女性用風俗ユーザーは本当に「性的快感より心の癒やしを求めて」いるのか?

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「女性用風俗」で何をするのか

 女性用風俗の男性従業員は「セラピスト(またはキャスト)」と呼ばれ、女性客に口や手で「施術」を行う。

 客は施術前にカウンセリングを受け、「やってほしいこと」「性感帯」「SかMか?」「NG行為」などをシートに記入していき、歯磨きやシャワーを済ませてから、アロママッサージを経て徐々に性感へ……という流れだ。これはどこの店舗も変わらないだろう。客の希望によっては、マッサージなしで性感、シャワーの段階で性感に突入するなど、多少のバリエーションはある。

 また、出張ホストやレンタル彼氏のように、セラピストと食事やカラオケを楽しめる「デートコース」を用意している店舗がほとんどである。昼間はデートを楽しみ、夜は「お泊りコース」という「恋人気分」も、(料金を払えば)体験できる。

 気になる料金だが、もちろん店舗やセラピストの人気や技術によって差はあるものの、たとえば、先述の「東京秘密基地」は70分1万円、90分1万5千円、120分2万円、「お泊りコース」は5万円となる。そこに交通費や指名料が発生し、使用するホテル料金も客持ちとなる。

 ただ、近年の店舗増加によって、無料クーポンや割引キャンペーンを乱発する店舗も多く、全体的に値下げ傾向にあるようだ。

「女性用風俗」を過剰に持ち上げるメディアへの疑問

 盛り上がってくると、取り上げるメディアも増えてくる。いちユーザーとしては、深夜のバラエティ番組やネット番組での「え〜! 女性も風俗にいくんですか〜?」的な、「女性の性欲」に対する下世話な視線が気になるし、ジャーナリストの看板を下げている者たちの「女風」への目線もあまり気持ちの良いものではない。

 先日、「現代ビジネス」において、ジャーナリストの菅野久美子氏による「増える「女性用風俗」を利用する女性たちが、本当に満たされたいこと」で、有名女性用風俗店「シェアカレ」のオーナーO氏への取材記事が掲載された。

 オーナーの「彼ら(セラピスト)が女性たちの中に鬱積した感情を浄化してくれる尊い存在だと思っている」「セクシャルな欲求を満たすだけではない」という発言に対し、菅野氏は「女性のニーズは、単なる性欲の解消と片付けられるものではなく、もっと根が深い何かがある。話を聞いているだけでも、一般的な男性用風俗とは全く趣が違う」と分析している。

 そして、「Oさんが作り上げた「シェアカレ」──それは女性から、この社会という戦場で生きる女性たちに届けたい、ユートピアなのかもしれない」と記事を締めくくっている。

 この記事は特異な例ではなく、女性用風俗のオーナーや、それをとりあげるメディアは、異口同音に「男性用は射精して終わりだが、女性用は心の満足にある」「この社会で傷ついた女性への癒やし」と強調する。

 しかし果たしてそれは本当に正確な見方だろうか。

 筆者自身が女性用風俗における性感マッサージと男性用風俗のそれを直接体験比較することは不可能だが、異性の友人数名にヒアリングしたところ、やっていることは手や口をつかった性行為であることに変わりはなかった。いちユーザーとして実感できるのは、男性と女性の体格差からくる配慮の有無、例えばセラピストが「NG行為はないか」「痛くはないか」と、丁寧に確認することくらいではないだろうか。現状、男性用ほどオプションの幅もないが、これは歴史の浅さからくるものであるように思う。

 現状、女性が風俗を利用すること自体、男性に比べてまだまだ一般的ではない。そのハードルを下げるために、店舗やオーナー、セラピスト側が「男性用風俗とは違う」と喧伝するのは、ビジネスを成功させるためのリップサービスとしては間違ってはいない。

 しかし、曲がりなりにもジャーナリストを名乗る者らが、それを無批判に鵜呑みにしてしまうのはいかがなものか。これは、「傷ついている不幸な女性しか、性に積極的にならない」という偏見にもつながってくるし、メディアが「かわいそうな女性」を消費する、ある種のポルノのようにもなってしまう。

 そして男性用との違いを強調する背景には、男性の性欲への嫌悪(あるいは女性自身の性欲)や、そこに従事する女性セックスワーカーへの偏見も感じられる。

 結果的に、「女性の性欲」は「癒やし」という言葉に隠蔽されるか、あるいは女性の性欲を男性目線でとらえるような記事や番組が跋扈してしまう。

 もちろん、冒頭に紹介したあほすたさん氏のマンガのように、傷ついた自分を癒やすために利用していたり、ハグや添い寝だけで満足したりする者もいるのは否定しない。その一方で本来はルール違反である「本番」を求めるユーザーや、自ら本番を持ちかけるセラピストも存在する。

 先述したように業者の数が急増しているため、セラピストによって倫理観に差があり、定期的に女風を利用しているユーザーなら、セラピスト側から本番を求められた経験のある者も決して珍しくはない。このような実情を無視して「癒やし」の側面ばかり強調するのは正直感心しない。

 男性目線の消費、女性目線のごまかし、どちらにせよ、メディアからはいつも女性用風俗ユーザーは「かわいそうな顔のない女」として扱われてしまう。ユーザーの代表を気取るつもりはないが、たまには声をあげてもいいはずだ。

 女が風俗を使う理由は、男性同様に“人それぞれ”あるに決まっているだろう。

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