アラフォー女性4人のルームシェアは「家族でなくても共生しやすい社会」の実践

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「Getty Images」より

 1年前からアラサー・アラフォーの女性4人(なお全員なにかのオタク)で、ルームシェアをしている。

 ルームシェアというと、期間限定で若い人がやるイメージがあるが、私は38歳(もうすぐ39歳)。40手前にして始めた、恋愛関係や家族関係というつながりとはまた別の、価値観の近い者同士が生活のために淡々と「手を組む」という、オルタナティブな共同生活は、控えめにいってかなり快適である。

 ただ、物件探しだったり、賃貸契約には多少壁があったり、他人と共同生活を送るためにはある程度の決め事も必要だ。これまで約1年間の間、ルームシェアしてきて感じたメリットデメリットを書いていきたい。

きっかけ

 ルームシェアを始めたきっかけは多々あるものの、2年前の雨の日、駅の階段から勢いよく滑り落ちて肩を痛めたことが大きな理由だ。ちなみに肩は今でも完全に上がらず、リハビリのために通院を続けている。

 肩が動かないというのは、日常生活の不便が出てくるもので、高いところの荷物がとれないのはもちろんのこと、急にハンドルをきると痛みが走るため、自転車にも乗れなくなるし、当然本業の執筆にだって影響が出てくる。そして「長期的に身体の一部が動かない」というのは、メンタルにかなり響くもので、夜中に突然孤独死の恐怖におそわれ夜泣き(※ガチ)をしたりと、まったくもってヤバいメンタルに陥っていた。

 それに加えて、職業や趣味の問題で、1Kの部屋に対してモノが多いので、それを解消したいという理由もあった。そこで同じく部屋が狭くて困っていそうなフリーランスの友人に声をかけたところ、「自分も居住空間と作業空間を別にしたいと考えていた」と色よい返事をもらった。その際に「フリーランスの2人暮らしはリスク(どちらも在宅なため、仲が悪くなると詰む・賃貸の信用問題)が多い」という提案を受け、3人目のルームシェア希望者(できれば会社員)を募ることとなった。

 複数あるオタク同士の情報共有用のLINEグループでサラッと募集をかけたところ、秒で希望者が現れた。しかも2人。「オタクなので部屋が狭い」「現在実家住みだが職場が遠い」などといった理由だ。どちらかを断る理由もなかったし、「多い方がなんかおもしろいじゃん」と4人でルームシェアすることに相成った。この時点で「おもしろがり」の基準が一致していることが分かって良かったなあと思ったのだった。それ以外にも「急な転勤の可能性はないか」「親の健康状態は現状問題ないか」という確認も行ったけれど。

物件探し

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※イメージ

 物件を探すにあたって、まず、連絡用LINEグループを作成し、各自別々の賃貸サイトを手分けして吟味した。そこに希望に合いそうな物件のURLを貼り、皆で検討。候補に入った物件はGoogleスプレッドシートで、築年数、間取り、最寄り駅、駅までの距離などを一覧できるようにした(と、偉そうに書いているが、スプレッドシートを作ったのは私でなく同居人である)。

 「おもしろそう」という理由で4人用のルームシェア物件を探しはじめた我々だが、当然ながら世の中は「おもしろ」では動いていない。物件探しはやや難航した。「ルームシェア可」「ルームシェア相談」物件でも、家族以外は不可だったり(それルームシェアか?)、フリーランスは不可だったりと、なかなか世間の風は冷たかった。

 友人同士のルームシェアは破綻しやすく、家賃の未払いのリスクが高いという先入観があるのかもしれない。実際、そういった案件があり、もうルームシェアには貸したくないとこぼす家主もいるそうだ。

 知らない先人に対して「ルームシェアするなら責任を持ってくれ」とぼやきたいところだが、私自身、妹とのルームシェアが、細々した家事分担などで意見が割れ、約3カ月で破綻させたことがあるので偉そうなことがいえない。いや、むしろ家族同士でもルームシェアが破綻することも多々あるわけで(大きな実感を込めて)、「法的な家族でなくても共生しやすい社会」にならないものかなあと思う。

 周囲でも友人同士で長く住んでいる(たいてい女性の2人暮らし)人も複数いるのだが、やはり物件を借りるのは「運ゲー(運だよりのゲーム)」だという意見は共通していた。場合によっては不動産業者から、「お互い結婚の予定はないのか」など、プライベートへの詮索があったりと、なかなかやりにいくとのこと。昨今は、未婚だったり離婚だったりで、独り身で一生を終える者も少なくないわけで、それに同性パートナーシップ証明制度をとりいれている自治体も出てきた昨今、旧来の「家族」を前提とした賃貸契約も時代遅れになってきているのではないだろうか。

契約問題

 とかなんとか、当時LINEグループでブツクサこぼしていたら、わりとすぐに今の住まいがヒットした。

 駅から20分弱の5LDKの一軒家(家賃は21万円)。駅からやや遠く、物件自体は古いものの、水回りはキレイにリフォームされており、収納も豊富で全部屋フローリングなのもポイントが高い。そしてなにより家主はルームシェアにも寛容という点だ。

 5LDKなら、1部屋を全員のオタク趣味用物置にできる! ここしかない! と、すぐさま4人の予定を合わせ、内見の予約を確保。実際に物件を見ても、かなり理想にちかいもので、即座に契約に進んだ。……のだが、言い出しっぺの私が契約者になったため、入居審査で少しもたつくことになる。

 審査の条件として「社会保険」に加入している、つまり「正社員の保証人」が必要だったのだ。数年前に定年退職し、現在は自営業を営んでいる両親には頼れない。もちろん、他の同居人を契約者にたてる方向もあったのだが、それは自分が“言い出しっぺ”であるので、いきなり誰かに重責を背負わせることは、できるだけ避けたかった。結果、都内で会社員をやっている妹にお願いしたところ、わりとアッサリ受けてくれた。

 先述したルームシェアで喧嘩別れした妹なのだが、離れてみると関係はそこまで悪くなくなったので、人には適切な距離感があるのだなとつくづく思う。とにかく、はれて審査は通り、先述したように家主は(審査以外は)かなり柔軟な人で、2年更新のところを「長く住むから3年にしてくれ」と頼んだところ、即座に快諾してくれた。こういう交渉は、賃貸マンションよりも一軒家の方がやりやすいのかもしれない。

 そして1年近く経過したところ、とくに大きな問題なく暮らしている。よく、「他人と暮らすのは抵抗なかった?」と聞かれるのだが、SNSやブログで10年以上つながっていた人たちなので、年に数度しか会わなくても、ある程度の信頼感、たとえば「この人は、何かトラブルがあっても話せばわかるだろうな」というコンセンサスは共有されていたのは大きい。これは、個人同士が気軽に繋がり連絡をとれる、SNS時代の恩恵を受けているということだろう。そう考えると「良い時代だな〜」と感じるのであった。

 後編は、実際に他人同士で暮らしてみて感じたことを紹介していきたいと思う。

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