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日本の反ワクチンはどのようにしてはじまり、いまどうなっているか/ワクチン専門家座談会

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森戸:日本にも、もともとワクチンを危険視する土壌があったと言いますが、ナカイさんの翻訳された『反ワクチン〜』を読むと、「なんだ、日本の反ワクチン運動って、全部海外ですでにやられていることなんだ。アメリカだのイギリスだのの焼き直しだな」なんて思いました。

ナカイ:パターンが同じですよね。

森戸:海外の例を見て真似しているともかぎらず、要は見知らぬことに対する不安って、どの国も同じような感じなんですね。でも、過去に同じような出来事があったのならなおさら、それに対してどうしたらいいのかということを、歴史から見習えないんでしょうか。

ナカイ:反ワクチンも消費者運動のひとつですから、反省というのはなかなか発生しづらいですよね。というより、70年代の消費者運動は大企業や政府に対し、商品の不正や欠陥を質していくという正義の戦いでしたから、それを批判するという動きは起こらない。

森戸:ただやはり、反ワクチン運動が起こるとどうしても感染症の患者が増えてしまい、子どもや弱い人が犠牲になってしまう。

ナカイ:海外の話ですと、イタリアではワクチンを推進したせいで政権が負けてしまったという例もありますよね。そして厚生大臣になった人がワクチンを義務化しないと言ったら、麻疹流行が始まってしまった。日本ではまだ、そのように「接種を強制されるから嫌だ」という声が大規模にあがるところまではいってないと思いますが、やはり見過ごせない問題ではありますよね。

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日本の反ワクチンはどのようにしてはじまり、いまどうなっているか/ワクチン専門家座談会の画像2 ウェジー 2019.02.21

添加物と使っているから怖い?

ナカイ:ワクチンを怖がる保護者を見ていると、添加物を使ってるから、いろいろ入ってるから怖いみたいな話になっちゃってます。

森戸:添加物という呼び名が怖いんですかね? 入れる理由は、アジュバンド(増強剤)として添加すると抗原をすごく少なくすることができ、さらに価格も安くなるので多くの人に打てるから。しかも少ない回数で。そのことを、知ってほしい。

宮原:一時期「ワクチンに含まれる水銀(チメロサール)がダメ」って言われてたじゃないですか。あれはもう医学的に決着がついている話なのですが、いまだにそう思っている人がいる。確かに水銀は一時期インフルエンザワクチンから抜かれ、代わりにフェノキシエタノールという化粧品などで使われる防腐剤が使われたことがありました。しかし、今度はフェノキシエタノール入のワクチンで、アナフィラキシーショック例が多く報告されるようになって元に戻ったんです。

ナカイ:「水銀が怖い」という意見はとてもよく聞きますね。巷に出回っている情報で「ワクチンには水銀なしとありがあるから、うちはなしにしてもらいました」みたいな。

一同:あるある。

大西:水銀が怖いと思っている人には、水俣病のイメージもありそうです。でも、水俣病はメチル水銀。ワクチンに使われているのは、エチル水銀ですよね。

森戸:そうそう。しかも、ワクチンに含まれている水銀は微量で、日本人が魚などを食べることによって1日に接種している水銀量よりもずっと少量です。

ナカイ:水銀に関する悪いイメージというのは水俣病の話がいったんアメリカへ行き、自閉症は水銀が原因みたいに言われたことからですよね。先ほど宮原先生も言ったとおり、いまはもう医学的に否定されていますが、なんとなく噂で耳にしてよくわからないまま信じている印象です。

宮原:水銀フリーのワクチンは、アレルギーがあるので念のため水銀フリーにしておきたい人、過去に水銀入りのワクチンを打って腫れや痛みがひどかった人などが選択することがあります。しかし、一部の医療者や患者さんが「私たちは水銀フリーを使ってます」とアピールすると、多くの人は「やっぱり水銀は危ないんじゃないか?」と思ってしまう。

森戸:で、結局、ワクチンの水銀で実際に健康被害が出たことはないんですよね? ワクチンに含まれる水銀によって発達障害や自閉症になったというのはすでに否定されてるし。

宮原:僕の知るかぎりではありません。あるとしたら何かしらの過敏性反応、アレルギー反応くらいです。

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