
「GettyImages」より
お子さんの具合が悪いとき、両親のどちらかが家で看病したり、家で様子を見たりすることができるのが一番いいです。でも、両親とも仕事があったりどうしても外せない用事があったりで、そうできない場合はどうしたらいいでしょう。
厚生労働省は、病児保育事業を行っています。子どもが病気になって自宅での保育が困難な場合に、病院・保育所等で病気の児童を一時的に保育し、安心して子育てができる環境整備を図るというものです。両親に代わって、病気中の子、病気からの回復期にある子の面倒を見てくれるんですね。
子どもには、病気でも育てられる権利があり、この病児保育の制度は実は親のためではないんです。ユニセフが定め、日本も批准している子どもの権利条約に生きる権利・育つ権利が明記されていて、病児保育は子どもと保護者を守るものです(大川洋二 チャイルドヘルス2019. vol22 No.8)。
病児保育は子どもの権利
病気のときくらい親がみてあげなさいという意見はよくいわれがちです。特に母親は、他の誰にいわれなくても子どもを置いて仕事に行くというだけで罪悪感を持つ傾向があります。現在は就労している母が、専業主婦の倍以上います。病気になったときに、いつも一緒にいる母親あるいは父親がいてくれるのがもちろん望ましいでしょう。
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でも、なんらかの事情があるときに両親ではない誰かが子どもをみてくれ、それによって働きにいくことができるというのは、安心につながります。個人によって頼れる人、経済的状況、就労の状況が違いますから、そうした事情に左右されることなく社会全体で子どもを守るという仕組みはぜひとも必要です。
日本の児童福祉法第6条3, 13にも、
「病児保育事業とは、保育を必要とする乳児・幼児、又は保護者の労働若しくは疾病その他の事由により家庭において保育を受けることが困難となった小学校に就学している児童であって、疾病にかかっているものについて、保育所、認定こども園、病院、診療所その他厚生労働省令で定める施設において、保育を行う事業をいう」
とあります。本来は、すべての子どもが対象で、保育園に通っている子どもなのかどうかということは問われないはずですが、実際に病児保育を行う自治体によっては、制度が違います。
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