素晴らしかった歌舞伎「風の谷のナウシカ」、”優しい女性”が主人公というレア度

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 一方で、中村七之助が演じたトルメキアの皇女クシャナは、女性であるからこそ耐えざるをえなかった辛い過去や、優れた人格やカリスマ性から将軍として性別に関係なく慕われるさまの描かれ方が秀逸で、むしろ主人公はクシャナでいいのではなかったのかという印象も……。

 これは脚本の問題が大きいのですが、歌舞伎の特性も大いに影響しているように思います。

 歌舞伎の演目は時代背景の設定上、主人公は男性が中心。坂田金時の母親が主人公の「嫗山姥(こもちやまんば)」や、「暫(しばらく)」の女性版「女暫」など、強い女性が主人公の演目もあるにはあるのですが、美貌のあまり恋人や運命に翻弄されるわけでなく、ナウシカのように自分で道を切り拓く上に「優しい」女性が主人公となる作品はかなりレア。しかも恋愛物語でないといえば、ジブリという看板以上に、歌舞伎の世界にとってチャレンジングな取り組みだったのではないでしょうか。

 事故の影響で、決して万全の上演だったとはいえなかったナウシカ歌舞伎でしたが、再演を望む声はすでにあちこちから聞こえてきます。その時はきっと、さらに歌舞伎の魅力が伝わるものにブラッシュアップされていると信じたいです。

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