社会

浜崎あゆみは未婚シングルマザーを代表しはしない。賞賛も批判も

【この記事のキーワード】
浜崎あゆみは未婚シングルマザーを代表しはしない。賞賛も批判もの画像1

『ノンストップ!』公式サイトより

 日本中を驚かせた浜崎あゆみの「極秘出産」。報道によれば、子どもの父親は年下の一般人男性で、浜崎に結婚の予定はないという。いわゆる未婚のシングルマザーだ。

 総務省統計局が5年ごとに実施する国勢調査によると、「子と同居で配偶者のいない女性」(15~49 歳)のうち「未婚」である女性は増加傾向にある。

 2000年調査では6万5462人(6.3%)、2005年調査では9万1000人(7.7%)、2010年調査では13万2052人(12.2%)、2015年調査では17万6681人(16.6%)。2000年から2015年の15年間で、未婚のシングルマザーはおよそ3倍近く増えている。

未婚のシングルマザーになったワケ

 今月10日放送の(フジテレビ系)では、浜崎あゆみの出産をうけ、「未婚のシングルマザーを選ぶ女性たち」をクローズアップ。未婚のシングルマザーを選択した経験のあるAさん、Bさんの事例が紹介された。

 Aさんは、現在58歳で高校生の息子を育てている。子どもの父親である男性は<お金の使い方がひどかったため子どもに悪影響を与える>と思い、<彼のことは好きだったが子どものことを考えて結婚をやめた>という。

 Bさんは、現在37歳、都内在住。31歳の時に8歳年上の男性との子どもを妊娠し、男児を出産した。当初は「出産後、落ち着いたら結婚しよう」と話を進め、男性も子どもの誕生を喜んでいたが、息子が生後5カ月の時に男性と別れた。

 別れを選んだ理由は、男性には安定した収入がなく、生活費のほとんどをBさんが負担していたからだ。さらに息子の誕生後、子育ての大変さに加え、育児をしない男性に失望。<この人も一緒に生活しないといけない大変さ><結婚する意味って何だろう? 姓を変えるって私には意味ないかな>と語った。

 その後、男性からは「子どもを見せて」とテレビ電話がかかってきたが、養育費も払わない男性に「父親としての権利はない」と考え、今は連絡も取っておらず、息子にも実父の写真を見せないようにしているそうだ。

 しかし、息子が4歳近くになると「どうしてうちにはお父さんがいないの?」と言いはじめたため、Bさんは婚活を決意し、現在は別の男性と入籍しているそうだ。

番組出演者は賛否両論

 AさんBさんの選択には、番組内で賛否両論が出た。

 番組出演者で未婚のシングルマザーという選択に<理解はできます>と発言したのは千秋だ。千秋は、結婚、出産、離婚を経てシングルマザーを約10年間経験し、2016年に再婚した。

 千秋は、<(結婚に)チャレンジしたけどやっぱり(離婚して)シングルになった人>と、最初から未婚のシングルマザーを選ぶ人は、<結果一緒><行く道は違うけど、同じこと>という考えのようだ。

 また、最初から子どもに悪影響な父親だとわかっている場合は、未婚を選択するのも自然な流れだと千秋は話した。

<お父さんがDVとか働かないとかギャンブルとか、色んなことですごく迷惑をかけるお父さんがいるのだとしたら悪影響だし、結婚する時、そういうことがなくて普通によく見る幸せな家庭を作りたいってみんな思っているけど、結果それができない時に、色んなマイナス部分から自分と子どもを守るために離婚する人もいると思う。それを最初からわかっているから、(結婚を)しないっていう選択しただけかなって思う>

 坂下千里子は未婚のシングルマザーに関しては尊敬の念を抱いているものの、自身の結婚において、結婚と出産を「別のもの」として考えたことはなかったと述べる。

 一方、井戸田潤は男性側の気持ちとしては“複雑”だと語る。

<男からすると好きな気持ちもあるのに、そういうことで別れると言われた場合、「え、何で?」ってまず言っちゃうし、「意味がわからない」って言っちゃうと思います。お金の使い方だったら「気をつけるから」って、その場合言うよね>
<実際(結婚し子どもが生まれて)変わる人も世の中いるじゃないですか。夜遊びしなくなった、飲みに行くのが減った、趣味のゴルフに行くのを控えるようになったとお父さんもいっぱいいるからって思っちゃいますけどね>

 庄司智春も<「子ども生まれたら俺変わるから」っていう気持ちはちょっと汲んでほしいなっていうのはありますよね>と井戸田に賛同した。 

 今回の未婚のシングルマザー特集の感想としてTwitter上では、「個人の自由」という意見以上に批判的な意見が目立つ。

<子どもはお父さんがいた方がいいに決まっている>
<お金ないのに未婚のシングルマザーとか子どもがかわいそう>
<既婚のシングルマザーは子どもから実の父親を奪っている>

未婚を余儀なくされたシングルマザーの貧困

 未婚のシングルマザー当事者からは「なりたくてなったわけではない」という声も多い。

 『ノンストップ』にコメンテーターとして出演した『婦人公論』(中央公論新社)元編集長の三木哲男氏も、未婚のシングルマザーを選択することを<余儀なくされちゃう人がいる>と念を押している。

<「私は一人で子どもを育てていく」という決意をする人は増えている。経済力があったり、それなりに自分がちゃんとやっていく環境があったりという人の話が目立つ>
<一方でやっぱり余儀なくされちゃう人、どうしても結婚したかったけどできない、経済力がなかったり、DVがあったり、あるいは既婚者の子どもを身ごもったりっていうケースだって今少なくない。だからそっちが救われていない。そういうケースだってあるんだっていうことは押さえておきたい>

 また三木氏によると、実父である男性が経済的支援や育児に協力するケースは少ないという。

 厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると母子世帯で「現在も養育費を受け取っている」のは24.3%。母子世帯の母の4人中3人が養育費を受け取れていない。父子世帯でも「現在も養育費を受け取っている」のはわずか3.2%に過ぎず、「養育費を受けたことがない」が86.0%と大多数を占めている。

 母子世帯の母自身の平均就労収入(母自身の平成27年の年間就労収入)は「離婚」205万円であるのに比べ、「未婚の母」は177万円とさらに低い。

 未婚の母は出産直後から自身が稼がなければいけない状況に置かれており、結果的に子どもを死なせてしまったという事件もある。新年明けてすぐに報じられた東京都足立区の事件もそうだろう。

 報道によると、31歳の未婚の女性は自宅でひとりで女児を出産し、女児を自宅に残したままアルバイトに行く。帰宅後にミルクをあげてたというが、女児は病院に搬送され死亡が確認された。母親は逮捕後、「お金がなくて病院に連れて行かなかった」と供述しているという。

 このような状況にもかかわらず、未婚ひとり親への税控除といった社会福祉は、「伝統的な家族観が崩れる」といった理由から敬遠されてきた。

未婚ひとり親の所得税軽減へ 自民党内では今も「伝統的な家族観が崩れる」の声

 来年度の税制改正で与党は、未婚のひとり親の税負担を軽減する方向で調整に入った。与党で協議し、年末にまとめる2020年度の税制改正大綱に盛り込むことを目…

ウェジー 2019.11.28

 浜崎あゆみの未婚のシングルマザーという選択を「すごい」「尊敬する」と賛美するのは簡単だ。しかし貧困や孤立という問題にも目を向けていく必要があるだろう。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。