことがない」「正社員で働いたことがない」「長くひとつの仕事を続けてきていない」「何も極めていない」など、わかりやすい”ものさし”だけで人と比べてしまう方が多いです。人と人との比較ではなくて、自分自身の振り返りが必要だと思います」

 

--具体的にどんな内容で相談に来られる方がいますか?

中川「たとえばですが国家公務員の方が、相談にいらっしゃったときのことです。その方のご経歴は、私の視点からはとても華々しく見えました。しかしご本人は、日々の仕事が会議の下準備や根回しなどで、専門知識を活かした業務をしてきていないと悩まれていたんです。

 オールラウンドプレーヤーになってしまい、40代になってもいまだに極めてきたものがひとつもないと、自信を持てずにいらっしゃいました。自分の自信のなさを見つけたがる方は、意外に多いのではないでしょうか。

 『ひとつの仕事を極めていない』という相談をよく受けますが、いろいろな仕事をやってきたことも強みなんですよ。逆に自己肯定感が高い方は、『自分はいろいろな経験をしてきたから、それらすべてが自分の身になっています!』とアピールされる方もいらっしゃいます」

現職での成功体験は強みやアピールポイントになる

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--現職とは異なる職業に転職する場合、仕事以外での成功体験はアピールポイントになるのですか?

中川「転職活動においてのアピールポイントは、仕事での成功体験が必要になってきますね。企業の人事の方は、『その課題に対してその人はどう考え、どう具体的に行動・言動をするのか』という工程を知りたいのです。その工程から、その方の仕事におけるスタンスや人間性、今募集しているポジションに必要な人材なのかどうかを見極めているんですね。転職したい職業が現職と異なる場合も、現職の成功体験は十分なアピールになると思いますよ。

 たとえば現職が接客業の方でしたら、『お店が混んできたときに、スタッフの中に仕事の負担が大きくなっている人がいないか常に見ていました』でもよいと思います。職場のメンバーに負担がかかっていないか観察できる力は、ほかの職業でも活かせる強みになります。未経験の職業でも、前職で頑張ったことを自分なりに書き出して整理をして、それを言語化しておくことが大切です」

--企業側はどんな能力を求めていると思いますか?

中川「自走性がある方は、企業から求められることが多いです。職場・仕事の問題点に気づいて、それを自分一人で抱え込まずに周りを巻き込んで提案し、行動できる方のことを言います。しかし、これらすべてをできる方は少ないんですよね。実際、自走性ってとても難しいものだと思います。  

 これらすべてができなくても、職場の問題に気づける力のある方は、それだけでも強みやアピールポイントになるんですよ。問題に気づける方に協力しようと思える方も、協調性や協同性が高いと言えますよね。『その問題に取り組まれている方がいたので、自分も協力し、こういった取り組みをしてきました』といったように。そうやって自走性のような大きく高度な能力も、一つひとつ分解していくと、何かひとつはできていることがあると思うんです。それを面接でアピールするのもよいと思います」

仕事にブランクのある母親は子育て中の経験がアピールポイント

 

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--仕事にブランクのある母親が、再就職でアピールできるポイントはありますか?

中川「私は世のママさん達には、高いマルチタスク能力やコミュニケーション能力があると思っています。ご自身のことだけではなく、お子さんやご主人のスケジュール管理、お子さんの習い事の付き添い、予防接種の管理、お子さんの学校の役員活動、義父母や親戚、地域との付き合い、膨大な家事や終わらない育児、仕事もされていらっしゃる方も多いですよね。まさに家庭のCEOですし、当たり前のようにこなしていますが、実は高度なマルチタスク能力といえると思います。

 また、学校の役員の仕事では、価値観や温度感も違う方々と、協力してお仕事を進められてますよね。言いたいことがあったとしても、時に子どもの人間関係にも直結する分、それを抑えてある程度の礼儀をもって接することができる。かといって、表面的な関係に終わらず、適度な距離の関係を上手に築かれていますよね。これは、素晴らしいコミュニケーション能力だと思います。そんなママさん達は、事務職・接客職・専門職でも、活躍できるフィールドは多いと思います」

--ブランクの間にも、仕事に活かせる経験をしてきているということですね。

中川「そうですね。たとえば、ブランクが長くて自信がなかったとしても、学校の役員でExcelやWordを使っていた方は事務職との親和性があります。子どもの幼稚園や小学校のイベントの販売をした経験のある方は、接客業と親和性があります。ブランクの間にも、仕事に活かせる経験はあると思うんです。

 ブランクがあると、確かに最初はお仕事が大変かもしれません。しかしお仕事にさえ就ければ、ブランクは気付けば雪のようにいつの間にか溶けてなくなるのではないでしょうか。

 「今のビジネスメールはこうやるんだ」「挨拶回りってこうなんだ」と、少しずつブランクを埋めていけばいいんです。焦る必要はありません。私も実際、9年間子育てで専業主婦をしていましたが、子育て中の経験は今の仕事に間違いなく生きていると思います」

職業は「嫌いじゃないこと」から探してみる

--自分の強みを活かした職業の選び方はありますか?

中川「突然、好きなことや天職なんて見つけられないと思います。でも、それはそれでいいんですよ。やりたいことがわからないとおっしゃる方も多いですが、まずは嫌じゃないことを消去法で探してみてください。

 キャリアコンサルティングをする時も、「この職業は嫌ですか、嫌じゃないですか」と職業のリストから一つ一つお聞きして選択していただくこともあります。人間、嫌なことは続けられないので、嫌じゃない中でやってみようかなと思うものにトライしてみるのがおすすめですね。

 職業には、「やりたいこと」と「できること」があると思うんです。一番よいのは、「やりたいこと」かつ「できること」を職業にすることなのですが、そういう職業に出会うのはなかなか難しいことですよね。

 なので、「若干やりたいこと」や「若干できること」も職業の候補として選ばれることをおすすめしています。適性はあまりないけどやりたい職業や、適性はあっても若干興味がある程度の職業も選んでみてはいかがでしょうか」

--最後に、いま転職しようとしている方へメッセージをいただきたいです。

中川「転職活動をする時に考えていただきたいのが、ご自身が2、3年後に笑顔で過ごすためには何が必要であるかということです。「こんなスキルを手にしていたい」「給料を上げたい」「仕事よりもプライベートを大事にしたい」など、「笑顔で過ごすために、自分には何が必要なんだろう?」とぜひご自身に問いかけてみてください。それを明確にすることによって、ご自身が転職する本来の意味を確認できると思います。

 書類選考の通過率は20代の方でも低く、30代以上になるとかなり低くなります。書類選考で落とされてしまうと、自分の経歴を否定された気がして落ち込まれる方が多いですし、お気持ちは本当によく分かります。ですが実際、企業の人事の方は優秀な方がほしいわけではなく、募集しているポジションに「ちょうど合う」方がほしいだけなのです。私は何千人もの方の転職を見てきましたが、どの方も最後は必ずご縁がある所に決まります。落ちてしまった所はご縁がなかっただけですので、あまり気にされずに次へと、気持ちを切り替えることをお勧めします。

 一方で、年齢の高い方が書類選考を通過するということは、企業側がその経歴を持つあなたをかなり欲しいということなんです。書類選考を通過できれば、20代の方と同じか、より面接の突破率は高くなります。ご自身のペースで無理なく活動してください。こちらを読んでくださった皆様の2、3年後が、日々笑顔になられていることを祈っております」

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