アマゾン配達員動画に批判だけでなく同情も 「再配達」の過剰負担

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「GettyImages」より

 大手ECサイトAmazon(アマゾン)の配達員が、配達中の段ボールを放り投げる動画がネットに拡散され、物議を醸している。

 匿名ユーザーがTwitterにアップした問題の動画は、現場を通りかかった車のドライブレコーダーで撮影されたものだという。住宅街に停車した軽トラックから、配達員が段ボールを取り出して乱暴に放り投げる様子が映り込んでいた。

 京都新聞2020年1月6日付の記事によれば、アマゾンジャパンは同紙の取材に「該当のドライバーに対し、適切な措置を講じている」「このような行為は容認していない」とコメントしているという。

「配達員さんも人間だし…」

 荷物を放り投げたのは、その服装からアマゾンと提携する配送業者「デリバリープロバイダサービス」の配達員とみられる。

 当然のことながら、宅配大手のヤマト運輸や佐川急便以外にも、多くの物流サービスを担う会社がある。2017年にヤマト運輸がアマゾンの当日配送サービス(お急ぎ便)から撤退すると、アマゾンからデリバリープロバイダへの委託が増加していった。

 しかしそのサービスの質については、「日時指定通りに届かない」「連絡なしで不在票が入ってた」「配達員の態度が悪い」などのクレームがネットで多く書き込まれている。

 今回も撮影された動画に対して、SNSでは「やっぱり酷すぎる」「どうみてもアウト」「もうデリバリープロバイダは止めてほしい」と批判が続出した。

 だが一方で、配達員に同情的な声もある。

「あってはならない事だけど、アマゾンもこの実態を受け止めて対策すべき」
「配達員さんも人間だし、もし何度も不在にされたらキレることもあるでしょう」

デリバリープロバイダ配達員「薄給、激務、苛烈なノルマ」

 ネットショッピングの需要が拡大し、迅速な配送サービスが求められている昨今、荷物を取り扱う配達員への負担は激増している。

 2013年には、佐川急便が運賃交渉の決裂によってアマゾンの配達から撤退。佐川に代わって受託したヤマト運輸も増加し続ける物流量に対応しきれず、2017年には人手不足や配達員の未払い残業代などの労働問題が発生した。

 これをきっかけに、ヤマト運輸は“働き方改革”に着手し、荷受け量の抑制や運賃値上げなどを進めたことで、結果的にアマゾンの荷物の取扱量は減少した。

 だが宅配大手がアマゾンとの付き合い方を改めるなかで、そのシワ寄せが下請けの自営業者(委託業者)に及ぶことは想像に難くない。

ヤマト運輸ら宅配大手三社の「働き方改革」、しわ寄せが酷い?

 宅配業界はネット通販の普及による物量増加や、慢性的な人手不足により、労働者が過酷な働き方を強いられている印象が強い業界だ。ヤマト運輸を始め、佐川急便、…

アマゾン配達員動画に批判だけでなく同情も 「再配達」の過剰負担の画像1
アマゾン配達員動画に批判だけでなく同情も 「再配達」の過剰負担の画像2 ウェジー 2019.06.15

 2018年10月には、デリバリープロバイダの元ドライバーを名乗るTwitterユーザーが、その労働実態について「薄給、激務、苛烈なノルマ」と暴露。朝4時から深夜23時30分まで荷物を運び続けるという異常なタイムスケジュールを明かし、「異常な勤務時間でみんなおかしくなってしまう」「まるで現代の蟹工船だった」と訴えたこともある。

 ボタンひとつで注文ができるというネットショッピングの高い利便性は利用者にとって魅力的だが、その利便性は配達員の過剰な負担に支えられている可能性がある。

約2割もの「再配達」と利用者の意識

 とりわけ現場の配達員を悩ませるのが、不在時などによって荷物を受け取れなかった場合に用いられる「再配達」の問題だ。

 2018年4月期に国土交通省が行った調査結果によれば、宅配便の取扱個数のうち約2割が再配達になっているという。

 国交省は再配達の削減を呼び掛けており、その社会的損失について「約2割にのぼる再配達を労働力に換算すると、年間約9万人のドライバーの労働力に相当します」と指摘している。

 アマゾンは再配達問題の解消を狙って、一部の対象地域で配達員が指定場所に荷物を置いて帰る「置き配」サービスを2019年頃からスタート。しかしSNSでは「盗難が怖い」との不安や、「置き配指定してないのに勝手に玄関に置かれていった」などというトラブルの報告が相次いでいる。

 これだけ大きなひずみが生じている以上、大口顧客のアマゾンは配送業者の待遇改善が急務だ。同時に、サービスを利用する私たちも、「配達してくれるのは人間だ」ということを忘れていないだろうか。再配達を回避するなど、ユーザーとしての意識も改めたい。

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