
『Go with the Flow』特設サイトより
正月から木村拓哉の活躍ぶりを称える記事が量産されている。連続ドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)が好評を博し、スペシャルドラマ『教場』(フジテレビ系)の評判も上々、初ソロアルバム『Go with the Flow』はオリコン1位。いずれも何ら間違いではない。たしかに木村拓哉は、47歳を迎えてなお活躍している。
「女性セブン」2020年1月16日・23日号(小学館)は、10代の間で「かっこいいおじさん」として木村拓哉ファンが急増していると伝えた。
記事によると、『グランメゾン東京』の10代視聴者が木村に興味を持ち、親世代から過去に木村が主演したドラマ『ロングバケーション』(フジテレビ系)や『ラブジェネレーション』(同)といったドラマを教えられ、「かっこいい!」とファンになっているそうだ。当時の“キムタク”は事実、すさまじくかっこいい。
「女性自身」(光文社)も今月9日、「木村拓哉の止まらぬ快進撃 ドラマ好調でソロデビューも1位」と題した記事を公開した。
ソロアルバム発売日である8日は、中島みゆきや三代目 J Soul Brothersボーカル・登坂広臣らの新譜リリースとぶつかっていたが、木村はオリコン「デイリーアルバムランキング」で “ぶっちぎり”の1位。<ソロ歌手としても人気の高さをうかがわせました>とレコード会社関係者は語っている。
木村拓哉“アゲ記事”の乱発は不信感招く
とはいえ、こうしたいわゆる“アゲ記事”が連続すると、不自然な匂いが漂ってしまうのは世の常。「10代のファンが急増」は、さすがに木村を持ち上げる意図がプンプン伝わってしまう……と、ネットではあからさまなヨイショへの不信感も見られる。
また、木村のソロアルバムの初日売り上げは約6.4万枚。ジャニーズを離れ歌手としてソロアルバムを発売した渋谷すばるや錦戸亮と比較すると、“ぶっちぎり”に多いというわけではない。彼らには皆、長く応援してくれるファンがおそらく同じくらいの数ついている。
渋谷が昨年10月に発売したアルバム『二歳』は、オリコンデイリーアルバムランキングで1位、推定初回売上枚数は6万8848枚で推定累積売上枚数は7万4385枚。
昨年12月に錦戸がリリースしたアルバム『NOMAD』も、オリコンデイリーアルバムランキングで1位、推定初回売上枚数は7万6237枚で推定累積売上枚数は8万枚となっている。
また、香取慎吾が今月1日に発売したアルバム『20200101』は、初日のオリコンデイリーアルバムランキングで1位を獲得、推定累積売上枚数は現時点で6万4633枚だ。
ちなみに活動休止を前にした嵐の強さはまさにぶっちぎりで、昨年6月に出したベストアルバムがダブルミリオンを達成している。現在までの推定累積売上枚数は211万5186枚である。
もちろん木村拓哉自身が「そう書いてくれ」などと仕掛けているようなことはあり得ないだろうが、わざわざ不自然な持ち上げ方をしなくとも、彼の人気・実力がお墨付きであることは疑いようもないのだから、余計なこととも言えよう。
「キムタクらしさ」から抜けた木村拓哉
木村拓哉はある時期、日本中を熱狂させる正真正銘のスターだった。その姿は、ジャニーズ事務所とメディアが作り上げた「虚像」ではない。
人気が定着して以降、木村は「何をやってもキムタク」「キムタクの演技は金太郎あめ」という揶揄を向けられてもきた。主演俳優としての華は間違いなくあるが、どんな作品にも馴染む役者かといえばそうではなかったことも確かだ。
しかし『グランメゾン東京』で評価は一変した。役柄自体はこれまで木村が演じてきた男たちと大きく違わないのだが、スーパーヒーロー木村拓哉のカッコイイ活躍であらゆる問題事が万事解決するという物語ではなく、登場する一人ひとりに魅力的な役割があり、なにより主役は料理だった。
主役が“キムタクらしい木村拓哉”でなくとも作品として素晴らしく、そしてそんなドラマで木村拓哉が“役者として”輝いていたということで、彼を再評価したドラマファンは多かった。視聴率も二桁台をキープし、最低でも11.0%、最終回は16.4%という高視聴率を記録した(ビデオサーチ調べ)。
スペシャルドラマ『教場』は、さらに“脱キムタク”だと話題になった。木村はグレイヘアに義眼という風貌で警察学校の冷徹な教官を演じ、若作りだと揶揄されるイケメン像を封印。こちらも二夜の平均視聴率は15%台を獲得した。
「何をやってもキムタク」と言われてきたことを自覚していると、バラエティ番組で吐露したこともある木村。今は、50~60代になっても木村拓哉が役者として作品に関わっていく未来が、見えつつある。
ちなみにこれはジャニーズ事務所と一切良い関係にない会社のメディアによる、非“アゲ記事”だ。