政治・社会

痴漢被害を助けたい。第三者の見守りで痴漢を抑止する「#withyellow運動」

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#withyellow運動に賛同する人たちが渋谷に集まった

 大学入試センター試験が行われた1月18日(土)。この日の東京はあいにくの雨模様で、一時は雪も降る悪天候。しかし、お昼の渋谷には黄色いアイテムを身に着けた人たちが集まった。受験生を痴漢から守るためのイベント「#withyellow運動」の参加者たちだ。

 「#withyellow運動」は、ネット上の「センター試験の日は遅刻できないから痴漢しても受験生は被害を訴えない」「痴漢のしやすい日」など、受験生を狙った痴漢計画の書き込みを警戒し、受験生が安心して試験会場へ行けるように行われた。

 センター試験の18日・19日には、イベントの賛同者たちによって、目印の黄色いアイテムを身に着けて電車に乗り受験生を見守る活動が行われた。Twitterには、当日朝から「#withyellow」のハッシュタグをつけて、その活動を報告するツイートが複数寄せられていた。

 18日の昼12時からは、「#withyellow運動」を社会に広めるためのイベントも東京・渋谷のハチ公付近で行われ、約100人が集まった。その一部をお伝えする。

「加害者が、日本で痴漢は許されないんだと感じるように」

 センター試験に合わせて行われた「#withyellow運動」への参加方法はシンプル。アプリ「痴漢レーダー」をダウンロードし、アプリに搭載された見守り機能をONにして、黄色いアイテムを身に着けて電車に乗るというものだ。筆者も18日・19日の7時台~8時台に、黄色い軍手を身に着けて電車に乗り、見守り活動を行った。

 18日の見守りの後、筆者は渋谷・ハチ公付近に移動してイベントに参加。雨でも休日の渋谷は人が多く、12時を回った頃からイベントにも少しずつ人が増えだした。

 痴漢レーダーアプリを開発しているキュカの片山玲文さんは、SNS上だけでなくリアルなイベントを行う目的について「痴漢行為の卑劣さを社会に伝えて、無関心な第三者に関心を持ってもらうこと」と話している。

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ウェジー 2020.01.16

 片山さんは、イベント時のスピーチで次のように挨拶をした。

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株式会社キュカの片山玲文さん

「本日は『#withyellow』の見守りに“連帯”いただき、ありがとうございます。
 痴漢レーダーは昨年の8月1日にリリースし、この半年の間に、2400件を超える痴漢被害のレポートが登録されています。これは、今までなかったことにされてきた多くの痴漢被害の泣き寝入りしてきた声です。

 これまで、被害を可視化してきた痴漢レーダーですが、このセンター試験を機会に、見守り機能を追加しました。『#withyellow』の見守り活動は、センター試験が終わったらおしまい、ではありません。

 もしもの時は、自分自身はもちろん、被害に遭っている他者を守れるような行動するという意識を、みんなが当たり前のものとして持てるように。一人では難しいことも、みんな一緒になら変えられると信じています。
 そして加害者が、もうこの日本で痴漢は許されないんだと感じるように、『#withyellow』を広げていきましょう」

 イベントに集まった人たちは、それぞれ痴漢撲滅への思いやキャッチコピーを自由に綴った。スタッフが許可を取って撮影し、SNSにアップしたものも多い。

 気軽に立ち寄ってメッセージを書いて去る人から、キャッチコピーを綴ったカードを手に持って渋谷の街を歩く人に訴える人までさまざま。何名かの参加者に、イベントへの思いを聞いた。

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参加者から寄せられたメッセージ

 都内から参加した20代の女性は、「#withyellow運動」をTwitterで知ったといい、次のように話してくれた。

「センター試験の日に痴漢を計画する書き込みがネット上にあることは以前から知っていましたが、あらためて酷いと感じ、今日は自分の抗議の気持ちを表明したいと思って参加しました。

 メッセージには、鉄道会社への意見を書きました。痴漢の加害者を透明化しないでほしい。電車内放送でも、『痴漢は犯罪です』と犯罪を抑止するアナウンスを流してほしいと思います」

 参加者には女性だけでなく、男性の姿も複数人見られた。

 男性4人組で参加していたのは、痴漢抑止を目的として作られたアプリ「Don’t Worry」を作った、チョットデキル株式会社のみなさん。

 アプリ「Don’t Worry」は、周囲にいるユーザーにSOSを発信できるほか、自分が見守っていることを周囲のユーザーに知らせることもできる。代表の秋元さんは、「痴漢抑止は、第三者の目が大事だと思っています」と話してくれた。

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痴漢抑止アプリ「Don’t Worry」を開発したチョットデキル株式会社のみなさん(左から2番目が、代表の秋元さん)。

 スタッフのひとりとして参加する女子高校生は、現状を変えるべく行動した。

「高校生は痴漢被害に遭いやすいと聞いたことがあります。私の友人でも痴漢被害に遭っている人がいますが、被害に遭ったときにどうしていいかわからないと諦めていました。

 その友人に『痴漢レーダー』について話したら、『こういうものがあるとは知らなかった』と驚かれました。それをきっかけにアプリの存在を広めていくことの必要性を感じ、今日はスタッフとして参加しました。現状を変えるために、社会に向けてアクションを起こしたいという気持ちがあります」

活動をきっかけに、痴漢撲滅を社会の“当たり前”に

 「#withyellow運動」の後日、キュカの片山玲文さんに改めてお話を伺った。

――今回、痴漢撲滅を目的に初めて開催された「#withyellow運動」ですが、どのような手応えを感じましたか。

片山さん(以下、片山):痴漢撲滅への思いを多くの方に知っていただくために、 イベントの当日に「#withyellow運動」がTwitterのトレンド入りすることを目指して活動していたのですが、多くの人から「#withyellow」のハッシュタグを活用していただけました。目印として設定した黄色いアイテムの写真をアップして、見守り活動を宣言される方も多くいらっしゃり、とても頼もしく思いました。

 なかには「#withyellow運動」のオリジナル画像を作成して、「拡散のために使ってください」とDMを送ってくださった賛同者さんもいます。とくにTwitterでは、多くの人に関心を持っていただけたと感じました。

――18日に渋谷駅前で行ったリアルイベントはどうでしたか。

片山:参加者の年代が幅広く、男性の参加が多かったことが印象的でした。男女のカップルで参加されていた方にお声がけをしたところ、男性の方が誘って参加してくれたそうで、「今までは痴漢被害者を助けたいという気持ちがあっても、意思表示の方法がわからなかったので、こういう機会を設けてくれたことに感謝しています」という感想をいただきました。

 渋谷という土地柄もあってか、外国の方が「これはどういう運動なの?」と興味を持ってくださり、スタッフが15分ほどお話をする機会もありました。

――リアルな場も含めて、今後はどのように痴漢撲滅の思いを訴えていきますか。

片山:センター試験の日に見守り活動を行ったことをひとつのきっかけにして、痴漢を身近な問題として考えられるようにすることが重要だと考えています。今後は、痴漢撲滅を広めるために、遅刻できない日、フレッシュな方々が多く電車に乗り始める春、昨年は痴漢逮捕者が出たハロウィンなどのイベントに合わせて「#withyellow運動」を予定しています。

 今回の活動を通して、痴漢被害者を放っておけない、助けたいと考えている人が本当はたくさんいることを実感しました。一方で、今の日本では「助けてほしい」被害者と、「助けたい」第三者の間で、意思表示が上手くできていないとも感じます。「#withyellow運動」を通じて両者の距離を縮めて、痴漢撲滅が社会の“当たり前”になるように広めていきたいです。

(取材・文/雪代すみれ)

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