「彼氏や夫に〇〇って言えません」不安をちゃんと伝えるオープンマインドのススメ

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人気エッセイスト・ものすごい愛さん

 Twitterフォロワー10万人超を誇る人気エッセイスト・ものすごい愛さん。恋愛メディア「AM(アム)」での連載に、たくさんの書きおろしを加えた新刊『命に過ぎたる愛なし~女の子のための恋愛相談』(内外出版社)の、ポジティブシンクなアドバイスが悩める女性たちからの大好評を得ています。

 恋愛ってうまくいっているときは楽しいけれど、ちょっとしたすれ違いから泣いたり苦しんだり追い詰められたり……しんどいものにもなりがちです。

 ものすごい愛さんが新刊でも一番に掲げているテーマは、「自分で自分をハッピーにしていこう」。そこで、楽しい恋愛をするための秘訣を、ご本人に聞いてきました。

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ものすごい愛
エッセイスト。1990年生まれ、北海道在住。Twitterを開始後、みるみるまにフォロワーが増え、現在では10万人超え。募集もしていないのにDM等で恋愛相談が寄せられるようになり、恋愛メディアAM(アム)にて「命に過ぎたる愛なし」の連載を開始。現在、マイナビ「大学1年生の転び方」、大和書房WEB「今日もふたり、スキップで」を連載中。その他WEBメディアにもエッセイを寄稿。
Twitter<@ mnsgi_ai

「ものすごい愛」でエゴサするといいぞ

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わたしたちはどうしたら楽しい恋愛をできるのか…ものすごい愛さんにヒントをもらいに来ました

――ものすごい愛さんはAM連載前からTwitterでネットユーザーさんの恋愛相談を受けていたんですよね。どんな経緯でそうなったのですか?

ものすごい愛:もう10年ほどTwitterを続けているのですが、初めの頃はフォロワーもリアルな友達だけで、ツイートも「今日は大学でこういうことがあった」とか「彼氏とこういうことをした」とか、個人的なことをわりとあけすけに書いてたんです。生活が見えやすかったからなのか、知らないユーザーさんからメッセージサービスを通じて、匿名の恋愛相談をいただくようになったことがきっかけでした。

 なぜ、見ず知らずのわたしに恋愛相談をしてくれたのかはいまだに謎なんですけど、相談者さんのお悩みのなかには、身近な友達には相談しにくい内容のものもあって。先入観なしに事象だけを見て判断できるような第三者のアドバイスを必要としてくれているのかなと思います。

――Twitterというインタラクティブな場が恋愛相談のルーツなんですね。

ものすごい愛:TwitterのDM(ダイレクトメッセージ)は、ずっと開放しています。ウェブ連載を始める前までは、できる範囲で個別の相談に乗ったりもしていました。今では相談についてはAMさんの相談応募用フォームから送ってくださいと伝えていますが、今でも本や連載の感想を送ってくれたりする読者の方もいるので、それがとても嬉しくて。

――「ものすごい愛」という、ものすごくインパクトのある名前の由来は?

ものすごい愛:Twitterのフォロワーがまだ1万人に届かないくらいの頃は別の名前だったんですけど、同じくTwitterをやっていた友人から「名前を変えた方が、フォロワー増えるんじゃない?」ってアドバイスを貰って。

 せっかくだからパワーワード、かつエゴサ―チをかけやすい名前にしようと思って、試しに「ものすごい愛」で検索をかけてみたら、推しのアイドルやアニメキャラに対する愛を吐露するツイートが大量に出てきたんです。これならエゴサしてもネガティブな内容のものが全然出てこないからハッピーだ、と思ったことが決め手でした。

――ワードとしても、文脈としても、ポジティブな内容のツイートだらけになりますよね!

ものすごい愛:Twitterは楽しい場にしたかったんです。あんまり人の悪意が露出しているのは見たくなくて。友人からは、名前そのものにパワーがありすぎて「ほぼ暴力だ」って言われますけど(笑)。

――ご本人の雰囲気にとても合っているお名前だと思います。ものすごい愛さんのツイートはポジティブマインドが充満していて、恋愛に悩める女性たちにとってはもはやパワースポットと化しているような気も……。

ものすごい愛:パワースポットかどうかはわからないですけど(笑)。でも、自分のことはポジティブな人間だなとは思っていますね。

 連載と新刊のタイトル『命に過ぎたる愛なし』は、ことわざの「命に過ぎたる宝なし」をもじってつけたものなんですけど、生きてたらなんとかなる、みたいな考え方です。なんかものすごい失敗しちゃっても、なんやかんや回収できると思ってるし、そういう考え方は恋愛にも反映されてきたなと。別れても死ぬわけじゃないし。

 たとえば、前に付き合ってた人にはこうやって失敗したから、次に付き合う人にはちょっと変えてみようとか。付き合う人が変わればコミュニケーションの取り方も変わるので、そういうトライ&エラーを続けることが大事なんじゃないかなと思っています。

名探偵コナンばりにあらゆる可能性を考えてみる

――くじけないトライ&エラー精神、ぜひ見習いたいのですが、ものすごい愛さんもポジティブになれないときってあるのでしょうか。

ものすごい愛:ありますあります、全然ありますよ!

――そういうときはどうするんですか? 

ものすごい愛:そういうとき、私は自分で自分の機嫌を取るために、全部投げ出して好きに過ごします。あとなんかオシャレそうなことをしますね。たとえば「ちょっと、自家製ジャムでもつくっちゃお」みたいな(笑)。だけど、ビンの煮沸消毒が面倒になって、途中で諦めてベランダでお酒を飲んじゃうこともあります。

 つい最近も、連載書籍化に当たっての作業でかなり精神的に追い詰められて、ベッドに大の字で寝転がって「あー!」とか「うわー!」とか喚いたり、大泣きしたりしていました。夫には「野生っぽい」ってよく言われるんですけど、感情は溜め込まずに表に出した方がいいと思っていて。

――旦那さんとの関係がすごく良好だということもツイートからビシバシ伝わりますよね。でも感情をストレートに出すと、お互い疲れて余裕がないときは嫌な空気になったりしませんか?

ものすごい愛:仕事や家事が忙しくて切羽詰まっちゃうこともあれば、女性ならPMS(月経前症候群)のホルモンの関係でイライラしてパートナーに八つ当たりしちゃうこともありますよね。なので、「今日はハッピーに過ごせる気分じゃないな」ってとき、わたしは夫にそのことを伝えるようにしています。

 「今日はこういうイレギュラーがあって、ちょっと自分で自分の機嫌が取れてないけど、いつもならできる。でも、今日はできない。だから、助けてほしい」って、本当に全部そのまま素直に言っちゃいます。あとは、機嫌のいいときに「わたしはこういうとき、上手にコントロールができないみたい、ごめんね」と事前に謝っておくのも手ですね。

 感情は溜め込まないでハッキリ伝えたほうが相手との衝突も防げるし、ちゃんと向き合うことになるから二人のコミュニケーションも高まっていくと思っています。


 しかも、「こんなにイライラしながらも口で伝えられるなんて、わたしってメッチャ最高の女だな」って、ポジティブな気分になれるし。本当にわたし、自画自賛して生きてます(笑)。

――自画自賛で自分アゲですね! 素直に吐露しても拒絶されないという夫婦の信頼関係があるわけですね。

 一方で、ものすごい愛さんに寄せられる恋愛相談を見ていると、彼氏や夫に対してなにか不満や要望があっても「嫌われたらどうしよう」「別れにつながってしまうかも」という不安から、気持ちを伝えられずに悩んでいる女性が多いことがわかります。

ものすごい愛:「彼氏に〇〇って言えません」とか、自分の気持ちを我慢している相談者さんは多いですね……。

 その我慢が前向きなものならいいと思うんです。たとえば、「夏にビキニをかわいく着たいからダイエット頑張るぞ」っていう我慢は、自分が頑張れば夏の海を楽しく過ごせますよね。

 でも、恋愛は相手がいてはじめて成り立つことです。どんなに親しい夫婦や恋人同士でも、自分の気持ちは言葉に出さなきゃ相手には伝わりません。しかも<100を言って10伝わればいい>、くらいのものですよね。

――<100を言って10伝わればいい>……確かにそうですね。言っても正確に伝わらないのは普通のことだ、と。

ものすごい愛:だからこそ、もし伝えること自体に不安を感じているなら、そこから素直に言っちゃえばいいと思うんです。

 「今、わたしはあなたに対してちょっと思うところがあるんだけど、もしかしたらその気持ちがうまく伝えられないかもって思うと、不安なんだよね」って。

 「あなたとの関係性を続けたい」という意志があるならきっと大丈夫。それに、言葉で示した方が相手も安心してくれるんじゃないでしょうか。

 わたしは泣くときも「今から泣くからな、見てろよ、うわー!」って感じで泣くんですよ。「こんなに辛いから泣いてるの、気づいて」と隠れて静かに泣いてるんじゃ、絶対に伝わらないので。

――自分の感情を大切にすることは、相手を思いやることにもつながるんですね。世の中には「ダメダメな恋愛をしている女を正論で殴る」という手法で読者にカタルシスを与えるような恋愛相談記事もあって、そういうのはイヤだなと日々感じているのですが、ものすごい愛さんは相談者さんと同じ目線に立ってアドバイスされていると感じます。書籍も、仲の良い友達と話しているかのような感覚で楽しく読めました。

ものすごい愛:確かに、まるで殴るようなきつい言葉を投げかければ、相談者に共感できない読者の方はスカッとするかもしれません。また、強い言葉で投げかけてほしい相談者さんは喜んでくれるかもしれません。でも、決め付けることはしたくないんです。

 わたしには相談者さんが置かれている状況のすべてはわからないので、できるかぎり想像をめぐらせて、あくまで「私だったらこう考えるかな、なぜならこっちのほうが気持ちは楽になると思うから」というふうに、新しい選択肢や可能性を提示するような言い回しをするように心がけています。

 だいたい、わたし自身も皆さんの恋愛相談を聞かせてもらうなかで学ぶことや、価値観をアップデートしていることもとても多いんですよ。

――そういうふうに、いろいろな状況や感情を想像しているから、お悩みへの回答がすごく丁寧ですよね。仮説をたてて、Aならこう、Bならこう……と。恋愛関係以外にも通じる人間関係のことがきめ細やかに書かれていると思いました。ものすごい愛さんの文章には人生のあらゆる悩みについてのヒントが散りばめられているので、なにかに迷ったり悩んだりしたらその度に書籍を読み返して、励まされたいなあと。

ものすごい愛:……ありがとうございます。わたし、じつは『名探偵コナン』が大好きで、いつか青山剛昌先生とお会いするのが夢なんですけど(笑)。短い相談文からいろいろな可能性を汲み取ろうとするのは、コナンを読んで学んだことが活かされているのかもしれません。コナンくんだったらあらゆる可能性を検討しますからね!

母は「人に迷惑をかけちゃダメ」と言わなかった

――ものすごい愛さんの自己肯定感の高さが、どのように形成されたのかも聞きたいです。

ものすごい愛:こういう性格になったのは、母親の影響が大きいかもしれません。母は、明るくておおらかで、たとえるなら“海賊”みたいな人なんです。

――え、海賊?

ものすごい愛:今でもよく覚えているのが、小学校の頃、友達に嫌なことをされたと話したら、母は「謝られても納得できないなら、無理して友達でいなくてもいいじゃん。人間は60億人くらいいるんだから、固執する必要ないよ」って言ったんです。「あ、そっかあ」と腑に落ちて。

 大学を留年したときも、母はめちゃくちゃ怒りましたけど、いつまでもネチネチ言ったりはせずに、ひとしきり叱った後は「もう過ぎたことを気にしてもしょうがない」「気にしても疲れるでしょ」ってスタンスでした。

 そんなふうに、小さい頃からずっと「他にも選択肢はあるよ」「別に好きにしていいじゃん」と母に言われて育ってきたことは、自分のメンタルにかなり影響を与えたと思います。

――お母さん自身もポジティブマインドなのかも。

ものすごい愛:そうですね。挨拶やマナーにはとても厳しかったのですが、「人に迷惑をかけちゃダメ」と言われたことはなくて。むしろ、人に迷惑をかけてしまったときは「ありがとう」と「ごめんなさい」を必ず言うようにと教えられてきました。今もそれはわたしのなかに生きています。

 だって、人にいっさい迷惑をかけずに生きていくことって無理じゃないですか。できないことをできるようにする努力は必要だし、不用意に借金の連帯保証人になるのは誰だってイヤだけど、「ちょっと助けて!」はお互い様だなって思います。

――迷惑をかけあって助け合い、お礼や謝罪をちゃんとする。すごく真っ当ですね。そんなお母さんに、恋愛の相談をしたことはありますか?

ものすごい愛:ありますね。高校生の頃、初めて付き合った彼氏と別れて、辛すぎて「死ぬかも」と……でも、母には「あんたそんなことじゃ死なないよ。男と別れたくらいじゃ死なない(笑)」って一蹴されたんです。

 そのときは「クソババア」って思ったけど、でも実際にこうやって生きていますもんね(笑)。そのときには死ぬほど悩んでいたことでも、だいたい10年後には笑い飛ばせるようになるんです。

 わたしも母みたいに、将来は紫色の髪の元気なおばあちゃん……若い人たちから「あいつ、口うるさいけどいいヤツなんだよな」って言われるような「クソババア」になりたいです(笑)。

恋愛は“自分が”幸せになりたいからするもの

――多くの女性たちの恋愛相談を受けるなかで、どんな言葉をかけていいか困ってしまったこともありますか?

ものすごい愛:あります。書籍『命に過ぎたる愛なし』の最後に収録している書き下ろしなんですが、「結婚前の夫の浮気を一度は許したけど、日に日に憎む気持ちが出てきた。大好きだから浮気を許したのに、だからこそ憎くてたまらない」という内容の相談をいただいて。

 この相談者さんは、それでも彼とやっていきたいからそのために気持ちを切り替えたい、でもこのマイナスの感情をどうすればいいか分からない、と悩んでいたんですね。
 
 自分の辛い気持ちに向き合いたいと思ったから相談してくれたんだと思うし、その姿勢はとても尊敬します。でも、やっぱりすごくしんどい状況だろうなと。

――この相談では、ものすごい愛さんの回答も、いつもとはテイストとが少し違って見えました。

ものすごい愛:これはどんな悩みにおいても同じなのですが、わたしはどんなに考えても結論の出ない、自分自身ではどうしようもないことは、そのときすぐに無理をして向き合わなくてもいいんじゃないかと思っているんです。

 この場合、「大好きだし一緒にいたいけど憎くてたまらない」という苦しい気持ちは相談者さんのアクションで変えられることではないので、具体的なアドバイスというよりは「無理をしなくてもいいんだよ」という気持ちを込めて回答しました。とても思い入れがあります。

――相談者さんと同じようなシチュエーションで悩んでいる方はもちろん、そうでなくても、ものすごい愛さんのメッセージを読んでスッと気が楽になる読者の方も多いと思います。ほかにも、「これはなかなか難しいな」と思う相談の内容はありますか?

ものすごい愛:相談者さんのなかには、既婚者との不倫関係に悩んでいる、という方もいます。不倫は自分と相手のその向こう側にも人がいるわけだし、一般的に言えば全然良くないことですよね。

――道ならぬ恋の悩みは、恋愛相談のあるあるですね。

ものすごい愛:あんまり曲がったことをしている場合は厳しめなことを言うケースもあるんですけど、わたしは「不倫はやめた方がいい」と言い切ることはしません。これはいつも気をつけていることなのですが、DVだったり命に危険が及びそうな場合は別として、基本的にはどんな相談内容であっても「こうするべきだ」となにかを押し付けたり、強制したりするようなアドバイスはしたくないんです。

 なぜなら、わたしは自分の人生に自分で責任を取れることが大人の醍醐味だと思っているから。自分が悩んでいることの最終的な決定権を他人に委ねてしまうのはもったいない。相談をいただいたら全力で答えますが、最終的にどうするか決断するのは、相談者さん本人だと思っています。

――他者に「こうすべき」と押し付けられてした行動に、相談者さん自身が納得しているとも思えないですもんね。自分で責任を持って決断し、行動するのが筋だから。

ものすごい愛:わたしがどう頑張って考えても完全にその人の立場になることはできないから、あれこれ勝手なことを言うのはちょっとビビっちゃいますしね。

 ただ、ひとつだけ言えるのは、自分自身が幸せだと思えるような恋愛をしてほしい。

 恋愛って、もちろん好きな相手がいてくれるからこそできることだけど、最終的には自分が幸せになりたいからするもの、と考えていいと思うんです。

 「相手のため」を思うあまり自分を犠牲にしたり、我慢しすぎたりしてほしくないですし、ましてや社会になんとなく蔓延している「男は/女はこうあるべき」とか「こうしないと幸せになれない」とか、誰が誰に向けて発しているのかわからないメッセージや価値観に惑わされることなく、しっかりと“自分軸”の恋愛をしてほしいなと思っています。

――私たちは、自分の責任の下で、自分の好きなように恋愛をする権利がある……さまざまな恋愛相談に回答しているものすごい愛さんですが、相談者さんに寄り添って言葉を変えつつも、そのことを繰り返し教えてくれているんだなあと書籍を読んで感じました。わたしも心しておきたいです。

ものすごい愛:自分自身を大切にする選択肢を選んでほしいなと思います。まずは、自分を幸せにしてほしい。そうすれば、まわりまわって好きな相手や恋人のためにもなるし、二人のコミュニケーションもうまくいくはず。それがいちばん誠実だし、ハッピーな恋愛になるんじゃないかなって思うんです。

(取材/構成=編集部)

 

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