テレビが一斉に「女性専用車両に乗りたくない女性」の意見垂れ流し、一体なぜ?

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「GettyImages」より

 「女性専用車両に乗りたくない女性」の意見を、テレビの情報番組が相次いで取り上げている。

 発端は今月7日のJタウンネット東京の記事だろう。Jタウンネットは、J-CASTが運営する地域情報サイトだ。

 その記事では<女性専用車両に乗らないという女性は一定数いるようだ>として、女性専用車両に乗らない女性の意見を紹介。

<化粧や香水の香りが充満している>
<女性は体幹が弱い人が多く、車両が揺れると将棋倒しになる>
<女性専用車両を憎んでいる人がいて、暴言を吐かれて怖い>
<自分のスペースを確保するため絶対に動かない人がいる>

 Jタウンネット東京では13日にも女性専用車両に乗らない女性の意見を紹介。そこには、<使用後の丸めた、あぶらとり紙が散乱している>というにわかには信じがたい意見もあった。なぜ信じがたいのかというと、令和の日本にあぶらとり紙を使う女性がそう多く存在するとは思えないからである。

「におい問題」「スペースの奪い合い」を報じるワイドショー

 Jタウンネットの記事をなぞるように、ワイドショーでも続々と「女性専用車両に乗らない女性」の意見を特集。

 9日放送の『Live News it!』(フジテレビ系)では、女性専用車両の導入から20年近くがたった今、さまざまな理由から女性専用車両に“乗らない派”が増えているとして、「女性同士の争い」や「におい問題」「スペースの奪い合い」を訴える街頭の女性の声を紹介。

 公認心理師の小高千枝氏による、「女性専用車両は男性の目線がないこともあり、女性同士の親近感がわき苛立ちも出やすい」との解説もあった。

 今月13日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でも、女性専用車両では「女たちのバトル」が発生しており、においやスペースの奪い合いが繰り広げられていると特集した。

 同番組によれば、該当調査で50人中35人の女性が女性専用車両には「乗らない」と回答したという。

<男性がいたら男性の目を気にしてちゃんとしてても、女性だけだから『私が座るわ!』とか『そこは私の空間よ!』的な感じの人がいる>
<女子だけしかいないから周りの目が気にならなくなっちゃう>

といった街頭の女性の意見も紹介された。

女同士の罵り合いショーにされる「女性専用車両に乗りたくない女性」の声

 「女性専用車両に乗りたくない女性の意見」が複数のメディアで取り上げられ、物議を醸している。 今月13日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系…

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テレビが一斉に「女性専用車両に乗りたくない女性」の意見垂れ流し、一体なぜ?の画像2 ウェジー 2020.01.15

「女は男の目がないと好き勝手する」とは本当か?

 15日放送の『グッとラック』(TBS系)は、アンケートの結果200人中49人の女性が女性専用車両に“乗りたくない派”であったといい、こちらでも小高千枝氏のコメントを紹介。

<いつものメンバーだし、私がすっぴんだろうと、メイクをしていようと 化粧直しをしていようと、みんなで許してくれるよねっていう状態。女子校のクラスみたいな感じ>

 司会の立川志らくも<男性がいたらある程度は遠慮するんじゃないですか。女性専用車両も禁止事項を作ったらどうですか>と、女性専用車両は“男性の目”がないから荒れるのだと主張した。

 しかし、この意見に対し、若林有子アナウンサーは反論する。

<普段は特段意識しておらず、男性の目があるかどうかが影響するかは、私はちょっと懐疑的>

 続けて若林アナは、自身の経験をもとに女性専用車両の必要性について語った。

<学生の時に、誰かにつけられているなと感じた時に、女性専用車両に逃げ込むことができて、そういう恐怖心とか不安を感じた時に、それを和らげる安心の場としてあるのは、女性としては大変助かるなと思う>
<「痴漢を受けたくないなら、女性専用車両に乗ったらいいじゃないか」と強く言われると、なぜ女性側が行動をしなければいけないんだろうというのは思うので、そういう意味で、乗りたい・乗りたくないというのは普段は意識せず、その場で自分の乗りやすい場所に乗っていますけど、ありがたいっていう部分は確かにあると思っています>

 コメンテーターとして出演していたフリーライターの望月優大氏も、女性専用車両は<被害に遭われている女性が沢山いるということで、選べるようにしてあるということが基本>であるとして、女性専用車両を「女同士のバトル」「男性差別」として取り上げることに疑問を呈した。

<「女性同士になると」「女性嫌い」っぽいことに議論がずれていってしまったりとか、「男性が差別されているんじゃないか」みたいなのは筋違いな話じゃないのか>

 こうした出演者の異論を受け止めたのだろうか。TBS系列の情報番組では、15日放送の『Nスタ』、16日放送の『はやドキ!』も「女性専用車両に乗りたくない女性」をクローズアップしたが、両番組とも女性専用車両に乗りたくない人は“一部”とし、誰もが気持ちよく乗れるようなマナーが必要だという内容になっていた。

テレビの「女性専用車両叩き」が相次ぐ怪

 女性専用車両をめぐっては、これまでにもさまざまな議論があった。女性専用車両を「男性差別」として撤去するように求めている団体もあり、「健常な成人男性の女性専用車両への乗車を事実上禁止しているのは憲法に違反する」と、鉄道会社を訴えたこともある。

 しかし裁判所は、女性専用車両そして「女性専用車」という表示は正当であるとの判断を下している。

女性専用車両に反対する男性たちの主張への、裁判所の判断

 2月16日午前8時半頃、東京メトロ千代田線の国会議事堂前駅で「お客様トラブル」が発生し遅延が出た。SNSの投稿によれば、女性専用車両に乗車して…

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テレビが一斉に「女性専用車両に乗りたくない女性」の意見垂れ流し、一体なぜ?の画像2 ウェジー 2018.02.16

 身体障がい者、病人、子ども連れ、電車通勤をする小学生など、女性専用車両を必要とする乗客は“健康な女性”とは限らない。そして一見“健康な女性”に見えても、様々な事情を抱えている場合もある。たとえば痴漢などの性被害にあって、電車利用が困難な状況に陥っている人にとって、女性専用車両がどれほど助けになっているか、想像してほしい。

 そういった人々の存在や女性専用車両の本来の意義を無視し、女同士のマウンティングだ何だと負の側面を強調する報道がなぜこうも乱発しているのか、理解に苦しむ。

 「女性専用車両に乗りたくない女性」という“ネタ”は、賛否を含めSNSで炎上しやすく、その話題性が番組にとって魅力的なのかもしれないが、それは視聴者の番組評価向上や視聴率そのものに良い影響を与えるだろうか。たとえ“ネタ枯れ”であっても、軽々しく扱っていいテーマではない。

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