貯めたいなら1月の家計簿は逆効果? お金の常識を疑え

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「GettyImages」より

 令和2年がスタートして早くもひと月。年始に「今年こそ貯蓄を頑張ろう!」と決意表明をした人は多いのではないでしょうか。その心意気はもちろん大事ですが、肝心なのは実践です。

 実践方法を誤ってしまうと、その決意通りの結果に結びつかないことも。もし、次のようなことをしているようなら、注意が必要かもしれません。

注意1 年初から家計簿をつけて節約を頑張ろうと思う

 今年こそ家計簿をつけて、「家計を見える化し、ムダな支出をカットするぞ!」と張り切ってしまうもの。

 しかし、年初はイベントが多く、実は家計簿スタートに向いているとはあまりいえない月です。年末年始の外出や旅行などで普段より出費が多く、外食費もかさんでいるはず。それらの費用を「食費」「交際費」「レジャー費」として計上すると、いきなり大赤字に見えてしまうからです。

 せっかく家計の見える化に着手したのに、「こんなに使っていたの?」とがっかりし、家計簿をつけるのがイヤになったり、モチベーションがどっと下がってしまうという破目にも。

 お正月などの季節イベントでかかったお金は、家計費とは別に扱うべき。

 年間にかかる特別支出の中に計上し、そのための予算は先にボーナスなどからキープして、普段の家計から切り離すと、すっきりするでしょう。

 とはいえ、新年会やらで家計費から出すことになる支出もなんだかんだと膨らみやすく、結局1月は赤字になってしまいがち。しかし、ここで挫折してはいけません。「1月は物入りで仕方ないよ」と切り替えて、翌月から改めて気持ちを引き締めましょう。

注意2 絶対に先取り積み立てを死守しようとする

 大きなお金を貯める基本は、ご存知の通り「先取り貯蓄」、つまり貯蓄する分を収入から先取りし、残りのお金で家計費をやりくりすることです。それがセオリーであることは間違いないのですが、その金額にこだわりすぎると逆効果になってしまうことも。

 子どものいる家庭なら、その成長につれてかかる食費や教育費も増えるでしょう。一度決めた積立額を死守することが苦しくなってくるかもしれません。

 月末に近づき、家計費が足りなくなった分をカード払いでしのぐ――というのは、結局赤字の先送りをしているだけのことに。翌月もその翌月もと先送りがどんどん進んで、結局ボーナスで赤字の穴埋めをするハメになってしまいます。

 積み立て貯蓄が赤字を作ってしまうなら、本末転倒です。

 積み立て金額は絶対不変のものとは考えず、まずは無理のない額を設定し、その分ボーナスからしっかり大きな金額を貯めるという方法のほうが近道ではないでしょうか。

注意3 家計はひとつの財布が理想だと思う

 家計をすっきり管理し貯めやすくするには、「財布はひとつ」にするべきというのがかつての常識でした。稼ぎ手は正社員の夫、妻は専業主婦やパート勤務という家庭の場合、夫の給料で家計費をやりくりするのが当たり前だったからです。

 中には、夫の給与で生活し、妻の給与はまるまる貯蓄という家庭も。一見、合理的に見えますが、これだと世帯の貯蓄は妻名義。必死に働いているのに自分名義の貯蓄はゼロなのかと、夫の不満が溜まってしまうことになりかねません。

 また、フルタイムの共働き夫婦の場合は、財布をひとつにしようとすれば生活費を出し合うスタイルになるでしょう。出し合った中から貯蓄に回すのは、公平性が高いように見えます。ただ、生活費を出した残りの使い道は、お互い不干渉になりがち。もしかすると、もっと多く貯められる余裕があるかもしれないのに、逆にそこが見えなくなってしまいます。

 家計管理の正解は、家によってさまざまです。貯蓄もそう。財布をひとつにすることにこだわるより、気持ちよく無理なく着実に貯められるやり方を話し合うことが大事でしょう。

注意4 キャッシュレスのほうが支出を把握しやすいはず

 キャッシュレスで支払うほうが家計管理が楽になりそう、と考えている人もいるでしょう。ポイントやマイルが貯まるし、使ったお金のデータも残るし、支払いはとにかくカードにまとめてしまうというのも方法ではあります。

 ただ気をつけたいのは、実際にお金が口座から引き落とされるタイミングがバラバラという点。同じ月に使ったお金でも、使った日によって引き落とし月が異なる場合もあり、管理は少々複雑に。家計簿をつけるうえでも、それがネックという人は多いようです。

 キャッシュレスのメリットはもちろんありますが、家計を月締めでシンプルに管理したい人には現金ベースのほうが向いているのではないでしょうか。流行りにとらわれず、管理しやすい方法を選ぶべきでしょう。

注意5 お金を増やすつもりでiDeCoとNISAに集中

 お金を増やすためには投資がマスト、という風潮が高まっています。「銀行に預けてもお金は増えないんだから、投資したほうがいい。よく聞くiDeCoやつみたてNISAでがっちり増やそう」という考え方、必ずしも間違いではありません。ただ、知っておくべき注意点があります。

 まず、iDeCoは老後のための私的年金ですから、60歳まで引き出すことができません。急な入り用が起きても、すぐには使えないお金となってしまうことは覚悟を。

 つみたてNISAは中途売却できますが、値動きがある投資信託の積立のため、時価での売却になります。積み立てた金額に対し、プラスかマイナスかはその時次第です。想定していた以上に増えていないケースもありえます。

 一番気をつけたいのは、預金は増えないからと、積み立てを投資商品ばかりに集中することです。

 もし、突発的にお金が必要になった場合、iDeCoは引き出しができず、NISAは世界の経済状況によっては目減りしている可能性も。積み立てに回すお金のほとんどを投資商品にシフトしてしまったために、いざという時に使えるお金がないとすれば問題です。

 アクシデントに見舞われたときに使えるお金がないばかりに借り入れに頼るなんてことがないように、投資ばかりでなく一定の預貯金もキープできるよう、貯め方のバランスをとることが大事でしょう。

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