「自称神様」スピリチュアル中学生を利用する大人たちの思惑

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 Twitterのつぶやきや5chのスレタイを見ていると皆様の言葉遊びが秀逸すぎて、なかなかの腹筋運動になってます。先日ブホっと噴き出したのは、Amazonレビュー「中一なのに中二病」。本文は、こうです。

前作のヒットののち、イルカ型のラリマーを販売する石屋さんになったようですが今もスピリチュアル少女として健在です」(一部引用)

 当連載の常連読者様なら、もうだいたいどなたのことかお分かりでしょうか? そうです、胎内記憶キッズとして名を馳せた「すみれちゃん」のことです。ちなみにラリマーとはパワーストーンの一種。以前は通販で手広く販売したこともあるようですが、現在は休止状態。本人が石の声を聞き取りながら作る「ことたまブレス」は、イベント等で買えるようですね。

『かみさまは小学5年生』に見る、大人の期待に必死で答えようとする子どもの痛々しさ

「子どもは空の上で親を選んで生まれてくる」「精子、卵子、胎児の頃から記憶がある」。そう主張する〈胎内記憶〉は、産婦人科医・池川明氏によって布教されている…

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「自称神様」スピリチュアル中学生を利用する大人たちの思惑の画像1 ウェジー 2018.08.28

小学生女子を教祖とし「子どもは親を選んでくる」説を広める胎内記憶界の暴走

 胎内記憶提唱者の「神さま化」が止まらない! 胎内記憶とは、「母親のお腹のなかにいたときの記憶」のことですが、胎内記憶研究の第一人者である産婦人科医・池…

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「自称神様」スピリチュアル中学生を利用する大人たちの思惑の画像1 ウェジー 2019.04.09

 軽くおさらいしますと、「すみれちゃん」とは、胎内記憶ドキュメンタリー『かみさまとのやくそく』に登場したことをきっかけに、スピ界の新星として躍り出た当時小学生女子(現在は中学生)。「母親のおなかに入る前=空の上の世界にいたとき、2番目の神様をやっていた」と主張しており、現在は子ども教祖様街道を爆走中です。もともとスピ界にどっぷりだったと思われるお母さまは、さぞかし鼻が高いことでしょう。

ターゲットは“母親”たち

 初の著書である『かみさまは小学5年生』(サンマーク出版)は、現在40万部超えという大ヒット作となり、そこから続編として2019年11月に同社より出版されたのが『かみさまは中学1年生』。そのレビューとして投稿されたものが、冒頭のものというわけです。今回はこの新刊レビューをお届けしていこうと思います。

 同書の読者ターゲットは言わずもがな、200%「癒しを渇望している、不安定で不安な人たち」でしょう。胎児の気持ちを聞き取りできる能力を自称するすみれちゃんのトークショーでは、あちこちで感動の号泣が発生するといいますから。本作も前作同様、担当編集者がぐいぐい前に出てくる構成になっており、映画のプロローグよろしく、出だしからこんな塩梅で癒しをふりまきます。

中学1年生になったすみれちゃんと、担当編集である僕、そして、この世界に降り立ったばかりの小さな巨人=あかちゃんによる、涙がこぼれる世にも不思議な話である

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