「消費税を5%に下げれば税収は上がる」増大する社会保障費問題を解決する一手

文=宮西瀬名
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「Getty Images」より

 昨年10月から消費税は10%に引き上げられた。株式会社Insight Techが実施した調査によると、消費増税に「嫌気や怒りを感じている」との回答は47%。一方で「低不満」との回答も53%で、消費増税に不満を抱く人のほうが少ないという結果になっている。

 消費税を8%に引き上げた2014年、政府広報では消費税率の引上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」と謳っていた。一部ネット上では「消費増税は苦しいけど、社会保障費の負担のためには仕方がない」と肯定的な声もあり、政府の説明を受けて増税に納得している人も少なくはないのかもしれない。

 しかし京都大学教授の藤井聡氏は、「消費増税は社会保障費を補填していない」と異議を唱える。どういうことだろうか。

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藤井聡
京都大学大学院工学研究科教授、同大学レジリエンス実践ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、同大学助教授等を経て現職。2012年から2018年まで安倍内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。専門は公共政策論.著書は「MMTによる令和新経済論」「プライマリーバランス亡国論」「大衆社会の処方箋」等多数。

 

財務省からの圧力を恐れ、消費税の実態を追及しないマスコミ

 藤井氏によれば、今回の増税で社会保障費に回されたのは2割程度。「残りの8割は国債発行額の圧縮に使われた。つまり、政府の借金を減らすために使われた」のだという。

 今回の10%の引き上げに関しても政府広報は、次のように明示している。

『消費税率引上げによる増収分は、全て社会保障の充実・安定化の財源となります。消費税率が10%まで引き上げられた際には、消費税率5%引上げ分のうち、約1%分(2.8兆円程度)は子ども・子育て支援、医療・介護、年金の各分野の充実に、残りの約4%分(11.2 兆円程度)は社会保障の安定化のための財源となります』

藤井氏「実際に、子育て支援や社会保障などでの行政支出に使われるのは増税分の半分で、残りは国債発行の圧縮に使われると思います。『社会保障の安定化』という言葉は、国債発行圧縮も含まれているからです」

 厚生労働省は2019年10月に、社会保障費抑制のため、65歳以上の高所得世帯を対象に、介護保険サービスを受ける際の自己負担の月額上限を引き上げる方針を固めた。政府は「社会保障の充実や安定性」を謳い消費増税がスタートした月に、社会保障費の負担増を国民に求めている。藤井氏は「今の政府は今後も社会保障費の負担増を国民に強いるだろう」と指摘する。

 なぜ出鱈目な引き上げ分の使われ方について言及するメディアは圧倒的に少ないのか。

藤井氏「メディアが消費増税に関する情報を発信しない要因のひとつに、軽減税率の対象に新聞購読料が含まれたことがあげられます。

 また、私が在籍している京都大学が記者を対象に行った調査結果では、『財務省を批判する記事を書くと、財務省側から報復される』と新聞社が認識していることがわかりました。

 なぜ新聞社が財務省からの報復を恐れるのかと言いますと、

『報復として財務査察に入られ、税金関連のことを徹底的に調査されないかを危惧している』
『記事作成において極めて重要な財務省からの情報が入ってこなくなる(いわゆる特オチに対する)』

などのリスクがあるためです。

 もちろん全ての記者が軽減税率を気にしたりこういったリスクに関する恐怖心を持ったりしているわけではありません。ただ、デスクを含めた一部のメディア上層部がそういう認識を持っているということです。

 すると、現場記者が消費税について的確な批判記事を書いても『デスクで潰される』ということが平気で起きてしまいます。一度潰された経験を持った記者は、上層部やデスクを忖度し、二度と消費税を批判する記事を書かなくなるでしょう。

 こういう新聞メディア内の構造が、記者を対象としたヒアリング調査で明らかにされています」

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